「会計年度任用職員でも有給休暇はもらえる?」「何日もらえて、いつから使える?」働き始める前に、有給休暇制度について正しく理解しておくことは重要です。
本記事では、年次有給休暇(有給)の付与日数から取得方法、繰越ルール、特別休暇まで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。
会計年度任用職員の有給休暇とは

年次有給休暇は法律で保障された権利
会計年度任用職員にも、労働基準法に基づいた年次有給休暇が付与されます。
これは常勤職員と同様に、フルタイム・パートタイム問わず受けられる重要な権利です。
年次有給休暇(有給)の基本
- 労働基準法で保障された労働者の権利
- 賃金が支払われる休暇
- 原則として本人が希望する日に取得可能
- 使用しなかった分は翌年度に繰越可能(上限20日)
「年休」と「有給休暇」は同じ
公務員の世界では「年次有給休暇」を略して「年休(ねんきゅう)」と呼ぶことが一般的です。
民間企業でよく使われる「有給休暇」「有給」と同じ意味です。
本記事では、読者の分かりやすさを優先し「有給休暇」「年休」「有給」を同じ意味で使用します。
有給休暇の付与日数

基本は週5日勤務で10日
会計年度任用職員の有給休暇は、基本的には週5勤務で10日です。
これは労働基準法で定められた最低基準です。
採用した日から6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上勤務した労働者に対して、10日の年次有給休暇を付与しなければならないとされています。
継続勤務年数による加算
継続勤務年数に応じて、付与日数が増加します。
週5日勤務の場合の付与日数
| 継続勤務期間 | 付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以上 | 20日 |
その後は継続勤務年数に応じて日数が増えていき、最大で年20日まで付与されます。
週4日以下勤務の場合(比例付与)
パートタイムで週の勤務日数が少ない場合は、勤務日数に応じて比例付与されます。
週4日勤務の場合
| 継続勤務期間 | 付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 7日 |
| 1年6ヶ月 | 8日 |
| 2年6ヶ月 | 9日 |
| 3年6ヶ月 | 10日 |
| 4年6ヶ月 | 12日 |
| 5年6ヶ月 | 13日 |
| 6年6ヶ月以上 | 15日 |
週3日勤務の場合
| 継続勤務期間 | 付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 5日 |
| 1年6ヶ月 | 6日 |
| 2年6ヶ月 | 6日 |
| 3年6ヶ月 | 8日 |
| 4年6ヶ月 | 9日 |
| 5年6ヶ月 | 10日 |
| 6年6ヶ月以上 | 11日 |
週2日勤務の場合
| 継続勤務期間 | 付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 3日 |
| 1年6ヶ月 | 4日 |
| 2年6ヶ月 | 4日 |
| 3年6ヶ月 | 5日 |
| 4年6ヶ月 | 6日 |
| 5年6ヶ月 | 6日 |
| 6年6ヶ月以上 | 7日 |
週1日勤務の場合は、最初の6ヶ月で1日、その後徐々に増えて最大3日となります。
任用期間が6ヶ月以下の場合
任用期間が6か月を超えない場合は、年次有給休暇は付与されません。
これは労働基準法の規定によるものです。
ただし、前年度から引き続き会計年度任用職員として任用され、前年度の任用期間と当該年度の任用期間との通算期間が6か月を超える場合は付与されます。
有給休暇の付与タイミング

基本は4月1日または採用日
年次有給休暇は、1会計年度ごとにおける休暇として付与されます。
4月1日から翌年の3月31日までを一の年度として扱います。
付与のパターン
パターン1:4月1日採用で初年度
- 4月1日に有給休暇が付与される
- 週5日勤務の場合、10日付与
パターン2:4月1日採用で前年度から継続
- 4月1日に有給休暇が付与される
- 継続勤務年数に応じた日数(11日、12日…)
パターン3:年度途中採用
- 採用日に比例付与される
- または採用から6ヶ月経過後に付与(自治体による)
年度途中採用の比例付与
一の年度の間で1年に満たない期間で任用される会計年度任用職員の場合、任期に応じて比例付与されます。
計算例(週5日勤務、任期6ヶ月の場合)
- 基本日数10日×(任期6ヶ月÷12ヶ月)=5日
- 5日が付与される
ただし、自治体によって運用が異なるため、採用時に確認することをおすすめします。
採用後すぐに使えるか
新たに採用された会計年度任用職員が請求できる年次有給休暇の日数は、任用の日から6月までは、1月当たり1日を限度とするという制限を設けている自治体があります。
採用後6ヶ月間の取得制限例(10日付与の場合)
- 4月:1日まで
- 5月:累計2日まで
- 6月:累計3日まで
- 7月:累計4日まで
- 8月:累計5日まで
- 9月:累計6日まで
- 10月以降:制限なし(10日すべて使用可能)
これは、採用直後に大量の有給を取得して辞めてしまうケースを防ぐための措置です。
ただし、常勤の職員又は非常勤の職員であった者が、任用の中断なく会計年度任用職員に任用された場合はこの制限は適用されません。
有給休暇の繰越制度

20日を限度に翌年度へ繰越可能
使用しなかった有給休暇は、20日を限度として翌年度に繰り越すことができます。
これは労働基準法第115条に基づく規定で、有給休暇の請求権の消滅時効が2年とされているためです。
繰越のルール
- 当該年度に付与された日数を超えない範囲内の残日数を繰り越せる
- 上限は20日
- 有効期間は2年間
繰越の具体例
ケース1:10日付与、5日使用
- 当年度使用:5日
- 当年度残:5日
- 翌年度:5日(繰越)+10日(新規付与)=計15日
ケース2:10日付与、全く使用せず
- 当年度使用:0日
- 当年度残:10日
- 翌年度:10日(繰越)+10日(新規付与)=計20日
ケース3:前年繰越10日+当年10日=20日、5日使用
- 当年度使用:5日(古い有給から消化)
- 当年度残:15日
- 翌年度:15日(繰越)+10日(新規付与)=25日 → 上限20日まで
繰越には上限があるため、計画的に取得することが大切です。
継続勤務が繰越の条件
前年度から20日を限度に繰り越すには、「継続勤務」の要件を満たす必要があります。
継続勤務とみなされるケース
- 3月31日に任期終了、4月1日に再任用(空白なし)
- 勤務内容や勤務日数に変更がない
- 同じ部署で同じ業務を継続
継続勤務とみなされないケース 多くの自治体は、1か月以上の空白期間がある場合は、継続勤務要件を満たさないとしています。
労働基準法第39条における「継続勤務」となるか否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものであるとされており、例えば、勤務状況や所定勤務日数等の勤務の態様に変更がなく、単に任用根拠の変更により特別職非常勤職員であった者を会計年度任用職員として任用した場合、「継続勤務」となるものと考えられます。
勤務実績8割の要件
ただし、前年度における勤務実績(一の年度において割り振られた勤務日の総数に対する勤務した日数の割合)が8割に満たない職員については、繰越ができません。
重要なポイント 年休取得日は「勤務した日」としてカウントされるため、有給を取得したことが原因で8割を下回ることはありません。
有給休暇の取得方法

申請の手続き
有給休暇を取得するには、事前に所属長(上司)に申請する必要があります。
基本的な流れ
- 休暇届の提出
所定の休暇届に必要事項を記入し、所属長に提出します。 - 承認
任命権者は、年次有給休暇を会計年度任用職員の請求する時季に与えなければなりません。ただし、請求された時季に年次有給休暇を与えることが職務に支障のある場合には、他の時季にこれを与えることができます。 - 取得
承認された日に休暇を取得できます。
時季変更権
業務に支障がある場合、所属長は別の日への変更を求めることができます。
これを「時季変更権」といいます。
時季変更権が行使される例
- 繁忙期で人手が極端に不足している
- 同じ日に複数の職員が休暇を取得しようとしている
- 急な対応が必要な業務が発生している
ただし、時季変更権は無制限に行使できるものではなく、客観的に業務に支障がある場合に限られます。
取得単位
年次有給休暇の単位は、1日又は1時間の単位とします。
1日単位 通常の有給休暇の取り方です。丸1日休むことができます。
1時間単位(時間単位年休) 多くの自治体では、1時間単位での取得も認められています。
時間単位年休のメリット
- 通院や子どもの学校行事に対応しやすい
- 短時間の用事でも有給を有効活用できる
- 1日休むほどでない場合に便利
時間単位年休の換算 1時間を単位として与えた年次有給休暇を日に換算する場合は、勤務日1日当たりの勤務時間をもって1日とします。
例えば、1日7時間45分勤務の場合、7.75時間の時間単位年休で1日分となります。
5分単位での取得
自治体によっては、始業の時刻から休憩時間の開始時刻まで連続し、又は休憩時間の了時刻から終業の時刻まで連続する勤務時間を勤務しないときの年次有給休暇は、5分を単位として与えることができる場合があります。
年5日の取得義務
年次有給休暇が10日以上与えられた技能労務職員に対しては、当該年次有給休暇が与えられた日から1年以内に、当該技能労務職員の有する年次有給休暇日数のうち5日について、任命権者が当該技能労務職員の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させるものとします。
5日取得義務のポイント
- 年休が10日以上付与された職員が対象
- 使用者(任命権者)が時季を指定して取得させる義務
- 本人が既に5日以上取得していれば義務は発生しない
これは労働基準法の改正により、年10日以上の年休が付与される労働者に対して、最低5日の取得が義務付けられたものです。
有給以外の休暇制度

会計年度任用職員には、年次有給休暇以外にも様々な休暇が認められています。
特別休暇(有給)
全ての部門・職種において、「夏季休暇」や「忌引休暇」「結婚休暇」「災害等による出勤困難」などの有給での休暇を制度化している団体が全体の88.2%です。
主な有給の特別休暇
- 夏季休暇:3〜5日程度
- 忌引休暇:続柄により異なる(配偶者7日、父母5日など)
- 結婚休暇:5〜7日程度
- 産前産後休暇:産前8週間、産後8週間
- 通院休暇:妊娠中の定期健診
- 子の看護休暇
- ボランティア休暇
- 災害時の特別休暇
- 選挙権の行使
- 骨髄移植のためのドナー休暇
ただし、自治体によって制度の有無や内容が異なるため、確認が必要です。
病気休暇(私傷病休暇)
会計年度任用職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合における休暇です。
病気休暇の特徴
- 有給休暇として扱われる
- 1年度を通じて90日の範囲内
- 医師の診断書が必要
- 年次有給休暇とは別に付与される
対象は、6月以上の任期が定められている者又は6月以上継続勤務している者です。

介護休暇
家族の介護が必要な場合に取得できる休暇です。
会計年度任用職員の介護休暇は、常勤職員の例に準じます。
介護休暇の内容
- 対象家族:配偶者、父母、子、配偶者の父母など
- 期間:93日を限度
- 分割取得可能
育児休業
「地方公務員の育児休業等に関する法律」に基づく育児休業や部分休業は、一定の条件を満たす会計年度任用職員にも適用されます。
育児休業の条件
- 引き続き1年以上在職
- 子が1歳6か月に達する日までに任期が満了すること及び引き続き採用されないことが明らかでない
- 人事委員会規則で定める勤務日数以上の勤務
原則として子が1歳に達するまで取得できます。

特別休暇(無給)
労働基準法第67条の規定による育児時間、病気その他の特別の事由により会計年度任用職員が勤務しないことが相当であるとして自治体が定める場合における休暇です。
主な無給の特別休暇
- 労働基準法に基づく育児時間
- 長期の療養が必要な場合(90日を超える病気休暇)
- 配偶者の出産に伴う休暇
- 公民権の行使
総務省が指摘した不適切な事例

繰越が適切に行われていない事例
令和2年9月、総務省は一部の自治体において、平成31年度に臨時・非常勤職員であった者を令和2年度も会計年度任用職員として任用し、当該職員が労働基準法における「継続勤務」の要件を満たす場合にも関わらず、平成31年度に付与された年次有給休暇を繰り越していないという不適切な事例を指摘しました。
労働基準法第115条(地方公務員にも適用)により、年次有給休暇の請求権の消滅時効は2年とされており、労働基準法における「継続勤務」の要件を満たす場合には、前年度に付与された年次有給休暇を、翌年度に繰り越す必要があります。
継続勤務年数が考慮されていない事例
また、令和2年度に会計年度任用職員として任用し、当該職員が労働基準法における「継続勤務」の要件を満たすにも関わらず、当該職員に対して、令和2年度の年次有給休暇として新たに10日(繰り越し日数分を除く)のみ付与し、継続勤務年数の区分に応じた日数を加えて付与していないという事例も指摘されました。
労働基準法第39条では、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、10日に加えて更に継続勤務年数に応じた日数を付与しなければならないとされています。
もし自治体が適切に有給休暇を付与・繰越していない場合は、人事担当者に確認し、是正を求めることができます。
有給休暇取得のポイント

計画的に取得する
有給休暇は労働者の権利ですが、業務への配慮も必要です。
おすすめの取得方法
- 年度初めに年間計画を立てる
- 家族旅行や帰省などの予定を早めに決める
- 繁忙期を避けて取得する
- 月1〜2日程度を目安に
- 週5日勤務で10日付与の場合、月1日取得で年12日
- 繰越分も含めて計画的に消化
- 連休を活用する
- 祝日の前後に有給を取得
- 長期休暇でリフレッシュ
取得しやすい職場づくり
有給を取得しやすい雰囲気を作ることも大切です。
職場での工夫
- 早めに休暇予定を共有する
- お互いの休暇を尊重する
- 業務の引き継ぎをしっかり行う
- 休暇中の連絡ルールを明確にする
権利として主張する
任命権者は、年次有給休暇を会計年度任用職員の請求する時季に与えなければならないとされています。
合理的な理由なく有給取得を拒否されたり、取得をためらわせるような雰囲気がある場合は、人事担当者や労働組合に相談しましょう。
注意すべきポイント

空白期間による継続勤務の中断
多くの自治体は、1か月以上の空白期間がある場合は、継続勤務要件を満たさないとしています。
更新時に不用意な空白期間を設定されないよう、任用条件をよく確認しましょう。
勤務実績8割の維持
有給を繰り越すには、勤務実績が8割に満たない会計年度任用職員は対象外となります。
ただし、年次有給休暇取得日は勤務したものとみなされるため、有給を取得したことが原因で8割を下回ることはありません。
自治体による制度の違い
有給休暇制度の細かい運用は自治体によって異なる場合があります。
確認すべき事項
- 採用時の有給付与日数
- 採用後6ヶ月間の取得制限の有無
- 時間単位年休の可否
- 継続勤務の判断基準(空白期間の許容範囲)
- 特別休暇の種類と日数
- 病気休暇の日数
採用時や任用契約書で必ず確認しましょう。
よくある質問

Q1. 採用初年度は有給休暇をもらえませんか?
A1. いいえ、もらえます。任用期間が6か月を超えない場合は付与されませんが、6ヶ月を超える任期であれば、採用時または6ヶ月経過時に有給休暇が付与されます。
Q2. 前職が臨時職員だった場合、継続勤務になりますか?
A2. 勤務状況や所定勤務日数等の勤務の態様に変更がなく、単に任用根拠の変更により特別職非常勤職員であった者を会計年度任用職員として任用した場合、「継続勤務」となると総務省が示しています。実態に即して判断されます。
Q3. 有給を使わないと損ですか?
A3. 20日を限度として繰り越せますが、繰越は翌年度までです。つまり、最大2年間で消滅します。計画的に取得することをおすすめします。
Q4. 有給取得を拒否されることはありますか?
A4. 原則として本人が希望する日に取得できます。ただし、業務に著しい支障がある場合、所属長は時季変更権を行使して別の日への変更を求めることができます。
Q5. 退職時に残った有給は買い取ってもらえますか?
A5. 公務員の場合、有給の買い取りは原則として認められていません。退職日までに計画的に取得するか、繰越の範囲内で翌年度に持ち越すしかありません。
Q6. パートタイムでも有給はもらえますか?
A6. はい、もらえます。フルタイム・パートタイム問わず、年次有給休暇や産休育休などの休暇が取得できます。ただし、勤務日数に応じて比例付与されます。


Q7. 有給が足りない場合はどうすればいいですか?
A7. 有給を使い切った場合は、病気の場合は病気休暇、その他の事由の場合は特別休暇や欠勤扱いとなります。ただし、欠勤は無給となるため注意が必要です。
まとめ:有給休暇を有効活用しよう

重要ポイントの再確認
- 基本は週5日勤務で10日
週5勤務で10日です。これに、継続勤務年数により加算されたり、週当たりの勤務日数、勤務時間によっては減ります。 - 20日を限度に繰越可能
前年度から20日を限度に繰り越しもできます(2年間有効) - 継続勤務が繰越の条件
継続勤務がキーになります。空白期間がある場合は、継続勤務の要件を満たしません。 - 労働基準法で保障された権利
年次有給休暇は、労働基準法に基づいて付与されます。 - フルタイム・パートタイム共通
勤務形態に関わらず、勤務日数に応じた有給が付与される - 特別休暇も充実
有給以外にも、病気休暇、特別休暇、育児休業などが利用できる
最後に
年次有給休暇は、心身の健康を保ち、仕事の効率を高めるために重要な制度です。会計年度任用職員として働く上で、自分に付与される有給日数を正しく理解し、計画的に取得することが大切です。
有給取得の心構え
- 権利として堂々と取得する
- 業務への配慮も忘れずに
- 計画的に消化して繰越を最大限活用
- 取得しづらい雰囲気があれば相談する
もし有給の付与や繰越について疑問がある場合は、遠慮なく人事担当者に確認しましょう。正しい知識を持って、有給休暇を有効に活用してください。

