市役所への就職や転職を考えている人は「市役所には、どういうタイプの人が多いのか?」「自分は市役所に向いているのか?」等、気になるところだと思います。
そこで、このページでは、市役所職員に向いている人はどういうタイプの人か?について、ご紹介します。
勉強することが得意・好きなタイプ
勉強することが得意なタイプの方、又は勉強することが好きなタイプの方は、市役所職員に向いています。
なぜなら、市役所職員は、異動によって、仕事内容がガラリと変わるからです。
例えば入庁時は、徴税吏員として、バリバリ滞納者から税金を徴収していたかと思ったら、福祉部に異動して生活保護受給者に対して生活保護費として税金を支給する側になり、そうこうしている内に今度は、教育委員会に異動して教育行政に携わることになる等、市役所職員は、異動によって仕事内容がガラリと変わります。
そして、行政の仕事は全て、法律や条令を根拠にしており、それぞれの業務ごとに根拠となる法律や条令が異なることから、異動する度に、所管業務に関連する法律・条例等について一から勉強し直す必要があります。
大体、市役所職員は3年~4年で異動するため、3年~4年ごとに一から勉強をし直さなければいけません。
また、異動しなくても、低所得世帯に対する特別給付金のように、国や県から事業がおりてくれば事業の趣旨やスキーム等について、勉強しなければいけませんし、市長が新たな制作を立案する場合は、近隣自治体の状況や先進地の事例を勉強しなければいけません。
このように、市役所職員は、仕事の大半は勉強と言っても過言ではない程、常に勉強する必要があります。
「でも、社会に出てから勉強が必要なのは公務員だけではなくて、民間企業も一緒では?」と思うかもしれません。
確かに民間企業でも勉強は必要ですが、研修やリスキリング等、より実践的な技術やスキルを身に付けることがメインになります。
公務員の場合は、いわゆる学校の勉強のような学習がメインのため、テスト勉強が得意又は好きなタイプが向いています。
失敗やミスをしないように気をつけるタイプ
失敗やミスをしないように細心の注意を払うタイプの方は、市役所職員に向いています。
なぜなら、市役所職員は、絶対に失敗が許されないからです。
民間企業の場合、基本は競争なので、全員が勝者になれるわけではありません。
たとえプレゼンテーション等がノーミスで上手くできたとしても、仕事を勝ち取れるとは限りませんし、逆に多少の失敗やミスがあったとしても契約が取れないわけではありません。
しかし、行政の場合、勝者も敗者も存在せず、国・県からもらう補助金は、ミスなく当たり前の手続きをしていれば、全員が間違いなくもらうことができます。
そのため、絶対に失敗やミスが許されません。
また、民間企業の目的は顧客の創造、利益の創出と、非常に単純明快です。
研究や製品開発が上手くいかないことも、売れると思った商品が思うように売れないこともありますが、それらは必要な失敗であり、それらの失敗を乗り越えて最終的に成功をすれば良いわけです。
それこそ、極端な話ですが、たとえ100個の事業計画が失敗しても、数十億円掛けたプロジェクトが頓挫してしまっても、それ以上の利益を他の事業で生み出すことができれば良いわけです。
このように、民間企業の場合は、「失敗」しないことも大事ですが、それ以上に「成功」することの方が大事です。
それに対して、行政の目的は、地域福祉の向上と非常に曖昧で、民間企業で言うところの「売上・利益」と言った絶対的な指標がないため「成功」と言う概念がありません。
例えばコロナワクチンの助成を一つとっても、コロナワクチンにより、コロナ感染を防げたと言える反面、逆にコロナワクチンに税金を使ったため、道路の補修・修繕等ができなかったと言う一面もあるため、明確に地域福祉が向上したと、「成功」したと断言することができません。
行政の仕事は、「成功」がない分、「失敗」の印象が深く深く残ってしまいます。
そのため、失敗やミスをしないように細心の注意を払うタイプの方が市役所職員に向いています。
「でも、新しい事業を提案して、実現できたら成功じゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、あらゆる政策・事業の提案権は市長にあり、決定権は議会にあります。
職員提案の新しい事業であっても行政の仕組み上、成功したら、手柄は全てそれらを提案・許可した市長及び議員のモノになります。
もちろん、職員が提案して、職員が実行している以上、失敗の責任は、その職員が取ることになるため、失敗しないことが優先されます。
単純作業をコツコツできるタイプ
非常に地味で退屈な単純作業でもコツコツと辛抱強くできるタイプの方は、市役所職員に向いています。
なぜなら、市役所の仕事の9割は現状のサービスを継続維持することだからです。
役所は、道路や公園等の整備、上下水道等の維持管理、ゴミの収集と処分、年金や介護保険、生活保護等の社会保障サービスの提供等、様々な行政サービスを行っています。
これらの行政サービスにどれだけの予算を使っているかは、経常収支比率を見ればわかります。
大体、どこの自治体も経常収支比率は90%を超えていることから、仕事の9割は現状維持の仕事をしていることがわかります。
新規事業をするには、行政サービスを削るか、残りの10%で新規事業をするか、のどちらかしかありません。
空気と同じで、普段意識することはありませんが、なくなると困るものばかりなので、行政サービスを削ることはできません。
また、今後人口が減少し、税収が減ることがわかっている中、新たな事業を起こすのは、非常にリスキーなので、市長も決断できません。
そのため、新規事業に携われることは非常に稀で、仕事の大半は前例踏襲の非常に地味で退屈な単純作業になります。
とは言え、業務量は非常に多いため、地味で退屈な単純作業でもコツコツと辛抱強くできるタイプの方が市役所職員に向いています。
仕事の優先順位をつけられるタイプ
仕事の優先順位をつけて、やるべき仕事、やらなくて良い仕事を決められるタイプの方は、市役所職員に向いています。
なぜなら、行政の仕事は目的が曖昧で、明確な判断基準が存在しないからです。
民間企業の目的は顧客の創造、利益の創出のため、売上げ・利益と言う明確な判断基準があります。
そのため、どれだけ努力をしようと、本人が大事な仕事だと思っていても、利益を生み出さなければ注意を受け、利益を生み出す仕事をするように指導を受けます。
一方、行政の目的は、住民福祉の増進、住民サービスの向上と曖昧ため、明確な判断基準が存在しません。
そのため、どんな仕事であろうと、正当性を主張することができてしまいます。
例えば徴税吏員が500円の滞納金を徴収するのに、何時間も残業をした場合、明らかに残業代の方が高くなるため、行政としては損をすることになりますが「たった500円でも滞納は滞納なので、しっかりと徴収すべきです。それに、たった500円でも見逃すことで、徴税が甘いと見られて、滞納者が増えたらどうするんですか?」と言われたらどうでしょうか。
他にも、ケースワーカーが明らかに働く気のない生活保護受給者に対して何時間も残業して就労指導をした場合、ケースワーカーがどれだけやる気を出しても、本人にやる気がなければ意味がありませんが「やる気がないからと言って、就労指導しなくて良いのでしょうか?」と言われたらどうでしょうか。
確かに、どちらも一理ありますが、時間も予算も有限なので、徴税吏員の例で言えば、もっと高額な滞納者から徴収すべきですし、ケースワーカーの例で言えば、もっとやる気のある生活保護受給者から就労指導に力を入れるべきです。
しかし、明確な判断基準がないため、明らかに間違っているとも言えません。
また、そんな細かい事までしていたら、単純作業とは言え、行政の業務量は膨大なため、体を壊してしまい、病気休暇をとる羽目になります。
そのため、自身で仕事の優先順位をつけて、やるべき仕事、やらなくて良い仕事を決められるタイプの方が市役所職員に向いています。
地域住民との交流を大事にするタイプ
地域住民の方との交流を大事にするタイプの方は、市役所職員に向いています。
なぜなら、あらゆる事業のキーマンは地域住民だからです。
新規に施設を建てる場合や大規模なイベントを行う場合等には地域説明会を実施するなどして地域の方からの賛同を得なければいけませんが、その時に必ず反対する方が出てきます。
地域住民の方達とコミュニケーションが取れるくらいの関係性があれば、事業に反対の方も行政側の話を聞いてくれますし、なぜその事業に反対しているのか、腹を割って本音で話してくれるので事業が計画通りスムーズに進みますし、地域住民の方の意見も反映された、より良い事業にする事ができます。
他にも地域住民の方との交流があれば、普段不満に思ってる事の情報が入るため、クレームが発生する前に改善することができたり、クレームになっても、関係性があることで、大きなクレームにならずに済む場合も多々あります。
また、昇進すると市長や議員対応が必要になってきます。
市長や議員から無理難題を言われる事も多々あります。
市長や議員は市民が選んだ市民の代表者のため、住民福祉の増進を目指す市役所職員は、市長や議員からの無理難題に応えないといけません。
しかし、地域住民と深い交流のある職員対しては、市長や議員も無理難題を言えません。
なぜなら、自身の悪評を地域住民の方に広められては困るからです。
結局のところ、市長や議員は政治家なので、有権者に影響力のある人に対して強く出る事はできません。
このように地域住民との交流があるかないかで仕事のしやすさが大きく変わってきます。
そのため、地域住民との交流を大事にするタイプ方が市役所職員に向いています。
仕事以外に熱中できる趣味があるタイプ
仕事以外に熱中できる趣味があるタイプの方は、市役所職員に向いています。
なぜなら、単純に仕事ができるからです。
市役所職員の仕事内容は、上記「仕事の優先順位を付けられるタイプ」でもご紹介したとおり、基本的には行政サービスを継続維持させるための単純作業が中心です。
仕事以外に熱中できる趣味がある場合、終業後や休日を利用して趣味を楽しむため、自然と仕事の優先順位を付けられるようになります。
また、趣味を通して、例えば旅行が好きなら、地理や観光名所、イベントを楽しんだり、PCゲームが好きだったら自然とパソコンやネットに詳しくなったりと言った様々な知識や経験を積むことができます。
結果、業務時間内に高いパフォーマンスを発揮する優秀な市役所職員に成長します。
逆に趣味のない人は、仕事が趣味となり、重箱の隅をつつくような業務に勤しむようになり、毎日のように残業したり、休日出勤をするようになります。
特殊な仕事や技術を磨くような仕事であれば成長も見込めますが、市役所の業務の大半は単純作業のため、能力の向上もありません。
行政の仕事は利益の追求ではなく、住民福祉の増進のため、それらの業務が一切無駄だとは言えませんが、「仕事が趣味!」と言う職員は、機会損失が大きく、行政のためにも、本人のためにもなりません。
そのため、仕事以外に熱中できる趣味を持っているタイプの方が市役所職員に向いています。
仕事に自信やプライドを持ちすぎない謙虚なタイプ
仕事に自信やプライドを持ちすぎない謙虚な方は、市役所職員に向いています。
なぜなら、市役所の仕事は教えてもらったり、手伝ってもらうことが多いからです。
市役所は大体3年から4年で異動します。
異動した当初は右も左もわかりませんが、1年、2年と年数が増えていくと、徐々に仕事を覚えていきます。
それと同時に自分より詳しかった職員は別の部署に異動していきます。
すると、実際に仕事ができるかどうかは別として、上司も部下も含めて、自然と自分が古株になり、その部署の中で一番業務に詳しい人になります。
みんなから「教えて!」と言われると、気分が良くなり、「自分がいなければ、この部署は回らない!」と言う勘違いを起こします。
ひどい場合は、「なんでこんな事もわからないんだ!」「本当に仕事ができない」「私の言うことが聞けないのか!」等など、横柄な態度で威圧するようになる人もいます。
さらにひどくなると、自分の課以外にも威圧するようになり、仕事の協力依頼が回ってきても「なんでその仕事をうちがしないといけないのか?」と突っぱねるようになります。
そのまま、ずっと同じ課で異動もなく仕事ができれば、そのような態度でも良いかもしれません。
しかし、市役所職員は大体3年から4年で異動になります。
異動した先では、また1から業務を覚えなくてはいけないため、当然、周りの同僚に教えを乞わないといけませんし、別の課に協力依頼を出さないといけない仕事も出てきます。
その時に、過去に威圧していたり、横柄な態度をしていたら、当然ですが、周りのみんなは助けてくれません。
また、自身も当時を恥じて負い目を感じるのか、まだ頭を下げたくないと思うのか、わかりませんが「教えて」の一言が言えなくなります。
結果、わからないまま突き進み、とんでもなく大きなミスにつながります。
そのため、仕事に自信やプライドを持ちすぎない謙虚な方タイプの方が市役所職員に向いています。
まとめ
なお、「自分はどのタイプにも当てはまらないから市役所職員を諦めないといけないのか?」と思う方もいるかもしれませんが、ご安心ください。
個人的な意見ですし、あくまで向いているタイプのご紹介なので、採用にも、昇進にもあまり関係はありません。
こういうタイプだと働きやすいですよ、と言う紹介ですので、参考までにご覧いただけたらと思います。