「市役所への就職を考えているが、ネットで『やめとけ』という声を見て不安になった」「公務員は楽と思っていたが、実際はつらいと聞く」「市役所に入って後悔している人はどんな人?」
「市役所 やめとけ」と検索する方は、主に2つのパターンに分かれます。市役所への就職・転職を検討していて、本当に大丈夫かどうか確認したい方と、すでに市役所に勤めていて転職を迷っている方です。
結論から言えば、「市役所はやめとけ」は半分正しく、半分間違いです。市役所が向いていない人にとっては本当につらい職場になり得ますが、向いている人にとっては生涯を通じて最高の職場になります。
本記事では、「市役所はやめとけ」と言われる具体的な理由・後悔する人の特徴・向いている人の特徴・現役職員のリアルな声をデータとともに整理し、就職・転職の判断材料を提供します。
「市役所はやめとけ」と言われる10の理由

理由①:給与の伸びが遅く、高収入は期待できない
市役所職員の給与は号給制(勤続年数に応じた自動昇給)で決まるため、若いうちは民間の優良企業と比べて低い水準になりがちです。

総務省「令和5年地方公務員給与の実態」によると、地方公務員(一般行政職)の平均給与月額は約36万円(平均年齢42.8歳)です。30歳前後での月収は22〜26万円程度にとどまるケースが多く、同世代の民間大企業勤務者と比べると低い場合があります。
「給与に不満を感じやすい人の声」
- 「入庁後5年間、給与はほとんど変わらなかった」
- 「民間の同期と比べると年収差がどんどん開いている気がする」
- 「残業しても残業代が満額出ないケースがある」
理由②:やりがいを感じにくい・仕事がつまらない
市役所の業務は定型的・補助的な作業が多く、特に入庁後数年間は「書類処理・データ入力・窓口対応」が中心になります。「社会を変えたい」「大きなプロジェクトを動かしたい」という高い志を持つ方には、物足りなさを感じやすい環境です。
また、行政の意思決定は稟議・決裁・調整のプロセスが長く、一つの施策が実現するまでに数年かかることも珍しくありません。スピード感を求める方にとっては、この遅さがストレスになります。

理由③:クレーム対応・住民対応のストレスが大きい
窓口業務では、怒りをぶつけてくる住民・理不尽な要求をする住民・長時間居座る住民など、精神的に消耗する対応が避けられません。

「窓口対応のリアルな声」
- 「毎日のように怒鳴られる。心が折れそうになる」
- 「同じクレーマーが何度も来て、対応に1〜2時間取られる」
- 「『税金で給料もらってるくせに』という言葉が刺さる」
地方公務員の精神疾患による病気休職者数は年々増加しており、**総務省の調査(2022年度)では地方公務員全体の病気休職者のうち精神疾患が約66%**を占めています。住民対応のストレスはその一因と指摘されています。
理由④:副業・兼業が原則禁止
地方公務員法第38条により、副業は原則禁止です。投資・不動産(小規模)・ボランティアなどは認められるケースがありますが、副業で収入を増やしたいという方にとっては大きな制約になります。
「副業で稼げない分、本業の給与水準が低く感じる」という不満も多くの職員が感じているポイントです。

理由⑤:縦割り組織・お役所文化への閉塞感
市役所の組織文化には、以下のような民間企業と異なる特徴があります。
- 前例主義: 「前例がないからできない」という判断が多い
- 縦割り: 部署をまたいだ連携が難しく、たらい回しになりやすい
- 年功序列: 成果より勤続年数・年齢が評価される傾向が残る
- 変化への抵抗: 新しいやり方・改革の提案が通りにくい
「改革したい・変えたい」という意欲の強い方が入庁すると、この文化の壁に何度もぶつかり消耗します。
理由⑥:異動サイクルが短く、専門性が身につきにくい
市役所の人事異動は、2〜4年ごとに部署が変わるのが一般的です。税務・福祉・土木・企画など、まったく異なる業務への異動も頻繁にあります。
「一つの分野を深く極めたい」「専門家としてキャリアを積みたい」という方には不向きな環境です。異動のたびに「また一から覚え直し」という状況になり、専門性が蓄積されにくいという不満があります。

理由⑦:昇進スピードが遅く、実力が評価されにくい
民間企業では20代で管理職に就くケースも珍しくありませんが、市役所では年功序列の文化が根強く、係長になるまでに10〜15年かかるのが一般的です。
「どれだけ頑張っても、昇進は年数次第」という不満は、特に20〜30代の若手職員に多く見られます。


理由⑧:転職市場での評価が難しい
市役所(公務員)のキャリアは、民間企業の採用担当者から見ると「評価しにくい」と言われることがあります。「具体的な成果・数字」「競争環境での経験」が市役所では積みにくいため、民間への転職時にアピール材料が不足しがちです。
特に30代以降で民間転職を目指す場合、「公務員として10年間何をしてきたか」を分かりやすく伝えることが難しく、内定獲得に苦労するケースがあります。

理由⑨:財政難の自治体では仕事環境が厳しい
過疎化・人口減少が進む自治体では、財政難から職員数の削減・給与カット・予算の大幅制限が行われているケースがあります。少ない人員で増え続ける行政需要をこなさなければならず、残業・過重労働が常態化している自治体も存在します。
理由⑩:「安定しているから」という消極的な動機では続かない
「安定しているから」「試験に受かったから」という受動的な理由で入庁した方は、厳しい住民対応・前例主義・給与の停滞感に直面したとき、「なぜここにいるのか」という迷いに苦しむことになります。
動機の弱さは、困難を乗り越えるエネルギーの源泉を失うことに直結します。
「市役所はやめとけ」を否定する5つの事実

「やめとけ」理由を並べましたが、同じだけ市役所を選んでよかったという声もあります。
① 雇用の安定性は民間の比ではない
法定の分限・懲戒処分を受けない限り、定年まで雇用が保障されます。コロナ禍・リーマンショックのような経済危機でもリストラ・倒産のリスクはゼロです。「安心して長期的な生活設計を立てられる」という声は非常に多いです。
② 退職金・年金・共済組合が充実している
- 退職金: 定年退職時に約1,800〜2,500万円
- 年金: 厚生年金+年金払い退職給付(公務員版の企業年金)
- 共済組合: 公務員専用の健康保険・低金利貸付・保養施設など
生涯収入(給与+退職金+年金)で試算すると、民間中小企業を大幅に上回るケースが多いです。



③ ワークライフバランスが整いやすい
- 夜勤なし・原則土日祝日休み
- 有給取得率70〜80%台(民間平均を大幅上回る)
- 育児休業取得率が高く(男性30%超・女性ほぼ100%)、子育てと両立しやすい
- 病気休暇(有給)最長90〜180日で、療養しながら職を失わない
④ 地域に貢献できる実感がある
「窓口で住民に感謝された」「自分が関わった施策が地域を変えた」という経験は、市役所でしか得られない独特のやりがいです。特に福祉・子育て・防災・まちづくり分野で、直接的に住民の生活改善に携われる達成感は大きいという声が多いです。

⑤ 転勤なし・地元で働ける
「家族の近くで・地元で働き続けたい」という方にとって、同一市区町村内での異動が基本となる市役所は理想的です。都道府県庁・国家公務員のような広域転勤がないため、マイホーム購入・子育て・介護との両立を計画しやすい環境です。

後悔する人・向いていない人の特徴

市役所に入って後悔しやすい人の特徴
- 成果主義・実力主義を重視する人: 「頑張った分だけ評価・昇給してほしい」という方には不向き
- スピード感を求める人: 意思決定の遅さ・前例主義にフラストレーションを感じる
- 高収入を最優先する人: 給与水準は安定しているが、劇的な収入増は期待できない
- 副業・起業に強い関心がある人: 副業禁止の制約がキャリアの幅を狭める
- 変化・改革・イノベーションが好きな人: 組織文化の保守性に消耗しやすい
- 専門家として深く突き詰めたい人: 頻繁な異動で専門性が蓄積しにくい
向いている人・市役所で輝ける人の特徴

市役所での仕事に向いている人の特徴
- 地域・社会への貢献に強いやりがいを感じる人: 「誰かのために」という動機が仕事の支えになる
- 安定した環境で長期的に計画を立てたい人: ライフプランの見通しが立ちやすい
- コミュニケーション・傾聴が得意な人: 住民対応・庁内調整が多い職場では大きな強みになる
- 粘り強く・丁寧に仕事を進める人: 定型業務・書類処理・長期プロジェクトへの適性が高い
- 地元・地域に愛着がある人: 自分の街を良くしたいという動機が長続きの源泉になる
- ワークライフバランスを重視する人: 育児・介護・趣味と仕事を無理なく両立したい方に適している
現役市役所職員・元職員のリアルな声

「市役所を選んでよかった」という声
「子どもが生まれてから育休・時短を使い倒した。職場の理解が厚く、キャリアを諦めずに続けられている」(30代・女性・市民課)
「父の介護が始まったとき、介護休暇・短時間勤務が使えて本当に助かった。民間の友人は仕事を辞めざるを得なかった」(40代・男性・福祉課)
「給与は低めだけど、住宅ローンを組んで家を買い、子ども二人を育てている。安定した収入があることで将来への不安が少ない」(30代・男性・税務課)
「やめとけ」と言われても市役所を選ぶべき人・やめた方がいい人

市役所を選ぶべき人
- 地域・社会貢献への強いモチベーションがある
- 安定した雇用環境でライフイベント(結婚・出産・介護)を乗り越えたい
- 地元に根差して長く働き続けたい
- 「そこそこの給与+充実した福利厚生+安定」のバランスを重視する
- 公務員試験に真剣に向き合った結果として選んでいる
市役所をやめた方がいい人
- 「安定しているから」という消極的な理由だけで選んでいる
- 年収700万・1,000万円を30代で達成したい
- 自分のアイデアで組織を動かし、スピーディに結果を出したい
- 副業・起業・フリーランスに強い関心がある
- 変化・成長・挑戦が仕事選びの最優先軸である
よくある質問(FAQ)

Q. 「市役所はやめとけ」と言う人はどんな人?
A. 大きく3パターンあります。①民間の高給・成長企業に勤めており、給与水準・スピード感を比較している人、②市役所に入ったが自分に合わず退職した元職員、③市役所の実態を知らずにネットの情報だけで判断している人です。「やめとけ」という意見はその人の価値観・優先事項が反映されており、すべての人に当てはまるわけではありません。
Q. 市役所に入ってから後悔した場合、転職はできる?
A. できます。特に20〜30代前半であれば、市役所での行政経験(住民対応・調整力・文書作成・データ管理)を民間でも評価してもらえるケースがあります。近年は行政経験者を積極採用するコンサルティング会社・IT企業・NPO・公共系企業も増えています。ただし、30代後半以降の転職は難易度が上がるため、転職を考えるなら早めに行動することをおすすめします。
Q. 市役所で「やりがい」を感じている職員はどのくらいいる?
A. 内閣人事局の調査では、国家公務員の約60%が「仕事にやりがいを感じている」と回答しています(2022年度)。地方公務員の調査では自治体ごとにばらつきがありますが、概ね同程度の割合とされています。つまり「やりがいを感じにくい」という声がある一方で、過半数の職員は仕事の意義を感じながら働いているというのが現実です。
まとめ:「市役所はやめとけ」は「あなた次第」

本記事の重要ポイントを整理します。
市役所が向かない人(やめとけが当てはまる人): → 成果主義・高収入・スピード・副業・専門性の深化を最優先にする人
市役所が向いている人(やめとけが当てはまらない人): → 地域貢献・雇用安定・ワークライフバランス・地元定住を重視する人
「市役所はやめとけ」という言葉は、その人の価値観と優先事項を反映したものであり、すべての人への普遍的なアドバイスではありません。
最も大切なのは、「自分は市役所の仕事を通じて何を実現したいのか」「何を仕事人生で大切にするのか」を明確にすることです。その問いへの答えが、「市役所を選ぶかどうか」の正解を導き出してくれます。
安易な「やめとけ」にも、安易な「市役所は最高」にも流されず、自分自身の軸で判断してください。
