地方公務員法・地方自治法の改正により、全国すべての市町村で令和2年4月1日から「会計年度任用職員制度」が始まりました。
ボーナスや退職手当が出るようになったり、有給休暇の使い勝手がよくなったりと待遇は以前の臨時的任用職員と比べて、かなり改善されました。
もちろん、良いことばかりではなく、様々な問題点を抱えている制度ではあります。
しかし、パート・アルバイトとして働きたい!と思う方からすると、コンビニやスーパーなどで働くよりも、遥かに厚待遇のため、非常に人気があり、今現在働いている人も多くいます。
そこで、このページでは、パートタイム会計年度任用職員について、わかりやすく解説していきたいと思います。
パートタイム会計年度任用職員になる人がほとんど
会計年度任用職員には
・パートタイム会計年度任用職員
・フルタイム会計年度任用職員
の2種類あります。
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名称のとおり、フルタイム会計年度任用職員の方が働く時間も多く、パートタイム会計年度任用職員と比べて給料等は優遇されています。
しかし、フルタイム会計年度任用職員になるためには、特殊な資格を保有しているなど、かなり条件が厳しく、なれる人がほとんどいないため、大半の人はパートタイム会計年度任用職員として採用されます。
そのため、会計年度任用職員として働く場合は、パートタイム会計年度任用職員についてだけ知っておけば大丈夫です。
パートタイム会計年度任用職員の待遇
それでは、最初にパートタイム会計年度任用職員の仕事内容や勤務時間等の待遇について、一つ一つ説明します。
仕事内容
会計年度任用職員の業務内容・仕事内容を簡単にまとめると下記のとおりです。
・窓口対応・電話対応
・外部のお客さんへのお茶出し
・簡単な事務作業
・各種雑用
基本的に市役所の仕事として、皆さんがイメージするような仕事をします。
大半は正規職員の補助がメインの仕事のため、比較的楽な仕事が多いですが、部署によっては、正規職員と同等の仕事内容・責任を負わされる場合もあるため注意が必要です。
勤務時間が短い
パートタイム会計年度任用職員の勤務時間は、週38時間45分未満で調整されます。
大抵のパートタイム会計年度任用職員は1日の勤務時間が6時間45分で設定されており、フルタイム会計年度任用職員や正規職員より1時間遅くに出勤したり、1時間早く退勤したりしています。
また、週の勤務時間を調整すれば良いため、1日の勤務時間をフルタイム会計年度任用職員や正規職員と同様に7時間45分にする代わりに休日を増やしたりする場合もあります。
1日の勤務時間を減らすか、出勤日数を減らすか、については、自由に選ぶこともできますが、時期によって忙しい時期もあるため、上司から指定されることもあります。
休暇は自由に取得できる
会計年度任用職員は年次有給休暇の他、病気休暇、介護休暇、特別休暇を取得することができます。
とは言え、全ての休暇が有給休暇ではなく、時間単価が減額されたり、無給になるため、メインで使うことになるのは、年次有給休暇になります。
そこで、問題になるのが、年次有給休暇を自由に取得することができるのか?についてですが、パートタイム会計年度任用職員は年次有給休暇を自由に取得することができます。
時期によっては、繁忙期のため、休めない時期もあるかもしれませんが、年間に付与される年次有給休暇については、100%消化することができます。
少なくとも、私の勤めている市役所であれば、パートタイム会計年度任用職員の有給休暇は100%消化してもらうことが当然となっています。
パートタイム会計年度任用職員の給料
パートタイム会計年度任用職員の待遇の次はパートタイム会計年度任用職員の給料面について説明します。
ボーナスが出る
会計年度任用職員制度に変わって大きく変化したことの1つとしてボーナスが支給されるようになりました。
ボーナスについては、パートタイム会計年度任用職員も対象となっていますので、毎年6月と12月にボーナスが支給されます。
ボーナスが出るようになった分、残念な点として、以前の臨時職員と比べて、月々の給料は減額されています。
年収ベースで比べると増えているんですが、その分、やりくりが大変になっています。
退職手当はない
会計年度任用職員制度に変わって、退職手当も出るようになったんですが、退職手当の対象はフルタイム会計年度任用職員のみです。
そのため、パートタイム会計年度任用職員は残念ながら何年働いても、退職手当は出ません。
昇給はない
会計年度任用職員制度に変わって、昇給制度も導入されました。
昇給制度に関しては、自治体によって異なり、フルタイム会計年度任用職員については、どこの自治体も昇給できるように条例改正がされていますが、パートタイム会計年度任用職員に関しては、自治体によってバラバラで、昇給するところもあれば、昇給しないところもあります。
なお、昇給する場合も、すぐに昇給の上限額に達するため、そこまで年収が増えるわけではありません。
年収の目安
会計年度任用職員の年収の目安ですが、200万円程度です。
地域差があり、都会の市役所に勤めれば地域手当が出る分、給料は増えます。
また、職種によっては、比較的給料が高い場合もあります。とは言え、それらを加味しても、良くて年収は300万円程度です。
どれだけ優秀でも、どれだけ長い期間働いても、年収は200万円~300万円となります。
副業・兼業・ダブルワークができる
フルタイム会計年度任用職員は副業が認められていませんが、パートタイム会計年度任用職員には副業が認められています。
・不動産
・株
・投資信託
・FX
・仮想通貨
・農業
・アフィリエイト
・動画配信
など、副業と言われて思いつく仕事は全てできます。
さらに、パートタイム会計年度任用職員として働きながら、別の会社に勤めることも可能です。
ただし、1日の労働時間が7時間45分を超える部分については、後から勤務を始めた方が割増賃金を支払わなければいけなくなるため、兼業・ダブルワークをする場合は、少しハードルが上がります。
会計年度任用職員の雇用期間
次に、会計年度任用職員の雇用期間等、何歳まで働くことができるのかについて、説明します。
雇用期間は最長1年間
パートタイム会計年度任用職員の1回の任用期間は、その名のとおり、原則1会計年度(4月1日から翌年3月31日)の最長1年です。
中には、それよりも短期のものもありますし、年度をまたぐものもあります。
例えば税務課などは、確定申告時期が忙しいため、12月から6月までと期間が半年で、年度をまたいで雇用される場合もあります。
ただし、これらは例外で原則は4月1日から翌年3月31日までの1年間です。
そのため3月31日を迎えたら、自動的に雇用契約は終了となります。
更新回数は2回まで
パートタイム会計年度任用職員の雇用期間は1年間ですが、勤務成績が良好な場合は任用期間を更新し、年度を超えて働くことができます。
ただし、会計年度任用職員の任用期間の更新回数は2回までと決められています。
つまり、1度会計年度任用職員と雇用されると最初の1年間+更新2回で合計3年間は働くことができます。
3年後については、最初と同じように再度公募に応募し他の受験者と一緒に選考試験を受けて合格することで、再び3年間働くことができます。
そのため、採用→更新→採用→更新・・・と繰り返すことで、長期に渡って働くことも可能です。
5年ルール・無期転換ルールは適用されない
平成24年8月に労働契約法が改正され、翌年平成25年4月1日に施行されました。
この改正によりパート、アルバイト、派遣、契約社員などの有期労働契約で働いている人が同じ職場で雇用契約を更新されて契約期間が5年を超えた場合、労働者が雇用主に申し出ることによって無期雇用になれるようになりました。
これは、たとえ1回の契約期間が1年であっても繰り返し雇用されていたら、更新されているため、雇用期間は1年目、2年目、3年目・・・と数え、累計で5年を超えていたら無期雇用に変えてもらうことが可能です。
これを無期転換ルール、もしくは5年ルールと言い、民間企業では同じ職場で5年間働けば正社員になることができます。
しかし、パートタイム会計年度任用職員は公務員のため、労働契約法そのものが適用されず、再度の任用を繰り返して5年間継続勤務しても、無期雇用に転換されることはありません。
正規職員になるには、公務員採用試験を合格するしかありません。
https://omotyatyousatai.com/kaikeinendomondaiten/
定年は原則ない
会計年度任用職員に定年はありません。
会計年度任用職員については、新地方公務員法第28条の2第4項の規定に基づく非常勤職員に当たることから、定年制は適用されず、また、募集に当たり年齢制限を設けることは雇用対策法の趣旨から適切ではない。
と総務省のQ&Aにも記載があることから、定年はなく、理論上は何歳まででも働き続けることが可能です。
しかし、正規職員が退職して会計年度任用職員として雇用された場合に、再雇用会計年度任用職員となるんですが、この再雇用会計年度任用職員には定年があり、65歳までと決められています。
これはあくまで再雇用会計年度任用職員の定年であって、パートタイム会計年度任用職員に適用されるものではありませんが、運用上は65歳を定年と目安に辞めてもらっている自治体が多いと思います。
もちろん、表立って「65歳だから、もう雇用しません。」と言うことはできませんが、65歳を超えたら何かしらの別の理由をつけて、辞めてもらっていると思います。
なお、現在国会で検討されている公務員の定年が延長されれば、再雇用会計年度任用職員の定年も伸びるため、それに応じた年齢まで運用上の定年も伸びると予想されます。
公務員採用試験で有利になるか?
会計年度任用職員として働くこと、そのものは面接時に有利に働きます。
面接時に、パートタイム会計年度任用職員として、こういう業務をしてきた経験があるとアピールすれば、即戦力になると高評価を得られるでしょう。
しかし、第一希望の市町村役場で働くことはオススメしません。
なぜなら、働いている間のあらゆる行動すべてが面接時の判断材料になってしまうからです。
ある研究では大抵の公務員は入庁時が能力のピークであり、その後は役所での仕事に慣れてしまい、社会人としての能力は経験を積めば積むほど下がると言われています。
例えば近くの役所に行ったらわかると思いますが、年齢が上の職員ほど不遜な態度になり、挨拶ですらまともにできない人ばかりです。
そんな中で仕事をしていると、最初はできていた挨拶ができなくなったり、仕事が雑になったりと、粗が見えるようになります。
そして、そういう姿を上司・人事部は見ています。
もちろん、中には周りに流されず、コミュニケーションが取れて、バリバリ仕事ができる人もいるかもしれませんが、そういう人は極々少数です。
実際、私の知り合いのほとんどは、第一希望の市町村役場で会計年度任用職員として働いた結果、第一希望の市町村役場は落ちてしまい、別の市町村役場では上位の成績で合格しています。
まとめ
パートタイム会計年度任用職員について、紹介させていただきました。
バリバリ働きたい人にとっては、物足りないかもしれませんが、スーパーやコンビニでアルバイトとして働くよりも、仕事は楽ですし、休暇も自由に取れますし、給料も良いため主婦や主夫の方にはパートタイム会計年度任用職員はオススメです。
その他、会計年度任用職員のメリット・デメリットについては、下記のページを御覧ください。