「地方公務員って実際どうなの?」「安定してるって本当?」「給料は高い?低い?」公務員を目指す方や、民間企業との選択で迷っている方にとって、地方公務員の実態は気になるところです。
地方公務員の最大のメリットは「安定性」です。リストラがなく、倒産リスクもなく、退職金・年金も確実に受け取れます。一方、デメリットは「給与の伸びが限定的」「副業制限」「転勤の可能性」などがあります。ただし、これらは一概に良い悪いではなく、個人の価値観により評価が分かれます。
本記事では、地方公務員のメリット・デメリットについて、給与、労働環境、福利厚生、キャリアなど、あらゆる角度から客観的に解説します。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- 地方公務員の10大メリット
- 地方公務員の10大デメリット
- 民間企業との比較
- メリット・デメリットの実例
- 向いている人・向いていない人
- 後悔しないための判断基準
地方公務員のリアルな実態を知り、後悔のない選択をしましょう。
地方公務員の10大メリット

メリット1:圧倒的な雇用の安定性
地方公務員の最大のメリットは、雇用の安定性です。
具体的な安定性
- リストラがない
- 倒産リスクがない
- 業績悪化による給与削減がほとんどない
- 定年まで働ける
- 解雇される可能性が極めて低い
法的保護: 地方公務員法により、分限処分(免職)は以下の場合のみになります。
- 勤務実績が極めて悪い
- 心身の故障で職務遂行が困難
- 職に必要な適格性を欠く
- 組織改廃による廃職または過員(極めて稀)
実際の解雇率: 民間企業の非自発的離職率が約1〜2%に対し、公務員の分限免職は0.01%未満です。

不況時の強さ: リーマンショックやコロナ禍でも、公務員の雇用は守られました。民間企業では倒産やリストラが相次ぐ中、公務員は安定して働き続けることができました。
メリット2:充実した福利厚生
地方公務員の福利厚生は、大企業と同等以上に充実しています。
主な福利厚生
- 共済組合の医療保険(付加給付あり)
- 退職金(勤続35年で約2,100〜2,300万円)
- 年金(厚生年金 + 年金払い退職給付)
- 各種手当(住居、扶養、通勤、地域等)
- 有給休暇20日(取得率60〜70%)
- 特別休暇20種類以上(ほぼ有給)
- 育児・介護休業(充実)
- 共済組合の福利厚生(保養所、低金利貸付等)
医療費の実質負担: 高額療養費制度 + 付加給付により、医療費の自己負担は月額2.5万円程度が上限です。
育児・介護休業
- 育児休業:最長3年、手当金あり(給与の67%→50%)
- 育児短時間勤務:小学校就学前まで
- 男性の育児休業取得率も上昇中
具体例(30歳、配偶者 + 子2人)
- 給料月額:30万円
- 地域手当(20%):6万円
- 扶養手当:2.15万円
- 住居手当:2.8万円
- 合計:約41万円/月
これらの手当により、実質的な収入は給料月額を大きく上回ります。

メリット3:ワークライフバランスの実現
地方公務員は、ワークライフバランスが取りやすい職場です。
労働時間
- 1日7時間45分(自治体により異なる)
- 完全週休2日制
- 残業は部署により異なるが、平均月10〜20時間程度
休暇制度
- 年次有給休暇:20日/年
- 特別休暇:結婚、忌引、出産、子の看護、ボランティア等
- 夏季休暇:3〜5日
- すべて有給
休暇取得率: 民間企業平均が約56%に対し、公務員は約60〜70%と高めです。
家族との時間: 土日休みが基本のため、家族との予定が立てやすいです。
育児との両立: 育児休業や育児短時間勤務の取得率が高く、育児と仕事の両立がしやすい環境です。


メリット4:確実な昇給と退職金
地方公務員は、着実に給与が上昇します。
定期昇給
- 年1回、4号給昇給(標準)
- 年間約1〜2万円の昇給
- 人事評価により多少変動
生涯賃金の予測可能性: 俸給表により、将来の給与が予測できます。
昇給例(大卒)
- 22歳(初任給):約18.5万円
- 30歳(主任):約28万円
- 40歳(課長補佐):約38万円
- 50歳(課長):約45万円

退職金
- 勤続35年:約2,100〜2,300万円
- 確実に受け取れる

年金
- 厚生年金 + 年金払い退職給付
- 月額約20〜25万円(勤続35年)

生涯収入(勤続35年)
- 給与:約2億2,000万円
- 退職金:約2,200万円
- 年金(20年):約5,000万円
- 合計:約2億9,000万円

メリット5:社会的信用の高さ
地方公務員は、社会的信用が高い職業です。
信用の具体例
- 住宅ローンの審査が通りやすい
- クレジットカードの審査が通りやすい
- 賃貸物件の審査が通りやすい
- 結婚相手として評価される
住宅ローン
- 低金利で借りられる
- 共済組合の住宅貸付(年利約1%)も利用可能
- 民間銀行も公務員向け優遇プランあり
社会的地位: 「公務員」という肩書きに対する一定の信頼があります。
メリット6:専門性を活かせる
地方公務員は、様々な専門職があります。
専門職の例
- 土木技師、建築技師、電気技師
- 保健師、看護師、栄養士
- 心理職、福祉職
- 司書、学芸員


専門性のメリット
- 専門知識を活かせる
- やりがいのある仕事
- 専門性が評価される
技術職の需要: 特に土木・建築などの技術職は、人手不足で需要が高いです。
メリット7:地域貢献のやりがい
地方公務員は、直接地域社会に貢献できます。
やりがいの具体例
- 住民から直接感謝される
- 地域の課題解決に携われる
- 公共の利益のために働ける
- 自分の仕事が地域を良くする
民間企業との違い: 民間企業は利益追求が目的ですが、公務員は公共の福祉が目的です。
実例
- 福祉窓口で住民の生活を支援
- 防災対策で地域の安全を守る
- 子育て支援で家族を支える
メリット8:転職しやすい(経験者採用の増加)
近年、公務員から民間、民間から公務員への転職が増えています。
公務員から民間
- 公務員経験者は、民間企業から評価される
- 特に大手企業や公益法人で需要あり

民間から公務員(経験者採用)
- 30代〜40代の経験者採用枠が増加
- 民間経験が評価される

キャリアの幅: 公務員経験は、キャリアの選択肢を広げます。
メリット9:研修制度の充実
地方公務員は、研修制度が充実しています。
研修の種類
- 新規採用職員研修
- 階層別研修(主任、係長、課長等)
- 専門研修(法務、財務、政策立案等)
- 派遣研修(民間企業、他自治体、海外等)
費用: すべて自治体負担(給与をもらいながら研修)
スキルアップ: 業務に必要なスキルを体系的に学べます。
メリット10:倒産・リストラの不安がない
民間企業では常にある「倒産」「リストラ」の不安が、公務員にはありません。
精神的な安定
- 将来設計が立てやすい
- 家族を安心させられる
- 住宅ローンを組みやすい
- 老後の不安が少ない
不況時の強さ: 景気に左右されず、安定した収入を得られます。
地方公務員の10大デメリット

デメリット1:給与の伸びが限定的
地方公務員の給与は、民間大企業と比較すると低めです。
給与比較(30歳、大卒)
- 地方公務員:約400〜500万円
- 民間大企業:約500〜700万円
- 差:約100〜200万円
初任給は同程度
- 公務員:約18.5万円
- 民間大企業:約20〜22万円

40歳以降の差: 民間大企業では、役職に就くと給与が大幅に上昇しますが、公務員は緩やかな上昇です。
生涯賃金比較
- 公務員:約2.5億円
- 民間大企業:約3億円〜
- 差:約5,000万円
ただし、中小企業と比較すれば、公務員の方が高い場合が多いです。

デメリット2:副業・兼業の制限
地方公務員は、原則として副業が禁止されています。
法的根拠: 地方公務員法第38条「営利企業への従事等の制限」
禁止される副業
- アルバイト
- ビジネスの経営
- 株式投資(節度を超える場合)
- 不動産投資(一定規模以上)
許可が必要な副業
- 講師、執筆(自治体の許可が必要)
- 農業(小規模)
- 不動産賃貸(一定規模以下)
近年の動き: 一部の自治体では、副業解禁の動きもあります。
影響: 追加収入を得る手段が限られます。


デメリット3:転勤の可能性
都道府県職員の場合、転勤があります。
転勤の頻度
- 都道府県:3〜5年ごと
- 政令市:比較的少ない
- 一般市町村:ほとんどない
転勤の範囲
- 都道府県:県内全域
- 遠隔地への転勤もあり
影響
- 家族との別居(単身赴任)
- 引っ越しの負担
- 子どもの転校
回避方法: 一般市町村職員であれば、転勤はほとんどありません。

デメリット4:残業代が出ない管理職
管理職に昇進すると、残業代が支給されなくなります。
管理職手当
- 月額4〜12万円程度
- 残業時間に関わらず定額
実質的な給与: 残業が多い部署の管理職は、実質的な時給が下がる場合があります。
具体例
- 管理職手当:月8万円
- 残業:月80時間
- 実質的な残業代:1,000円/時間
一般職員(残業代あり)の方が手取りが多い場合もあります。
デメリット5:配属先を選べない
公務員は、配属先を選べません。
配属の決定
- 人事異動により決定
- 希望は出せるが、必ずしも通らない
- 3〜5年で異動
希望と異なる部署
- 福祉を希望したのに、税務課に配属
- 事務職を希望したのに、現場作業
ジェネラリスト育成: 様々な部署を経験させる方針のため、専門性が身につきにくい面もあります。

デメリット6:年功序列で実力が評価されにくい
公務員は、年功序列の色が強いです。
昇進のスピード
- 同期入庁者は、ほぼ同じペースで昇進
- 実力があっても、抜擢は少ない
人事評価制度: 近年導入されていますが、給与や昇進への影響は限定的です。
若手の不満: 実力があっても、年齢により給与・役職が制限されます。
変化の兆し: 一部の自治体では、能力主義の導入が進んでいます。
デメリット7:民間と比較した初任給の低さ
初任給は、民間大企業より低めです。
初任給比較
- 公務員(大卒):約18.5万円
- 民間大企業:約20〜22万円
- 差:約1.5〜3.5万円
若手時代の給与: 20代は、民間企業の方が給与が高い傾向があります。
逆転時期: 30代後半〜40代で、公務員の方が安定して高くなる場合があります(民間の業績により異なる)。
デメリット8:世間からの厳しい目
公務員は、世間から厳しい目で見られることがあります。
批判の例
- 「税金で食べている」
- 「仕事が楽」
- 「不祥事が多い」
プライベートへの影響
- 公務員であることを隠す人もいる
- SNSの発信に注意が必要
実際: 多くの公務員は真面目に働いていますが、一部の不祥事により全体のイメージが悪化します。
デメリット9:意思決定の遅さ
公務員の組織は、意思決定に時間がかかります。
理由
- 稟議・決裁の段階が多い
- 前例主義
- リスク回避志向
影響
- 新しい取り組みが進みにくい
- 迅速な対応が難しい
- もどかしさを感じる
民間企業との違い: 民間企業の方が、スピード感のある意思決定ができます。
デメリット10:ルーチンワークが多い
部署によっては、ルーチンワークが中心になります。
例
- 窓口業務:同じ対応の繰り返し
- 税務課:税金の計算・徴収
- 経理課:決まった事務処理
影響
- 刺激が少ない
- スキルアップが限定的
- 単調に感じる
ただし、すべての部署がそうではなく、政策立案や企画部門は創造的な仕事も多いです。
民間企業との比較

給与・待遇の比較
| 項目 | 地方公務員 | 民間大企業 | 民間中小企業 |
|---|---|---|---|
| 初任給 | 約18.5万円 | 約20〜22万円 | 約18〜20万円 |
| 30歳年収 | 約400〜500万円 | 約500〜700万円 | 約350〜450万円 |
| 生涯賃金 | 約2.5億円 | 約3億円〜 | 約2億円 |
| 退職金 | 約2,200万円 | 約2,000万円 | 約1,000万円 |
| 年金 | 充実 | 充実 | 標準的 |
| 雇用の安定性 | ◎ | ○ | △ |
| 昇給 | 確実だが緩やか | 業績による | 限定的 |
結論
- 安定性:公務員 > 民間
- 給与水準:民間大企業 > 公務員 > 民間中小企業
- 福利厚生:公務員 ≧ 民間大企業 > 民間中小企業
ワークライフバランスの比較
| 項目 | 地方公務員 | 民間大企業 | 民間中小企業 |
|---|---|---|---|
| 労働時間 | 適正 | 長い場合も | 長い場合が多い |
| 残業 | 月10〜20時間 | 月20〜40時間 | 月20〜60時間 |
| 休暇取得 | 取りやすい | 取りにくい場合も | 取りにくい |
| 育児休業 | 取得しやすい | 取得可能 | 取得困難な場合も |
結論: ワークライフバランスは、公務員が最も優れています。
地方公務員に向いている人・向いていない人

向いている人
1. 安定を重視する人
- 将来の不安を減らしたい
- 家族を安心させたい
- 長期的な人生設計を立てたい
2. 地域貢献にやりがいを感じる人
- 公共の利益のために働きたい
- 住民の役に立ちたい
- 地元を良くしたい
3. ワークライフバランスを重視する人
- 家族との時間を大切にしたい
- プライベートを充実させたい
- 育児と仕事を両立したい
4. コツコツ真面目に働ける人
- ルールを守れる
- 地道な作業も苦にならない
- 責任感がある
5. 長期的なキャリアを考える人
- 一つの組織で長く働きたい
- 定年まで勤めたい
- 安定した収入を得たい
向いていない人
1. 高収入を求める人
- 年収1,000万円以上を目指す
- 大きく稼ぎたい
- 実力で収入を増やしたい
2. 起業志向の人
- 自分のビジネスを持ちたい
- 自由に働きたい
- リスクを取ってでも挑戦したい
3. 変化を求める人
- 刺激的な仕事がしたい
- 新しいことに挑戦したい
- ルーチンワークが苦手
4. 実力主義を求める人
- 若いうちに出世したい
- 実力で評価されたい
- 年功序列が嫌い
5. 副業で稼ぎたい人
- 複数の収入源を持ちたい
- 副業を本格的にやりたい
- 投資で大きく増やしたい
まとめ:地方公務員のメリット・デメリットを理解する

地方公務員のメリット・デメリットについて、あらゆる角度から解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
10大メリット
- 圧倒的な雇用の安定性
- 充実した福利厚生
- ワークライフバランスの実現
- 確実な昇給と退職金
- 社会的信用の高さ
- 専門性を活かせる
- 地域貢献のやりがい
- 転職しやすい
- 研修制度の充実
- 倒産・リストラの不安がない
10大デメリット
- 給与の伸びが限定的
- 副業・兼業の制限
- 転勤の可能性
- 残業代が出ない管理職
- 配属先を選べない
- 年功序列で実力が評価されにくい
- 民間と比較した初任給の低さ
- 世間からの厳しい目
- 意思決定の遅さ
- ルーチンワークが多い
総合評価
地方公務員は、「安定性」「福利厚生」「ワークライフバランス」を最重視する人には最適な選択です。一方、「高収入」「実力主義」「変化」を求める人には向いていません。
判断のポイント:
- 何を優先するか明確にする
- 安定 vs 収入
- ワークライフバランス vs キャリアアップ
- 地域貢献 vs 利益追求
- 長期的な視点で考える
- 30年後、40年後を想像する
- 家族のライフプランも考慮
- 老後の生活も視野に
- 実際に話を聞く
- 現役公務員に話を聞く
- インターンシップに参加
- 説明会に参加
- 民間企業も検討する
- 公務員一択にせず、民間も視野に
- 自分に合った働き方を探す
最後に
メリット・デメリットは、人それぞれの価値観により評価が変わります。
- ある人にとってのメリットが、別の人にはデメリット
- 完璧な職業はない
- 自分の価値観に合った選択を
地方公務員は、安定性とワークライフバランスを重視する人には非常に魅力的な選択肢です。一方で、高収入や実力主義を求める人には物足りないかもしれません。
自分の価値観を明確にし、後悔のない選択をしてください。
この記事が、地方公務員のメリット・デメリットの理解と、キャリア選択の一助となれば幸いです。
