「高卒でも地方公務員になれるの?」「大卒と比べて不利?」「どんな試験を受ければいい?」高校卒業後に地方公務員を目指す方にとって、こうした疑問は尽きません。
結論から言えば、高卒でも地方公務員になることは十分可能です。初級(高卒程度)試験を受験すれば、学歴に関係なく平等に評価されます。
実際、毎年数万人の高卒者が地方公務員として採用されています。ただし、試験内容や給与体系、キャリアパスは大卒とは異なる点があり、それらを理解した上で戦略的に準備することが重要です。
本記事では、高卒から地方公務員になる方法について、試験の種類から勉強法、合格後のキャリアまで、すべてを網羅的に解説します。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- 高卒で受験できる地方公務員試験の種類
- 初級試験の内容と難易度
- 大卒との違い(給与・昇進・配属)
- 合格に必要な勉強時間と勉強法
- 面接試験の対策方法
- 高卒公務員のキャリアパスと将来性
- 実際の合格体験談と成功のポイント
高卒から地方公務員を目指すあなたに、確実な合格への道筋を示します。
高卒で受験できる地方公務員試験

初級(高卒程度)試験とは
高卒者が受験する地方公務員試験は、「初級試験」または「Ⅲ類試験」と呼ばれます。
基本情報
- 正式名称:初級職員採用試験、Ⅲ類採用試験
- 対象学歴:高校卒業程度
- 受験資格:18歳以上21歳以下(自治体により異なる)
- 実施時期:9月〜10月が多い
主要自治体の呼称
- 東京都:Ⅲ類採用試験
- 神奈川県:初級職員採用試験
- 大阪府:高卒程度試験
- 愛知県:初級職員採用試験
重要なポイント: 「高卒程度」とは学歴ではなく、試験のレベルを示します。高校卒業見込みの18歳から、高卒後3年以内の21歳までが一般的な受験資格です。
受験資格と年齢制限
初級試験の受験資格を詳しく見てみましょう。
年齢要件(一般的)
- 下限:18歳以上(高校卒業見込み含む)
- 上限:21歳以下
- 判定時期:受験する年の4月1日時点
具体例(令和6年度)
- ○:平成15年4月2日〜平成18年4月1日生まれ
- ×:平成15年4月1日以前、平成18年4月2日以降生まれ
学歴要件
- 高校卒業、または卒業見込み
- 中退者は受験不可(高卒認定試験合格者は可)
- 大学在学中・中退者は受験可能(ただし上級試験の方が有利)
その他の要件
- 日本国籍を有すること(一部職種を除く)
- 欠格事由に該当しないこと
- 自治体によっては身体要件あり
注意点: 年齢制限が厳しく、受験できるのは実質3〜4年間のみ。浪人できる余裕が少ないため、計画的な準備が重要です。
高卒で受験できる職種
初級試験では、様々な職種が用意されています。
事務職(一般行政職)
- 最も募集人数が多い
- 市役所・区役所での窓口業務、事務処理等
- 幅広い部署に配属される可能性

学校事務職
- 小中学校での事務業務
- 学校に常駐
- 土日休みが基本
警察事務職
- 警察署での事務業務
- 警察官のサポート
- 警察官とは異なる(事務職)
技術職
- 土木、建築、機械、電気、化学等
- 工業高校出身者が有利
- 専門知識が必要
資格職
- 保育士(保育士資格が必要)
- 栄養士(栄養士資格が必要)
- 看護師(看護師資格が必要)
消防士
- 別途、消防官採用試験を受験
- 体力試験あり
- 24時間勤務
警察官
- 別途、警察官採用試験を受験
- 体力試験あり
- 初級とは別扱いの場合が多い
最も人気・募集が多いのは「事務職(一般行政職)」です。

高卒と大卒の違い
高卒で公務員になった場合と、大卒で公務員になった場合の違いを理解しておきましょう。
試験難易度
- 高卒(初級):高校レベルの基礎的な問題
- 大卒(上級):大学レベルの専門的な問題

初任給
- 高卒(18歳):約150,000円〜170,000円/月
- 大卒(22歳):約180,000円〜210,000円/月
- 差額:約3〜4万円/月

生涯年収
- 高卒:約2億円〜2億2,000万円
- 大卒:約2億2,000万円〜2億5,000万円

ただし、高卒は4年早く働き始めるため、その分の収入と昇給があります。実質的な差は縮まります。
昇進スピード
- 高卒:やや時間がかかる傾向
- 大卒:比較的早い傾向
- ただし、能力次第で高卒でも管理職になれる
配属部署
- 高卒:現場業務、窓口業務が中心(初期)
- 大卒:企画・政策部門も視野
- 経験を積めば高卒も企画部門へ
重要な事実: 高卒・大卒の区別は、入庁後数年で薄れていきます。実力主義が強まっており、高卒でも課長、部長になる例は珍しくありません。
初級試験の内容と難易度

一次試験:教養試験
初級試験の一次試験は、教養試験(筆記試験)です。
試験時間
- 90分〜120分(自治体により異なる)
問題数
- 40〜50問(自治体により異なる)
出題形式
- 五肢択一のマークシート方式
出題分野
一般知能分野(約20問)
- 文章理解(現代文・英文):6〜8問
- 判断推理(論理パズル):6〜8問
- 数的推理(数学的思考):4〜6問
- 資料解釈(グラフ・表の読み取り):2〜4問
一般知識分野(約20問)
- 社会科学(政治・経済・社会):6〜8問
- 人文科学(日本史・世界史・地理・文学):6〜8問
- 自然科学(数学・物理・化学・生物・地学):6〜8問
- 時事問題:2〜4問
難易度
- 高校の教科書レベル
- 基礎的な問題が中心
- 暗記と基礎的な思考力で対応可能
合格ライン
- 5〜6割(50〜60%)が目安
- 自治体により異なる
- 満点を取る必要はない
一次試験:作文試験
多くの自治体で、教養試験とは別に作文試験が実施されます。
試験時間
- 60〜90分
字数
- 600〜800字程度
テーマ例
- 「志望動機について述べなさい」
- 「公務員として大切なことは何か」
- 「あなたが住民のためにできることは何か」
- 「最近関心を持った社会問題について」
評価ポイント
- 文章構成力
- 誤字脱字の有無
- 論理性
- 熱意・意欲
難易度
- それほど高くない
- 基本的な文章力があれば対応可能
- 極端に悪くなければ大きな差はつかない
対策
- 頻出テーマで練習(5〜10本)
- 時間内に書き切る練習
- 誤字脱字をなくす
- 起承転結を意識
二次試験:面接試験
一次試験合格者は、二次試験として面接試験を受けます。
個別面接
- 面接官:2〜5人
- 時間:15〜30分
- 実施回数:1〜2回
主な質問内容
- 志望動機(必ず聞かれる)
- 自己PR
- 長所・短所
- 高校時代に頑張ったこと
- なぜこの自治体なのか
- アルバイト経験
- 趣味・特技
- ストレスへの対処法
- 希望部署
- 公務員として大切なこと
評価ポイント
- コミュニケーション能力
- 協調性
- 誠実性
- 積極性
- 志望意欲の高さ
難易度
- 準備していないと答えられない
- 模擬面接が必須
- 初級試験では人物重視の傾向
合格のコツ
- 明るく、ハキハキと話す
- 笑顔を忘れない
- 質問には正直に答える
- 背伸びしすぎない
- 自分の言葉で話す

合格に必要な勉強時間と勉強法

必要な勉強時間
初級試験に合格するには、どのくらいの勉強時間が必要でしょうか。
標準的な勉強時間
- 独学:300〜500時間
- 予備校:250〜400時間
- 期間:3ヶ月〜6ヶ月
学力別の目安
- 高校の成績が上位:250〜350時間(3〜4ヶ月)
- 高校の成績が中位:350〜450時間(4〜5ヶ月)
- 高校の成績が下位:450〜550時間(5〜6ヶ月)
1日あたりの勉強時間
- 高校3年生(在学中):1〜2時間
- 卒業後(専念):3〜5時間
- 働きながら:2〜3時間
重要なポイント: 上級試験(大卒程度)が1,000〜1,500時間必要なのに対し、初級試験は半分以下の時間で合格可能です。
科目別の勉強法
効率的に合格するための科目別勉強法を紹介します。
一般知能分野(重要度:★★★★★)
判断推理・数的推理
- 最重要科目(10〜14問出題)
- 暗記では対応できない
- 問題演習の繰り返しが必須
- 1日30分〜1時間を毎日継続
勉強法
- 基本テキストで解法パターンを学ぶ
- 過去問を繰り返し解く(最低3周)
- 解けなかった問題は解法を暗記
- 毎日継続することが重要
文章理解
- 現代文・英文合わせて6〜8問
- 読解力が問われる
- 高校の国語・英語の延長
勉強法
- 毎日1〜2問解く
- 時間を測って解く(1問3〜4分)
- 選択肢の消去法を習得
- 英文は中学〜高校1年レベルの単語を復習
一般知識分野(重要度:★★★☆☆)
社会科学(政治・経済・社会)
- 6〜8問出題
- 時事問題とも関連
- 暗記中心
勉強法
- テキストの重要箇所を暗記
- 過去問で出題傾向を把握
- 時事問題にも注意
- ニュースをチェック
人文科学(歴史・地理)
- 6〜8問出題
- 高校の復習
- 範囲が広いため効率重視
勉強法
- 頻出分野に絞る
- 一問一答で知識を確認
- 完璧を目指さない(6割でOK)
自然科学(数学・理科)
- 6〜8問出題
- 範囲が広い
- 苦手なら捨てる選択肢も
勉強法
- 得意分野のみ勉強
- 物理・化学は基本問題のみ
- 生物は暗記中心で得点しやすい
おすすめの参考書については、下記のリンクを御覧ください。

勉強スケジュール
6ヶ月計画の例を示します。
【4月〜5月:基礎固め期(2ヶ月)】
- 1日2〜3時間
- 判断推理・数的推理の基礎
- 文章理解の毎日演習
- 社会科学・人文科学のテキスト読み
【6月〜7月:実力養成期(2ヶ月)】
- 1日3〜4時間
- 過去問演習開始
- 苦手分野の克服
- 作文の練習開始(週1本)
【8月〜9月:直前期(2ヶ月)】
- 1日4〜5時間
- 過去問の繰り返し
- 模試の受験
- 面接対策開始
- 時事問題の学習
試験本番:9月〜10月
面接試験の対策方法

想定質問と模範回答
面接試験で頻出する質問と、回答のポイントを紹介します。
Q1: 志望動機を教えてください
❌ 悪い回答: 「安定しているからです」「公務員になりたかったからです」
⭕ 良い回答: 「私は地元である〇〇市で生まれ育ち、この街に恩返しがしたいと考えています。高校時代、市の窓口で丁寧に対応していただいた経験から、自分も住民の方々の役に立ちたいと思い、志望しました。」
ポイント
- 具体的なエピソードを交える
- 地元愛をアピール
- 「安定」を前面に出さない

Q2: 高校時代に頑張ったことは何ですか
⭕ 良い回答: 「部活動の〇〇部で、副部長として部員をまとめる役割を担いました。練習メニューの提案や、後輩の指導を通じて、チームワークの大切さを学びました。この経験を公務員の仕事でも活かしたいです。」
ポイント
- 具体的な役割・成果を述べる
- 何を学んだかを明確に
- 公務員の仕事との関連づけ
Q3: なぜ大学ではなく就職を選んだのですか
⭕ 良い回答: 「早く社会に出て、実務経験を積みたいと考えたからです。また、4年早く働き始めることで、より多くの経験を積み、若いうちから住民のために貢献したいと思いました。」
ポイント
- 前向きな理由を述べる
- 経済的理由は言わない
- 「勉強が嫌い」などネガティブな理由は避ける
模擬面接の重要性
面接対策で最も重要なのは、模擬面接です。
模擬面接を受ける方法
- 予備校・専門学校の模擬面接
- ハローワークの面接対策
- 高校の進路指導の先生
- 家族・友人に協力してもらう
最低回数
- 5回以上の模擬面接を推奨
- 本番と同じ緊張感で練習
録画して自己チェック: スマホで自分の面接を録画し、客観的に見ることも効果的です。
高卒公務員のキャリアと将来性

初任給と給与
高卒公務員の給与について、具体的に見ていきましょう。
初任給(18歳)
- 給料月額:約150,000円
- 地域手当(東京都特別区20%):約30,000円
- 合計:約180,000円

年齢別の給料月額
- 25歳(7年目):約210,000円
- 30歳(12年目):約260,000円
- 35歳(17年目):約310,000円
- 40歳(22年目):約360,000円

年収例(30歳)
- 月給約26万円 × 12 + ボーナス117万円 = 約429万円
生涯年収
- 約2億円〜2億2,000万円
昇進とキャリアアップ
高卒でも、努力次第で管理職になれます。
標準的なキャリアパス
- 入庁〜5年目:一般職員
- 6年目〜15年目:主任級
- 16年目〜25年目:係長級
- 26年目〜35年目:課長補佐級
- 36年目以降:課長級(管理職)
高卒と大卒の差: 課長への昇進は約5年程度の差がありますが、実力次第で縮めることが可能です。
まとめ

高卒から地方公務員になることは十分可能です。
初級試験は高校レベルの基礎問題が中心で、3〜6ヶ月の勉強で合格できます。最も重要なのは、判断推理・数的推理の習得と面接対策です。
高卒でも安定したキャリアを築くことができ、努力次第で管理職にも昇進できます。
早めに準備を始め、複数の自治体を受験することで、合格の可能性は大きく高まります。あなたの合格を応援しています!
