「地方公務員の家賃補助ってあるの?」「住居手当はいくらもらえる?」「公務員宿舎は使える?」公務員として働く方や、これから公務員を目指す方にとって、住居に関する補助は生活に直結する重要な問題です。
地方公務員の家賃補助は、主に「住居手当」として支給されます。賃貸住宅に居住する職員に対し、家賃の一部を補助する制度で、最大月額28,000円(自治体により異なる)が支給されます。また、公務員宿舎(官舎)が用意されている自治体もあり、市場価格の30〜50%程度の家賃で入居できます。
本記事では、地方公務員の家賃補助について、住居手当の支給額・条件、公務員宿舎、その他の支援制度、活用方法まで、すべてを網羅的に解説します。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- 住居手当の支給額と計算方法
- 住居手当の支給条件
- 公務員宿舎(官舎)の家賃と入居条件
- 持ち家の場合の扱い
- 自治体による違い
- 住宅ローン控除との併用
- 家賃補助を最大限活用する方法
- よくある質問と回答
地方公務員の住居支援制度を正しく理解し、賢く活用しましょう。
住居手当の基本

住居手当とは
住居手当は、自己所有でない住宅に居住する職員に支給される手当です。
目的: 職員の住居費負担を軽減し、生活の安定を図る
法的根拠
- 各自治体の給与条例
- 国家公務員の制度に準拠
支給方法: 毎月の給与と一緒に支給
特徴
- 家賃の一部を補助
- 自己所有住宅には支給されない
- 一定の条件を満たす必要がある
住居手当の支給額
住居手当の支給額は、家賃に応じて決まります。
標準的な計算式
住居手当 = (家賃月額 - 12,000円) × 1/2
上限:28,000円/月
具体的な支給額
| 家賃月額 | 計算 | 住居手当 |
|---|---|---|
| 20,000円 | (20,000 – 12,000) × 1/2 | 4,000円 |
| 40,000円 | (40,000 – 12,000) × 1/2 | 14,000円 |
| 60,000円 | (60,000 – 12,000) × 1/2 | 24,000円 |
| 68,000円 | (68,000 – 12,000) × 1/2 | 28,000円(上限) |
| 80,000円 | (80,000 – 12,000) × 1/2 | 28,000円(上限) |
| 100,000円 | (100,000 – 12,000) × 1/2 | 28,000円(上限) |
ポイント
- 家賃が68,000円以上なら、一律28,000円
- 家賃が12,000円未満の場合は支給なし
年間の補助額: 上限額(28,000円/月)の場合
- 年間:336,000円
- 10年間:3,360,000円
実質的な家賃負担: 家賃80,000円の場合
- 住居手当:28,000円
- 実質負担:52,000円/月
自治体による違い
住居手当の金額や条件は、自治体により若干異なります。
標準的な自治体
- 上限:28,000円/月
- 計算式:(家賃 – 12,000円) × 1/2
独自の基準を設ける自治体: 一部の自治体では、以下のような独自基準があります。
- 上限が25,000円または30,000円
- 計算式が異なる
- 単身者と世帯主で異なる
具体例
- A市:上限28,000円、標準的な計算式
- B市:上限25,000円、(家賃 – 10,000円) × 1/2
- C市:上限30,000円、世帯主のみ
確認方法: 所属自治体の給与条例または人事課に確認してください。
住居手当の支給条件

基本的な支給条件
住居手当を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。
必須条件
- 自己所有でない住宅に居住
- 家賃月額が12,000円以上
- 世帯主であること(自治体により異なる)
自己所有でない住宅
- 賃貸アパート・マンション
- 賃貸戸建て
- 借家
自己所有とみなされる場合(支給されない)
- 自分名義の持ち家
- 配偶者名義の持ち家
- 親名義の家に無償で居住
世帯主要件
多くの自治体では、「世帯主」であることが条件です。
世帯主とは: 住民票上の世帯主
世帯主でない場合
- 配偶者が世帯主:支給されない場合が多い
- 親と同居で親が世帯主:支給されない
共働き夫婦の場合
- 夫が世帯主:夫が受給
- 妻が世帯主:妻が受給
- どちらか一方のみ受給可能
単身赴任の場合: 自治体により扱いが異なります。詳しくは後述します。
その他の条件
配偶者の住居手当との調整: 配偶者が他の事業所(民間企業や他自治体)から住居手当を受けている場合、調整が必要な場合があります。
公務員宿舎に入居している場合: 公務員宿舎(官舎)に入居している場合は、住居手当は支給されません。
実家に居住している場合: 親に家賃を支払っている場合でも、原則として支給されません(自治体により異なる)。
申請方法と必要書類
住居手当を受給するには、申請が必要です。
申請時期
- 入居時
- 転居時
- 家賃変更時
必要書類
- 住居手当認定申請書(所定の様式)
- 賃貸借契約書の写し
- 家賃の支払いを証明する書類(通帳の写し等)
- 住民票(世帯主を証明)
提出先: 所属部署の人事担当者または人事課
支給開始: 申請後、認定されれば翌月から支給(自治体により異なる)
注意点
- 申請を忘れると支給されない
- 遡及適用は限定的
- 転居したら速やかに変更申請
公務員宿舎(官舎)

公務員宿舎とは
公務員宿舎(官舎)は、自治体が所有または借り上げる職員用の住宅です。
目的
- 職員の住居費負担を軽減
- 職員の確保・定着
- 緊急時の参集を容易にする
種類
- 自治体所有の宿舎
- 借り上げ宿舎(民間賃貸を自治体が借り上げ)
対象者
- 新規採用職員
- 異動により転居が必要な職員
- その他、必要と認められる職員
入居期間
- 原則として3〜5年程度
- 自治体により異なる
- 更新可能な場合もある
公務員宿舎の家賃
公務員宿舎の家賃は、市場価格より大幅に安いです。
家賃の目安
- 市場価格の30〜50%程度
- 自治体や築年数により異なる
具体例
| 間取り | 市場価格 | 公務員宿舎 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1DK (30㎡) | 50,000円 | 15,000〜25,000円 | 25,000〜35,000円 |
| 2DK (50㎡) | 70,000円 | 20,000〜35,000円 | 35,000〜50,000円 |
| 3LDK (70㎡) | 100,000円 | 30,000〜50,000円 | 50,000〜70,000円 |
年間の節約額: 2DK、市場価格70,000円、宿舎30,000円の場合
- 月額差額:40,000円
- 年間差額:480,000円
- 5年間で:2,400,000円の節約
敷金・礼金
- 敷金:0〜2ヶ月分(自治体により異なる)
- 礼金:なし
- 初期費用が抑えられる
公務員宿舎のメリット・デメリット
メリット
- 家賃が安い
- 職場に近い場合が多い
- 初期費用が抑えられる
- 同僚が近くに住んでいて安心
- 緊急時の参集が容易
デメリット
- 築年数が古い場合が多い
- 設備が古い(エアコンなし等)
- プライバシーが少ない
- 人間関係が煩わしい場合も
- 入居期間に制限がある
- 人気で空きがない場合も
向いている人
- 新卒・若手職員
- 貯金をしたい人
- 単身赴任者
- 初期費用を抑えたい人
向いていない人
- プライバシーを重視する人
- 新しい設備を求める人
- 長期間住みたい人
公務員宿舎の入居条件
一般的な条件
- 職員であること
- 一定の通勤距離以上(例:自宅から職場まで2km以上)
- 持ち家がないこと
- 入居期間の制限を守ること
優先順位: 多くの自治体では、以下の順に優先されます。
- 新規採用職員
- 異動により転居が必要な職員
- 災害等により住居を失った職員
- その他
申し込み方法: 人事課に申請書を提出し、抽選または審査により決定
持ち家の場合

持ち家への支援
持ち家を購入した場合、住居手当は支給されません。
理由: 住居手当は「自己所有でない住宅」への補助であるため
代わりの支援
- 共済組合の住宅貸付(低金利ローン)
- 財形住宅貯蓄(利子非課税)
- 住宅ローン控除(税制優遇)
共済組合の住宅貸付
共済組合は、低金利で住宅ローンを提供しています。
貸付条件
- 貸付額:最大1,800万円(組合員期間により異なる)
- 金利:年1.00〜1.26%程度(令和5年度)
- 返済期間:最長35年
民間ローンとの比較
| 項目 | 共済組合 | 民間銀行 |
|---|---|---|
| 金利 | 約1.00% | 約1.5〜2.5% |
| 貸付額 | 最大1,800万円 | 収入による |
| 審査 | 比較的緩い | 厳しい |
返済額の比較(借入額1,500万円、30年返済)
- 共済組合(金利1.00%):月48,442円、総返済額約17,439,000円
- 民間銀行(金利2.00%):月55,461円、総返済額約19,966,000円
- 差額:約2,527,000円
メリット: 低金利により、総返済額が大幅に少なくなります。
財形住宅貯蓄
財形住宅貯蓄は、マイホーム資金を貯めるための制度です。
特徴
- 給与天引きで自動的に貯蓄
- 利子が非課税(元本550万円まで)
- 住宅取得時に引き出し可能
メリット: 計画的に住宅資金を貯められる
単身赴任の場合

単身赴任手当
単身赴任により、配偶者と別居する場合、単身赴任手当が支給されます。
支給額
- 基本額:月30,000円程度
- 距離加算:100km〜300km以上で加算
- 最大:月100,000円程度
住居手当との関係: 単身赴任先で賃貸住宅に居住する場合、住居手当も併給される場合があります(自治体により異なる)。
具体例: 東京都から地方に単身赴任、家賃60,000円の場合
- 単身赴任手当:50,000円
- 住居手当:24,000円
- 合計:74,000円/月
注意点: 自治体により併給の可否が異なるため、確認が必要です。
単身赴任先の公務員宿舎
単身赴任者向けの公務員宿舎が用意されている場合もあります。
家賃
- 非常に安い(月10,000〜20,000円程度)
- 単身赴任手当と併用可能
メリット: 家計への負担を最小限に抑えられる
住宅ローン控除との併用

住宅ローン控除とは
住宅ローン控除は、住宅ローンを借りてマイホームを購入した場合に、所得税が控除される制度です。
控除額
- 年末ローン残高の0.7%
- 最大13年間
- 控除限度額:住宅の種類により異なる
住居手当との関係: 住宅ローン控除と住居手当は、別々の制度のため、関係ありません。ただし、持ち家の場合は住居手当が支給されないため、住宅ローン控除のみとなります。
賃貸 vs 持ち家の比較
賃貸の場合
- 住居手当:月28,000円(上限)
- 年間:336,000円
- 30年間:10,080,000円
持ち家の場合
- 住居手当:なし
- 共済組合の低金利ローン:利子軽減
- 住宅ローン控除:年間最大35万円(13年間で最大455万円)
- 資産になる
どちらが得か: 一概には言えませんが、長期的には持ち家の方が資産形成につながります。ただし、ライフスタイルや転勤の可能性も考慮する必要があります。
家賃補助を最大限活用する方法

若手時代の戦略
公務員宿舎に入居
- 入庁後3〜5年は公務員宿舎に入居
- 家賃を抑えて貯金
節約額の試算: 市場価格70,000円、宿舎30,000円の場合
- 月額差額:40,000円
- 5年間で:2,400,000円の節約
貯金の活用: 貯めたお金を、将来の住宅購入資金に
賃貸期間の戦略
住居手当を最大限受給
- 家賃68,000円以上の物件に住む
- 住居手当28,000円/月を満額受給
実質負担を抑える: 家賃80,000円の場合
- 住居手当:28,000円
- 実質負担:52,000円/月
ポイント: 住居手当の上限(28,000円)を受給できる家賃帯(68,000円以上)の物件を選ぶと、補助率が高くなります。
住宅購入時の戦略
共済組合の住宅貸付を活用
- 低金利(年1.00%程度)
- 総返済額を大幅に削減
財形住宅貯蓄で頭金を用意
- 利子非課税
- 計画的に貯蓄
住宅ローン控除を活用
- 13年間で最大455万円の税金還付
よくある質問

Q1: 同棲している場合、住居手当はもらえる?
A: 世帯主であればもらえます。
同棲している場合でも、住民票上の世帯主であれば住居手当を受給できます。ただし、相手が世帯主の場合は受給できません。
Q2: 配偶者が会社から住宅手当をもらっている場合は?
A: 基本的には問題ありません。
配偶者が民間企業から住宅手当を受けている場合でも、自分が世帯主で賃貸住宅に住んでいれば、公務員の住居手当も受給できます。ただし、自治体により調整が必要な場合があります。
Q3: 実家に家賃を払っている場合は?
A: 原則として支給されません。
親に家賃を支払っている場合でも、親族間の賃貸借契約は認められないことが多いです。
Q4: 転居したら再度申請が必要?
A: はい、変更申請が必要です。
転居した場合、速やかに変更申請をしてください。家賃が変わると支給額も変わります。
Q5: 公務員宿舎と住居手当、どちらが得?
A: 公務員宿舎の方が圧倒的に得です。
比較
- 公務員宿舎(家賃30,000円):年間360,000円
- 賃貸(家賃80,000円 – 住居手当28,000円):年間624,000円
- 差額:年間264,000円
ただし、設備や利便性も考慮する必要があります。
まとめ:地方公務員の家賃補助を賢く活用する

地方公務員の家賃補助について、住居手当から公務員宿舎まで解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
住居手当の基本
- 上限:月28,000円
- 計算式:(家賃 – 12,000円) × 1/2
- 条件:自己所有でない住宅、世帯主
- 年間最大:336,000円
家賃別の住居手当
- 家賃40,000円 → 住居手当14,000円
- 家賃60,000円 → 住居手当24,000円
- 家賃68,000円以上 → 住居手当28,000円(上限)
公務員宿舎
- 家賃:市場価格の30〜50%
- 2DK:20,000〜35,000円程度
- 5年間で約240万円の節約
持ち家の場合
- 住居手当なし
- 共済組合の低金利ローン(年1.00%)
- 住宅ローン控除(最大455万円)
賢い活用戦略
若手時代(入庁〜5年)
- 公務員宿舎に入居
- 家賃を抑えて貯金
- 5年で約240万円節約
中堅時代(5年〜10年)
- 賃貸に移る
- 家賃68,000円以上の物件を選ぶ
- 住居手当28,000円を満額受給
住宅購入時
- 財形住宅貯蓄で頭金を用意
- 共済組合の住宅貸付を活用
- 住宅ローン控除を受ける
最後に
地方公務員の家賃補助は、賢く活用すれば大きな経済的メリットがあります。
- 公務員宿舎は圧倒的にお得
- 住居手当は家賃68,000円以上で満額
- 共済組合の住宅ローンは超低金利
- 計画的に活用すれば、数百万円の節約
これらの制度を正しく理解し、自分のライフステージに合わせて最適な選択をしましょう。
この記事が、地方公務員の家賃補助の理解と活用の一助となれば幸いです。
