「引越し後、選挙の投票はどこでできるの?」「仕事で投票日に行けない場合はどうすればいい?」「選挙の手続きって市役所でできるの?」
選挙にまつわる手続きの多くは、実は市区町村の役所(市役所・区役所・町村役場)で行うことができます。しかし、具体的に何ができて、どこに行けばいいのか、きちんと把握している方は意外と少ないのが現実です。
本記事では、市役所で行える選挙関連の手続きを、投票・不在者投票・選挙人名簿・期日前投票などのテーマ別に網羅的に解説します。投票日当日に慌てないよう、ぜひ事前に確認しておきましょう。
市役所と選挙の関係:選挙管理委員会とは何か

選挙事務は「選挙管理委員会」が担当する
市役所(市区町村)には、選挙管理委員会(選管)という機関が設置されています。地方自治法に基づき、各市区町村に必置とされているこの委員会が、その地域における選挙の管理・執行を担います。
選挙管理委員会の主な業務は以下のとおりです。
- 選挙人名簿の作成・管理
- 投票所の設置・管理
- 不在者投票・期日前投票の受付
- 開票作業の管理
- 選挙に関する啓発・広報
窓口の場所: 選挙管理委員会の事務局は、多くの場合、市役所庁舎内(または別棟)に設置されています。「選挙に関する手続きをしたい」と総合案内で伝えれば案内してもらえます。
選挙の種類と管理する機関の一覧
選挙には複数の種類があり、管理する機関(選管)も異なります。
| 選挙の種類 | 管理機関 |
|---|---|
| 衆議院議員総選挙・参議院議員通常選挙 | 市区町村選管(実施)/都道府県選管(管轄) |
| 都道府県知事・都道府県議会議員選挙 | 都道府県選管(管轄)/市区町村選管(実施) |
| 市区町村長・市区町村議会議員選挙 | 市区町村選挙管理委員会が全面的に管理 |
日常で最も身近な「市長選挙」「市議会議員選挙」は、その市の選挙管理委員会が一切を取り仕切ります。国政選挙も、実際の投票所の設置・運営は市区町村選管が担います。
投票所入場券(投票券)について知っておくべきこと

投票所入場券とは
選挙が公示・告示されると、選挙権を持つ有権者の自宅に投票所入場券(投票券・はがき)が郵送されます。これは、あなたが選挙人名簿に登録されており、どの投票所で投票できるかを示す通知票です。
入場券には以下の情報が記載されています。
- 氏名・住所
- 投票所の番号・名称・所在地
- 投票日・投票時間
- 期日前投票所の場所・期間
投票所入場券が届かない・紛失した場合
【届かない場合】 転入後の選挙人名簿への登録が間に合っていないケース、住所変更の未届け、郵便事故などが考えられます。心当たりがある場合は、選挙管理委員会(市役所内)に問い合わせてください。
【紛失・忘れた場合】 投票所入場券を紛失または自宅に忘れた場合でも、選挙人名簿に登録されていれば、入場券なしで投票できます。投票所の受付担当者に「入場券を忘れた」と申し出れば、本人確認のうえで投票用紙が交付されます。
入場券は「投票する権利の証明書」ではなく、あくまで「案内通知」です。入場券がないからといって投票できないわけではありません。
選挙人名簿への登録:引越し・転入した場合の注意点

選挙人名簿とは
選挙人名簿とは、その市区町村に住所を有する選挙権を持つ住民を登録したリストです。住民基本台帳に基づいて自動的に作成・更新されます。
選挙権の要件(国政選挙・地方選挙とも):
- 日本国籍を有すること
- 年齢18歳以上であること(公職選挙法改正により2016年から18歳選挙権)
- 引き続き3か月以上、その市区町村の住民基本台帳に記録されていること
引越し後に選挙で投票するための条件
引越しのタイミングによっては、新住所の市区町村でも旧住所の市区町村でも投票できないという「無投票リスク」が生じることがあります。以下のパターンを理解しておきましょう。
パターン①:引越し後3か月以上経過している場合 → 新住所の選挙人名簿に登録済み。新住所の市区町村の投票所で投票できる
パターン②:引越し後3か月未満の場合 → 新住所ではまだ登録要件を満たさない。旧住所の市区町村の投票所(または不在者投票)で投票できる(旧住所での名簿登録が引き続き有効)
パターン③:旧住所の名簿から消除済みで、新住所の要件も満たしていない場合 → 一時的に投票できない状態になることがある(引越し直後の選挙では注意が必要)
引越し後に選挙の案内が届かないと感じたら、すぐに市役所の選挙管理委員会に相談しましょう。旧住所・新住所どちらで投票できるかを確認してもらえます。
転入届と選挙人名簿登録の関係
市役所で転入届を提出する(住民票を移す)ことが、新住所の選挙人名簿への登録につながります。転入届を出さずにいると、選挙人名簿の更新もされません。
引越し後14日以内に転入届を提出することは法的義務(住民基本台帳法)であるとともに、選挙権を適切に行使するためにも非常に重要です。
期日前投票:仕事・旅行で投票日に行けない場合

期日前投票とは
投票日当日に仕事・旅行・病気・冠婚葬祭などの事情で投票所へ行けない方のために設けられているのが期日前投票制度です。2003年に導入されたこの制度により、公示日・告示日の翌日から投票日前日まで、投票日と同様の方法で投票できます。
期日前投票の特徴:
- 投票日の前日まで投票できる
- 理由は自己申告(誓約書に記入するだけ)
- 投票できる場所は市区町村が設置する「期日前投票所」
- 投票時間は通常8時〜20時(投票日より1〜2時間長いことが多い)
総務省の調査によると、2022年参議院選挙での期日前投票者数は全投票者数の約**57%**にのぼり、もはや「例外的な手段」ではなく、有権者の半数以上が利用する一般的な投票方法となっています。
期日前投票所の場所
期日前投票所は主に以下の場所に設置されます。
- 市役所・区役所・支所の庁舎内
- 商業施設(ショッピングモール・駅ビルなど)
- 大学・専門学校のキャンパス内
- 文化センター・公民館
特に近年は有権者の利便性向上のため、駅前や大型商業施設内への期日前投票所の設置が増加しています。買い物や通勤のついでに立ち寄れるようになっており、投票率向上に一定の効果を挙げています。
不在者投票:出張・入院・遠方にいる場合の投票方法

不在者投票とは
選挙期間中(投票日・期日前投票期間を含む)に、住所地の市区町村以外の場所にいる場合に利用できるのが不在者投票制度です。期日前投票とは異なり、滞在先の選挙管理委員会や施設で投票手続きを行います。
不在者投票の主な種類
① 他の市区町村での不在者投票(滞在地投票)
出張・旅行・帰省などで住所地以外の市区町村に滞在している場合、滞在先の市区町村の選挙管理委員会で不在者投票ができます。
手順:
- 住所地の市区町村選管に投票用紙の請求(郵送・窓口・オンライン)
- 住所地選管から投票用紙・封筒が郵送される
- 滞在先の市区町村選管の窓口で記載・封入・提出
- 滞在先選管から住所地選管へ郵送転送
注意: 郵送のやり取りに数日かかるため、選挙期日(投票日)の1〜2週間前には手続きを開始する必要があります。余裕を持って早めに請求しましょう。
② 郵便等による不在者投票(在宅郵便投票)
重度の障がいや要介護5など、外出困難な方は郵便で投票用紙を送付・返送する方法で投票できます。事前に市区町村の選挙管理委員会で「郵便等投票証明書」の交付を受ける必要があります。
対象となる主な方:
- 身体障害者手帳(両下肢・体幹・移動機能の障がいで1・2級など)の所持者
- 介護保険の要介護5の方
- 戦傷病者手帳の所持者(特定の障がい区分)
③ 指定施設での不在者投票
都道府県の選管が指定した病院・老人ホームなどの施設に入院・入所している方は、その施設内で不在者投票ができます。施設の担当者が手続きをサポートしてくれます。
在外選挙:海外在住の場合の投票方法

在外選挙人名簿への登録
海外に住む日本国民も、在外選挙人名簿に登録することで国政選挙(衆議院・参議院)に投票する権利があります。登録申請は、在外公館(大使館・総領事館)または帰国後に市区町村選挙管理委員会で行えます。
在外投票の方法:
- 在外公館での投票(大使館・総領事館の窓口)
- 郵便による投票(在外公館から投票用紙を請求)
- 一時帰国中の投票所・期日前投票所での投票
選挙に関する市役所での主な手続き一覧

市役所(選挙管理委員会)で相談・手続きできる内容を整理します。
| 手続き・相談内容 | 対応窓口 | タイミング |
|---|---|---|
| 投票所入場券の再発行・問い合わせ | 選挙管理委員会 | 選挙期間中 |
| 選挙人名簿の登録確認 | 選挙管理委員会 | 随時 |
| 期日前投票所の場所・日程確認 | 選挙管理委員会/市ホームページ | 選挙期間中 |
| 不在者投票の投票用紙請求 | 選挙管理委員会 | 選挙期間中(早めに) |
| 郵便投票証明書の申請 | 選挙管理委員会 | 選挙前・随時 |
| 在外選挙人名簿の登録申請 | 選挙管理委員会 | 随時 |
| 選挙公報・候補者情報の入手 | 選挙管理委員会・市ホームページ | 選挙期間中 |
若者・初めて投票する方へ:市役所でできるサポート

18歳で初めて選挙権を得たら
満18歳を迎えて初めて選挙権を得た方は、住民基本台帳に登録されていれば自動的に選挙人名簿に登録されます(申請不要)。
選挙が近づくと投票所入場券が自宅に届きますので、記載されている投票所・期日前投票所へ入場券を持参するだけで投票できます。
選挙に関する疑問は市役所に気軽に相談を
「初めてで何をすればいいか分からない」「自分が投票できる選挙はどれ?」「候補者についてどこで調べればいい?」など、選挙に関するあらゆる疑問は、市役所の選挙管理委員会に相談することができます。
総務省・各自治体では「選挙出前授業」「模擬投票」「若者向け啓発イベント」なども実施しており、初めての方でも安心して投票に参加できる環境づくりが進んでいます。
よくある質問(FAQ)

Q. 引越し直後で投票所入場券が届いていない。投票できる?
A. まず市役所の選挙管理委員会に連絡し、旧住所・新住所のどちらの名簿に登録されているかを確認しましょう。旧住所の名簿に登録されている場合は、旧住所の投票所または不在者投票で投票できます。入場券が届いていなくても、名簿登録されていれば投票は可能です。
Q. 仕事が忙しくて期日前投票にも行けない場合はどうすればいい?
A. 期日前投票所は8時〜20時まで開いていることが多く、平日の出勤前や退勤後でも利用できます。また、駅や商業施設内に設置されている期日前投票所を活用するのも有効です。それでも難しい場合は、不在者投票(滞在先での投票・郵便投票)を利用できないか、選挙管理委員会に相談してみましょう。
Q. 選挙権はいつ発生する?誕生日当日から投票できる?
A. 公職選挙法の規定により、年齢の計算は「誕生日の前日が終了した時(誕生日の前日の午後12時)」に1歳加算されます。つまり、投票日前日までに18歳の誕生日を迎えている方は、その選挙で投票できます。投票日当日が誕生日の方も投票できます(誕生日の前日に18歳になるとみなされるため)。
Q. 選挙に行かなかった場合、ペナルティはある?
A. 日本では選挙は権利であり義務ではないため、棄権(投票しないこと)に対する罰則はありません。ただし、白票(何も記載しない票)を投じることは、「選挙には参加した意思表示」として認められます。棄権と白票の社会的意味は大きく異なりますが、いずれも法律上のペナルティはありません。
まとめ:市役所の選挙手続きを把握して、一票を確実に届けよう

本記事の重要ポイントをまとめます。
- 選挙に関する手続きは、市役所内の選挙管理委員会が担当
- 投票所入場券を紛失・忘れても、選挙人名簿に登録されていれば投票できる
- 引越し後3か月未満の場合は旧住所の投票所または不在者投票で投票するのが基本
- 投票日に行けない場合は期日前投票(〜前日)または不在者投票を活用
- 期日前投票は全投票者の約**57%**が利用する一般的な方法になっている
- 不在者投票の手続きは選挙期日の1〜2週間前には開始することが必要
- 疑問があれば市役所の選挙管理委員会に気軽に相談できる
あなたの一票は、地域の未来と国の政治を動かす力を持っています。「手続きが面倒」「よく分からない」と感じたときこそ、市役所の選挙管理委員会を頼ってください。投票できる環境を整えるサポートをしてもらえます。
