「地方公務員って全国に何人いるの?」「職種別の人数は?」「どの都道府県が多い?」地方公務員の実態を理解する上で、人数に関するデータは重要な情報です。
地方公務員の総数は、令和4年(2022年)時点で約274万人です。これは日本の就業者全体の約4%にあたります。
職種別では教員が最も多く約100万人、次いで一般行政職が約55万人、警察官が約26万人と続きます。近年は人口減少や財政難を背景に、地方公務員数は減少傾向にあります。
本記事では、地方公務員の人数について、総数の推移から職種別内訳、都道府県別の分布、国際比較まで、データに基づいて網羅的に解説します。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- 地方公務員の総数と推移(過去20年間)
- 職種別の人数と割合(教員・警察官・消防士・行政職等)
- 都道府県別・市区町村別の職員数
- 人口に対する公務員比率
- 国際比較(日本は公務員が多いのか少ないのか)
- 今後の見通しと採用動向
- 地方公務員になる競争率への影響
地方公務員の実態を数字で正確に理解しましょう。
地方公務員の総数とは

令和4年度の最新データ
総務省の「地方公務員数の状況」によると、地方公務員の総数は以下の通りです。
令和4年(2022年)4月1日時点
- 総数:2,739,751人
内訳
- 一般職員:2,723,294人
- 特別職員:16,457人
就業者全体に占める割合
- 日本の就業者総数:約6,700万人
- 地方公務員の割合:約4.1%
つまり、日本で働く人の約25人に1人が地方公務員ということになります。
地方公務員の定義
地方公務員とは、都道府県、市区町村、一部事務組合、広域連合等に勤務する職員のことです。
含まれる職員
- 都道府県職員
- 市区町村職員
- 警察官
- 消防士
- 教員(公立学校)
- 病院職員(公立病院)
- 水道・交通・ガス等の公営企業職員
含まれない職員
- 国家公務員(約58万人)
- 独立行政法人職員
- 特殊法人職員
- 民間企業職員
この記事で扱うのは、地方公務員の人数です。
国家公務員との比較
国家公務員数(令和4年)
- 総数:約583,000人
地方公務員数(令和4年)
- 総数:約2,740,000人
比率: 地方公務員は国家公務員の約4.7倍の人数です。
理由: 地方公務員には教員(約100万人)、警察官(約26万人)、消防士(約16万人)など、人数の多い職種が含まれるためです。行政職だけで比較すると、国家公務員と地方公務員の差はもっと小さくなります。
地方公務員の総数の推移

過去20年間の変化
地方公務員の総数は、長期的に減少傾向にあります。
総数の推移
| 年度 | 総数(万人) | 前年比 |
|---|---|---|
| 平成14年(2002) | 304.0 | – |
| 平成19年(2007) | 288.9 | ▲15.1万人 |
| 平成24年(2012) | 280.3 | ▲8.6万人 |
| 平成29年(2017) | 273.5 | ▲6.8万人 |
| 令和4年(2022) | 274.0 | +0.5万人 |
主なポイント
- ピーク:平成6年(1994年)の328万人
- 20年間で約30万人減少(約9%減)
- 近年は下げ止まり傾向
減少の背景
地方公務員が減少した主な理由は以下の通りです。
1. 行政改革
- 平成の大合併(市町村数が約3,200→1,700へ)
- 職員定数の削減
- アウトソーシングの推進
2. 財政難
- 地方財政の悪化
- 人件費削減の圧力
- 新規採用の抑制
3. 民営化・独立行政法人化
- 公立病院の独立行政法人化
- 公営企業の民営化
- 指定管理者制度の導入
4. 少子化
- 児童・生徒数の減少
- 教員数の自然減
- 学校統廃合
近年の増加傾向
令和元年以降、地方公務員数は微増に転じています。
増加の理由
1. 教員の増加
- 少人数学級の推進
- 特別支援教育の充実
- ICT教育への対応
2. 福祉分野の強化
- 児童福祉司の増員
- 保健師の増員
- 高齢化対応
3. 防災・減災対応
- 災害対策要員の増員
- 消防職員の強化
4. DX推進
- ICT人材の確保
- デジタル化対応
今後も、特定分野では増員の傾向が続くと予想されます。
職種別の地方公務員数

主要職種の人数と割合
地方公務員を職種別に分類すると、以下のようになります。
職種別人数(令和4年度)
1. 教育部門:約1,011,000人(36.9%)
- 教員(小中高等学校):約908,000人
- 学校事務職員:約60,000人
- 学校技術職員:約43,000人
2. 一般行政部門:約554,000人(20.2%)
- 事務職:約420,000人
- 技術職(土木・建築等):約134,000人
3. 警察部門:約289,000人(10.5%)
- 警察官:約258,000人
- 警察事務職員:約31,000人
4. 消防部門:約165,000人(6.0%)
- 消防士:約165,000人
5. 福祉・保健部門:約146,000人(5.3%)
- 保健師:約36,000人
- 社会福祉施設職員:約110,000人
6. 公営企業等部門:約289,000人(10.5%)
- 病院職員:約145,000人
- 水道職員:約45,000人
- 交通職員:約30,000人
- その他:約69,000人
7. その他:約285,000人(10.4%)
教員が最も多い理由
地方公務員の3人に1人以上が教員です。
教員が多い理由
- 児童・生徒数に応じた配置
- 小中学校:約960万人の児童・生徒
- 教員1人あたり:約16人の児童・生徒
- 必要な教員数が自動的に決まる
- 学校数が多い
- 公立小学校:約19,000校
- 公立中学校:約9,500校
- 公立高校:約3,500校
- 各校に複数の教員が必要
- 専門性の高さ
- 教科ごとに専門教員が必要
- 民間委託が困難
- 公務員として雇用する必要性
警察官・消防士の特殊性
警察官と消防士は、24時間365日の勤務体制が必要なため、人数が多くなります。
警察官(約26万人)
- 交番・駐在所:約6,300ヶ所
- 24時間体制の維持
- 人口比:約490人に1人の警察官
消防士(約16万人)
- 消防署:約3,400署
- 24時間体制の維持
- 救急・消火活動に常時対応
シフト勤務の影響: 24時間体制を維持するには、最低でも4〜5倍の人員が必要です(3交代制の場合)。そのため、一般行政職より多くの人員が配置されます。
一般行政職の内訳
一般行政職(約55万人)の内訳を見てみましょう。
部門別内訳
- 総務・企画部門:約80,000人
- 税務部門:約50,000人
- 民生・労働部門:約95,000人
- 衛生部門:約40,000人
- 農林水産部門:約35,000人
- 商工部門:約20,000人
- 土木・建築部門:約85,000人
- その他:約149,000人
都道府県 vs 市区町村
- 都道府県職員:約150万人(全体の55%)
- 市区町村職員:約123万人(全体の45%)
都道府県職員が多いのは、教員と警察官が都道府県職員として分類されるためです。
都道府県別の地方公務員数

人数が多い都道府県TOP10
都道府県別職員数(令和4年度)
| 順位 | 都道府県 | 職員数 | 人口 | 人口1,000人あたり職員数 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 約284,000人 | 1,406万人 | 20.2人 |
| 2位 | 大阪府 | 約119,000人 | 884万人 | 13.5人 |
| 3位 | 神奈川県 | 約116,000人 | 924万人 | 12.6人 |
| 4位 | 愛知県 | 約113,000人 | 755万人 | 15.0人 |
| 5位 | 北海道 | 約110,000人 | 519万人 | 21.2人 |
| 6位 | 埼玉県 | 約100,000人 | 734万人 | 13.6人 |
| 7位 | 兵庫県 | 約99,000人 | 546万人 | 18.1人 |
| 8位 | 千葉県 | 約92,000人 | 628万人 | 14.6人 |
| 9位 | 福岡県 | 約91,000人 | 513万人 | 17.7人 |
| 10位 | 静岡県 | 約68,000人 | 363万人 | 18.7人 |
特徴
- 1位の東京都は2位の大阪府の約2.4倍
- 人口が多い都道府県ほど職員数も多い
- ただし、人口比では必ずしも一致しない
人口比で見た職員数
人口1,000人あたりの職員数で比較すると、異なる傾向が見えます。
人口1,000人あたり職員数が多い都道府県TOP5
- 島根県:28.3人
- 高知県:27.1人
- 鳥取県:26.8人
- 秋田県:25.2人
- 北海道:21.2人
人口1,000人あたり職員数が少ない都道府県TOP5
- 神奈川県:12.6人
- 埼玉県:13.6人
- 大阪府:13.5人
- 千葉県:14.6人
- 愛知県:15.0人
傾向
- 人口の少ない県ほど、人口比では職員が多い
- 都市部は人口比では職員が少ない
理由: 人口が少なくても、最低限の行政サービスを提供するには一定の職員数が必要です。そのため、人口が少ない県では、人口比での職員数が多くなります。
市区町村別の傾向
市区町村レベルでも、規模によって職員数は大きく異なります。
政令指定都市の職員数(例)
- 横浜市:約33,000人
- 大阪市:約43,000人
- 名古屋市:約31,000人
中核市の職員数(例)
- 金沢市:約4,500人
- 岡山市:約8,000人
- 熊本市:約9,000人
一般市の職員数(例)
- 人口10万人規模:約700〜1,000人
- 人口5万人規模:約400〜600人
町村の職員数(例)
- 人口1万人規模:約100〜200人
- 人口5千人規模:約50〜100人
最小の自治体: 最も人口が少ない村(青ヶ島村など)では、職員数が10人程度という例もあります。
人口に対する公務員比率

日本の公務員比率
日本全体で見た場合、公務員(国家公務員+地方公務員)の人口比率はどのくらいでしょうか。
公務員総数(令和4年)
- 国家公務員:約58万人
- 地方公務員:約274万人
- 合計:約332万人
人口比
- 日本の人口:約1億2,500万人
- 公務員の割合:約2.7%
- 人口100人あたり:約2.7人
これは、国際的に見ると非常に低い水準です。
国際比較:日本は公務員が多いのか
「日本は公務員が多すぎる」という意見を聞くことがありますが、実際はどうでしょうか。
OECD諸国の公務員比率(人口1,000人あたり)
| 国 | 公務員数(人口1,000人あたり) |
|---|---|
| ノルウェー | 約150人 |
| スウェーデン | 約140人 |
| フランス | 約90人 |
| イギリス | 約80人 |
| ドイツ | 約60人 |
| アメリカ | 約70人 |
| 日本 | 約27人 |
| 韓国 | 約40人 |
結論: 日本は先進国の中で、公務員の人口比率が最も低い国の一つです。
理由
- 民間委託の推進
- アウトソーシングの活用
- 効率的な行政運営
- 小さな政府志向
「日本は公務員が多い」というイメージは、実態と異なります。
地域別の公務員比率の違い
都道府県別に見ると、公務員比率には大きな差があります。
公務員比率が高い地域
- 地方県(島根、高知、鳥取等)
- 人口1,000人あたり25〜28人
公務員比率が低い地域
- 大都市圏(東京、神奈川、埼玉等)
- 人口1,000人あたり12〜20人
理由: 地方では、公務員が地域経済を支える重要な存在となっています。民間企業が少ない地域では、公務員の存在感が相対的に大きくなります。
今後の見通しと採用動向

地方公務員数の将来予測
今後、地方公務員の総数はどうなるでしょうか。
減少要因
- 人口減少(特に若年層)
- 少子化による教員の自然減
- 財政難の継続
- デジタル化による業務効率化
増加要因
- 高齢化対応(福祉・医療分野)
- 防災・減災対策
- 児童虐待対応(児童福祉司の増員)
- デジタル人材の確保
予測: 総数としては横ばいまたは微減が続くと予想されます。ただし、分野によって増減の差が大きくなるでしょう。
増員が見込まれる分野
- 福祉・保健分野
- IT・デジタル分野
- 防災・危機管理分野
減員が見込まれる分野
- 教育分野(少子化)
- 一般行政分野(効率化)
採用人数の動向
地方公務員の採用人数は、近年増加傾向にあります。
採用人数の推移
- 平成25年度:約47,000人
- 平成30年度:約54,000人
- 令和4年度:約63,000人
増加の背景
- 団塊世代の大量退職
- 定年延長による退職者減の反動
- 人材不足への対応
- 行政需要の増加
競争率への影響: 採用人数が増えても、受験者数も増加しているため、競争率(倍率)は高止まりしています。
主要自治体の採用倍率(令和5年度)
- 東京都Ⅰ類A(行政):約8倍
- 大阪府(行政):約7倍
- 横浜市(行政):約9倍
採用人数が増えても、依然として狭き門であることに変わりはありません。

求められる人材像の変化
今後、地方公務員に求められる資質も変化していきます。
従来
- 正確性
- 継続性
- 協調性
- ゼネラリスト
これから
- デジタルスキル
- 課題発見・解決能力
- コミュニケーション能力
- 専門性(スペシャリスト)
- 柔軟性・変化対応力
特に、IT・デジタル分野の人材確保が各自治体の課題となっています。
地方公務員の人数が及ぼす影響

競争率への影響
地方公務員の総数は、受験生にとって競争率に影響します。
採用数が多い職種
- 教員:年間約40,000人
- 一般行政職:年間約15,000人
- 警察官:年間約5,000人
採用数が少ない職種
- 専門職(建築、土木等):各数百人
- 技術職(情報等):各数十人
採用数が多い職種の方が、競争率は低くなる傾向にあります。ただし、受験者数も多いため、一概には言えません。
地域経済への影響
地方公務員は、地域経済にも大きな影響を与えます。
給与総額(推計)
- 地方公務員総数:約274万人
- 平均年収:約650万円(推計)
- 給与総額:約17.8兆円
地域への影響
- 消費支出(約17兆円)
- 住宅需要
- 教育費支出
- 税収(所得税・住民税)
特に地方では、公務員の給与が地域経済を支える重要な役割を果たしています。
住民サービスへの影響
公務員の人数は、住民サービスの質にも影響します。
職員が多い場合
- メリット:きめ細かいサービス
- デメリット:人件費の増大
職員が少ない場合
- メリット:人件費の削減
- デメリット:サービスの低下、待ち時間の増加
適正な職員数のバランスが重要です。
よくある質問

Q1: 地方公務員は年々減っているのに、なぜ試験は難しい?
A: 採用人数以上に受験者が多いためです。
採用数が減っても、公務員人気は高く、受験者数も多いため、競争率(倍率)は高止まりしています。また、優秀な人材を確保するため、試験の質を下げることはありません。
Q2: 日本は公務員が多すぎるのでは?
A: いいえ、国際比較では最も少ない部類です。
人口1,000人あたりの公務員数は、日本が約27人に対し、フランス90人、イギリス80人、アメリカ70人と、日本は先進国で最も少ない水準です。
Q3: どの職種が最も採用されやすい?
A: 技術職や専門職は比較的倍率が低いです。
一般行政職の倍率が7〜10倍なのに対し、土木技術職や建築職は2〜4倍程度。専門性が求められる分野は、受験者が少なく、倍率も低くなります。

Q4: 地方公務員数は今後も減り続ける?
A: 横ばいまたは微減が予想されます。
少子化や財政難により減少圧力はありますが、福祉・防災などの分野では増員が必要です。全体としては大幅な減少はないと見られています。
Q5: 人口の少ない県は公務員になりやすい?
A: 必ずしもそうではありません。
人口が少ない県は採用人数も少ないため、倍率が高くなる場合もあります。ただし、地元出身者が有利になる傾向はあります。
まとめ:地方公務員の人数から見える実態

地方公務員の人数について、総数から職種別内訳、都道府県別分布まで解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
地方公務員の人数を理解する7つのポイント
- 総数は約274万人(令和4年)
- 就業者全体の約4%
- 25人に1人が地方公務員
- 国家公務員の約4.7倍
- 長期的に減少傾向
- ピーク(平成6年)から約30万人減
- 近年は下げ止まり
- 今後は横ばい予想
- 教員が最も多い(約100万人、36.9%)
- 次いで一般行政職(約55万人、20.2%)
- 警察官(約26万人、10.5%)
- 消防士(約16万人、6.0%)
- 都道府県別では東京都が最多
- 東京都:約28万人
- 大阪府:約12万人
- 人口比では地方県が多い
- 国際的には公務員が少ない
- 人口1,000人あたり約27人
- OECD諸国で最低水準
- 「公務員が多い」は誤解
- 採用人数は増加傾向
- 団塊世代退職による大量採用
- 年間約6.3万人採用
- それでも競争率は高い
- 今後は分野別に増減
- 増:福祉、IT、防災
- 減:教育(少子化)、一般行政(効率化)
- 総数は横ばい予想
受験生へのアドバイス
地方公務員の総数データから、以下のことが言えます。
職種選択
- 採用数が多い職種(教員、行政職)は門戸が広い
- 技術職は倍率が低く狙い目
- ただし、自分の適性を最優先に
自治体選択
- 大都市は採用数が多い
- 地方は倍率が高い場合も
- 地元枠があるかチェック
将来性
- 公務員数は急減しない
- 特定分野(福祉、IT等)は増員傾向
- 安定した採用が続く見込み
最後に
地方公務員の人数データは、公務員試験の難易度や採用動向を理解する上で重要ですが、それだけで判断すべきではありません。
- 自分の適性と希望を最優先に
- 人数の多さより、やりがいを重視
- 長期的なキャリアを見据えて選択
地方公務員は、約274万人が全国各地で住民のために働いています。その一員として地域社会に貢献する意欲こそが、最も重要な資質です。
この記事が、皆さんの地方公務員に対する理解を深め、キャリア選択の一助となれば幸いです。
