地方公務員を目指す際、最初に直面するのが「どの職種を選ぶべきか」という悩みです。
地方公務員には行政職から技術職、公安職まで多岐にわたる職種が存在し、それぞれ仕事内容、年収、採用難易度が大きく異なります。
本記事では、地方公務員の全職種を網羅的に解説し、年収ランキング、人気度ランキング、難易度ランキングの3つの視点から徹底比較します。自分に最適な職種選びの参考にしてください。
地方公務員の職種体系:3つの大分類を理解する

地方公務員の職種は、大きく分けて「行政職」「技術職」「公安職」の3つに分類されます。
行政職(事務職)
都道府県庁や市役所などで、住民サービスや政策立案を担当する職種です。配属先は福祉、税務、企画、人事など多岐にわたり、定期的な人事異動によってさまざまな部署を経験するのが特徴です。採用人数が最も多く、地方公務員の中核を担う職種といえます。
技術職(専門職)
建築、土木、電気、機械、化学、農業、林業などの専門知識を活かして業務に従事する職種です。専門性が高いため、特定の分野で長期的にキャリアを積むことができます。インフラ整備や都市計画など、地域の発展を支える重要な役割を担っています。
公安職
警察官、消防士など、住民の安全と安心を守る職種です。体力が求められ、交代勤務や緊急対応が多いという特徴があります。地域の治安維持や災害対応において、なくてはならない存在です。
地方公務員の職種一覧:全28職種を完全網羅

ここでは、地方公務員の主要な職種を一覧形式で紹介します。

行政系職種(8職種)
- 一般行政職 – 窓口業務、企画立案、予算管理など幅広い業務を担当
- 税務職 – 税の賦課徴収、滞納整理などを専門に扱う
- 福祉職(社会福祉士・精神保健福祉士) – 生活保護、児童福祉、高齢者福祉の相談支援
- 心理職 – 児童相談所や教育センターでのカウンセリング
- 保健師 – 地域保健、母子保健、感染症対策などの公衆衛生業務
- 獣医師 – 食品衛生監視、動物愛護、感染症対策
- 薬剤師 – 衛生研究所での検査、薬事監視
- 栄養士・管理栄養士 – 給食管理、栄養指導、食育推進
技術系職種(12職種)
- 土木職 – 道路、橋梁、河川などのインフラ整備・維持管理
- 建築職 – 公共施設の設計、建築確認、耐震診断
- 電気職 – 電気設備の設計・保守、省エネルギー対策
- 機械職 – 機械設備の設計・管理、上下水道施設の維持
- 化学職 – 環境分析、水質検査、工業系試験研究
- 農業職 – 農業振興、農地整備、農業技術指導
- 林業職 – 森林管理、林道整備、林業振興
- 水産職 – 水産業振興、漁港管理、水産資源管理
- 造園職 – 公園設計、緑地管理、景観整備
- 環境職 – 環境政策、公害対策、廃棄物処理
- 情報職 – システム管理、DX推進、セキュリティ対策
- 保健師(技術系) – 保健所での専門的な保健活動
公安系職種(5職種)
- 警察官 – 治安維持、犯罪捜査、交通取締り
- 消防士 – 消火活動、救急救命、防災業務
- 消防士(救急救命士) – 高度な救急処置が可能な専門職
- 警察事務職 – 警察組織の事務サポート
- 消防事務職 – 消防本部の庶務や管理業務
その他の職種(3職種)
- 学芸員 – 博物館・美術館での展示企画、資料管理
- 司書 – 図書館での図書管理、レファレンスサービス
- 保育士 – 公立保育所での保育業務
年収ランキングTOP10:地方公務員で高収入を狙える職種

地方公務員の年収は、職種、年齢、自治体の規模によって大きく異なります。
総務省「令和4年地方公務員給与実態調査」などのデータを基に、平均年収が高い職種をランキング形式で紹介します。
1位:医師(公立病院勤務) 平均年収約1,200万円〜1,800万円
公立病院に勤務する医師は、地方公務員の中で最も高収入です。専門性の高さと責任の重さが給与に反映されています。
2位:獣医師 平均年収約650万円〜850万円
獣医師免許を持つ専門職として、食品衛生や感染症対策など重要な業務を担当します。採用枠が少なく競争率は高めです。
3位:薬剤師 平均年収約600万円〜800万円
薬剤師免許が必要な専門職で、衛生部門や病院薬剤部での勤務が中心となります。
4位:警察官(上級職・幹部候補) 平均年収約550万円〜750万円
キャリア組や警部以上の幹部は、手当を含めると高収入になります。ただし、夜勤手当や各種手当が大きく影響します。
5位:消防士(救急救命士含む) 平均年収約500万円〜700万円
危険手当、夜勤手当などが加算されるため、基本給以上の収入が期待できます。
6位:土木職(管理職) 平均年収約500万円〜650万円
技術系職種の中核として、インフラ整備の中心的役割を担います。経験を積むと管理職として高収入が見込めます。
7位:建築職 平均年収約480万円〜630万円
一級建築士資格があれば、さらに給与面で優遇される自治体もあります。
8位:保健師 平均年収約450万円〜600万円
看護師資格と保健師資格の両方が必要ですが、安定した給与と勤務環境が魅力です。
9位:一般行政職(管理職) 平均年収約450万円〜600万円
採用人数が多く、管理職への昇進機会も比較的多いため、キャリアを積めば高収入が期待できます。
10位:情報職 平均年収約430万円〜580万円
DX推進の重要性から、近年需要が高まっている職種です。IT企業と比較すると給与は低めですが、安定性が魅力です。
年収に関する重要ポイント
地方公務員の給与は「給料表」によって定められており、年功序列的な給与体系が基本です。
ただし、専門職手当、地域手当、住居手当など各種手当が加算されるため、実際の年収は基本給よりも高くなります。
また、東京都や政令指定都市など大都市圏の自治体は、地方の小規模自治体と比べて給与水準が高い傾向にあります。

人気度ランキングTOP10:受験者が多い職種はこれだ

採用試験の競争倍率や受験者数から、人気の高い職種をランキング化しました。
1位:一般行政職 競争倍率約5〜20倍
最も採用人数が多く、幅広い業務に携われることから、毎年多くの受験者が集まります。特に都道府県庁や政令指定都市は倍率が高くなります。
2位:消防士 競争倍率約10〜30倍
「人の命を救う仕事」という使命感と、安定した給与体系が人気の理由です。体力試験があるため、事前の対策が必須です。
3位:警察官 競争倍率約5〜15倍
治安維持という社会貢献性の高さから、根強い人気があります。特に女性警察官の採用枠拡大に伴い、女性受験者も増加しています。
4位:保健師 競争倍率約10〜50倍
看護師よりも規則的な勤務時間で、ワークライフバランスが取りやすいことから人気です。ただし採用枠が少なく、狭き門となっています。
5位:保育士 競争倍率約3〜10倍
公立保育所での勤務は、私立と比べて給与や福利厚生が充実しているため人気です。
6位:土木職 競争倍率約2〜8倍
技術職の中では採用枠が比較的多く、インフラ整備という重要な役割を担えることが魅力です。
7位:建築職 競争倍率約3〜10倍
専門性を活かせる仕事として人気があります。一級建築士の資格があると有利です。
8位:福祉職 競争倍率約5〜15倍
社会福祉士や精神保健福祉士の資格を活かして、困っている人を支援できる仕事として人気です。
9位:心理職 競争倍率約10〜30倍
公認心理師や臨床心理士の資格が必要で、採用枠が少ないため高倍率になります。
10位:学芸員・司書 競争倍率約20〜100倍
採用人数が極めて少なく、非常に狭き門です。専門性と情熱が求められます。
採用難易度ランキング:合格するのが難しい職種トップ10

試験の難易度、必要な資格、競争倍率などを総合的に評価したランキングです。
1位:医師
医師免許が必要で、そもそも受験資格を得ること自体が困難です。
2位:学芸員・司書
採用枠が年間0〜2名程度と極めて少なく、倍率が100倍を超えることもあります。
3位:心理職
公認心理師や臨床心理士の資格取得に加え、実務経験が求められる場合も多く、総合的な難易度が高いです。
4位:保健師
看護師資格と保健師資格の両方が必要で、かつ採用枠が少ないため難関です。
5位:獣医師
獣医師免許が必要で、6年制の獣医学部を卒業する必要があります。採用枠も限られています。
6位:薬剤師
薬剤師免許が必要で、6年制の薬学部を卒業しなければなりません。
7位:一般行政職(都道府県・政令市)
大卒程度試験では、教養試験、専門試験、論文試験、面接試験と多段階の選考があり、総合的な能力が求められます。
8位:警察官(上級職)
キャリア採用試験は、国家公務員総合職レベルの難易度があります。
9位:消防士(大都市)
東京消防庁など大都市の消防は倍率が高く、筆記試験と体力試験の両方で高得点が必要です。
10位:土木職(技術系上級職)
技術士などの高度な専門知識が求められ、実務経験も評価されます。
自分に合った職種の選び方:5つのチェックポイント

地方公務員の職種選びで失敗しないために、以下の5つのポイントを確認しましょう。
ポイント1:自分の適性と興味を明確にする
「人と接する仕事がしたい」なら一般行政職や福祉職、「専門知識を深めたい」なら技術職、「体を動かす仕事がしたい」なら公安職が向いています。
ポイント2:必要な資格・学歴を確認する
医師、薬剤師、獣医師などは特定の資格が必須です。受験前に資格要件を必ず確認しましょう。
ポイント3:キャリアパスを考える
技術職は専門性を深められますが、管理職のポストは行政職より少ない傾向があります。将来のキャリアビジョンに合わせて選択しましょう。

ポイント4:ワークライフバランスを重視する
公安職は夜勤や休日勤務が多く、行政職は比較的規則的な勤務が可能です。自分のライフスタイルに合った職種を選びましょう。
ポイント5:採用枠と競争倍率を把握する
人気職種は倍率が高いため、併願戦略も重要です。複数の自治体・職種を受験することを検討しましょう。
よくある質問(FAQ)

Q1:一般行政職と技術職、どちらが出世しやすいですか?
一般的に、首長や副知事などのトップポストは行政職出身者が多い傾向にあります。ただし、技術職も技監などの専門的な管理職ポストがあり、一概には言えません。
Q2:転職で地方公務員になれますか?
はい、社会人経験者採用試験を実施している自治体が増えています。年齢制限(30〜40歳程度)はありますが、民間経験を活かして転職可能です。
Q3:小さな町役場と大きな県庁、どちらがおすすめですか?
小規模自治体は幅広い業務を経験でき、住民との距離が近いのが特徴です。大規模自治体は専門性を深められ、給与水準も高めです。自分の志向性で選びましょう。
Q4:技術職は理系の大学を出ていないと受験できませんか?
職種によって異なりますが、土木職や建築職などは工学系の学位や実務経験が求められることが多いです。募集要項を必ず確認してください。
まとめ:地方公務員の職種選びは人生を左右する重要な決断

地方公務員には28以上の多様な職種があり、それぞれに特徴があります。
年収、人気度、難易度のランキングを参考にしつつ、最も重要なのは「自分が何をしたいか」「どんな働き方を望むか」という点です。
職種選びの最終チェックリスト
- 自分の適性と興味に合っているか
- 必要な資格を取得できるか(または取得済みか)
- キャリアパスが自分の将来像と一致しているか
- ワークライフバランスは許容範囲か
- 採用倍率と自分の実力を客観視できているか
最後に
地方公務員は安定した雇用と社会貢献を両立できる魅力的な職業です。
本記事で紹介した情報を参考に、自分にとって最適な職種を見つけ、試験対策に取り組んでください。
各自治体の公式サイトや受験案内で最新情報を確認し、計画的に準備を進めることが合格への近道です。
あなたの地方公務員への挑戦を応援しています。

