「地方公務員の役職ってどんな種類があるの?」「何歳で係長や課長になれる?」「役職につくと給料はどれくらい上がる?」公務員として働く方や、これから公務員を目指す方にとって、役職とキャリアパスは重要な関心事です。
地方公務員の役職は、一般的に「主事・主事補」→「主任」→「係長」→「課長補佐」→「課長」→「部長」→「局長」という序列があります。昇進は年功序列的な要素が強く、係長で入庁後10〜15年、課長で20〜25年程度が目安です。役職が上がるごとに給与も上昇し、課長級で月額40〜50万円程度になります。
本記事では、地方公務員の役職について、種類、昇進の仕組み、年齢の目安、給与、管理職手当、昇進試験まで、すべてを網羅的に解説します。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- 地方公務員の役職の種類と序列
- 各役職の仕事内容と責任
- 昇進の仕組みと年齢の目安
- 役職別の給与と管理職手当
- 昇進試験の有無と内容
- 役職と俸給表の関係
- 昇進のメリット・デメリット
- キャリアパスの具体例
地方公務員の役職を正しく理解し、キャリアプランを立てましょう。
地方公務員の役職の種類と序列

一般行政職の役職体系
地方公務員(一般行政職)の標準的な役職は、以下の通りです。
役職の序列
- 主事補(しゅじほ)
- 主事(しゅじ)
- 主任(しゅにん)
- 係長(かかりちょう)
- 課長補佐(かちょうほさ)
- 課長(かちょう)
- 部長(ぶちょう)
- 局長(きょくちょう)
- 副市長・副知事
注意点: 自治体により呼称や段階が異なる場合があります。
大きな区分
- 一般職員:主事補〜課長補佐
- 管理職:課長以上
各役職の概要
主事補
- 新規採用職員(高卒)
- 見習い期間
- 上司の指示のもと業務遂行
主事
- 新規採用職員(大卒)または主事補から昇格
- 基本的な業務を担当
- 3〜5年で主任へ
主任
- 実務の中核を担う
- 後輩の指導も行う
- 入庁5〜10年程度
係長
- 係のリーダー
- 業務の進行管理
- 部下の指導・評価
- 入庁10〜15年程度
課長補佐
- 課長の補佐役
- 係長の上司
- 政策立案にも関与
- 入庁15〜25年程度
課長
- 課の最高責任者
- 意思決定権を持つ
- 管理職(残業代なし)
- 入庁20〜30年程度
部長
- 部の最高責任者
- 複数の課を統括
- 入庁30年以降
局長
- 局の最高責任者
- 複数の部を統括
- 大規模自治体のみ
副市長・副知事
- 首長の補佐役
- 特別職
- 議会の同意が必要
自治体規模による違い
都道府県・政令市
- 役職の段階が多い(局長まである)
- 昇進に時間がかかる
一般市
- 局長がない場合が多い
- 比較的早く昇進できる
町村
- 役職の段階が少ない
- 部長がない場合も
具体例
- 東京都:主事補→主事→主任→係長→課長代理→課長→部長→局長
- 小規模市:主事→主任→係長→課長補佐→課長→部長
各役職の仕事内容と責任

主事・主事補の仕事
主な業務
- 窓口対応
- 書類作成
- データ入力
- 電話対応
- 上司の指示による業務
責任
- 自分の担当業務の正確な遂行
- ミスのない事務処理
特徴
- 上司の指示のもと働く
- 裁量は少ない
- 基礎を学ぶ期間
主任の仕事
主な業務
- 担当業務の遂行
- 後輩の指導
- 簡単な案件の判断
- 書類の起案
責任
- 担当業務の完遂
- 後輩への適切な指導
特徴
- ある程度の裁量がある
- 実務の中核を担う
- 専門知識が必要
係長の仕事
主な業務
- 係の業務管理
- 部下の指導・育成
- 課長への報告
- 他部署との調整
- 住民対応(クレーム等)
責任
- 係全体の業務の進捗管理
- 部下のマネジメント
- トラブル対応
特徴
- 初めての管理職的立場
- プレイングマネージャー
- 板挟みになることも
課長補佐の仕事
主な業務
- 課長の補佐
- 係長の管理
- 政策立案の補助
- 予算管理の補助
- 重要案件の担当
責任
- 課長不在時の代理
- 複数係の調整
- 重要案件の処理
特徴
- 課長と係長の橋渡し
- 実務とマネジメントの両方
- 次期管理職候補
課長の仕事
主な業務
- 課の統括
- 意思決定
- 予算管理
- 議会対応
- 他課との調整
- 部長への報告
責任
- 課全体の業務の最終責任
- 部下の評価・育成
- 政策の実行
特徴
- 管理職(残業代なし)
- 決裁権を持つ
- 政治的判断も必要
部長以上の仕事
部長の業務
- 部全体の統括
- 複数課の調整
- 市長・副市長への報告
- 重要政策の決定
- 議会対応(答弁等)
局長の業務
- 局全体の統括
- 複数部の調整
- 市政の重要事項の決定
責任
- 組織全体への影響
- 政策の成否
- 人事管理
昇進の仕組みと年齢の目安

昇進の基本的な流れ
地方公務員の昇進は、年功序列的な要素が強いです。
昇進の要素
- 勤続年数
- 人事評価
- 昇進試験(自治体により異なる)
- 上司の推薦
- ポストの空き
標準的な昇進年数
- 主事補→主事:1〜3年
- 主事→主任:3〜7年
- 主任→係長:5〜10年
- 係長→課長補佐:5〜10年
- 課長補佐→課長:5〜10年
- 課長→部長:5〜10年以上
同期入庁者: 基本的に同期は同じペースで昇進しますが、優秀な人は若干早く、評価が低い人は遅くなります。
年齢別の標準的な役職
大卒入庁の場合
| 年齢 | 勤続年数 | 標準的な役職 |
|---|---|---|
| 22歳 | 入庁 | 主事 |
| 25歳 | 3年 | 主事 |
| 30歳 | 8年 | 主任 |
| 35歳 | 13年 | 係長 |
| 40歳 | 18年 | 課長補佐 |
| 45歳 | 23年 | 課長補佐〜課長 |
| 50歳 | 28年 | 課長 |
| 55歳 | 33年 | 課長〜部長 |
| 60歳 | 38年 | 部長級(一部) |
注意点: これはあくまで標準的なモデルであり、自治体や個人により異なります。

高卒入庁の場合
高卒入庁者は、大卒より4年早く入庁しますが、昇進スピードは同程度です。
標準的な昇進
- 18歳:主事補
- 22歳:主事
- 28歳:主任
- 33歳:係長
- 40歳:課長補佐
- 48歳:課長
大卒との比較: 高卒は4年早く働き始めますが、課長到達年齢は大卒とほぼ同じか若干遅めです。

早期昇進・遅れた昇進
早期昇進(抜擢)
- 優秀な人材は、1〜2年早く昇進
- ただし、抜擢は限定的
- 近年、能力主義の導入が進む
昇進が遅れるケース
- 人事評価が低い
- 昇進試験に不合格
- 本人が昇進を望まない
役職別の給与と管理職手当

役職と俸給表の関係
役職と俸給表の級は、概ね以下のように対応します。
一般行政職俸給表
- 1級:主事補
- 2級:主事、主任
- 3級:係長
- 4級:課長補佐
- 5級:課長
- 6級:部長
- 7級:局長

給料月額の目安
- 1級(主事補):約15〜23万円
- 2級(主任):約20〜30万円
- 3級(係長):約25〜35万円
- 4級(課長補佐):約30〜40万円
- 5級(課長):約35〜45万円
- 6級(部長):約40〜50万円
- 7級(局長):約45〜55万円
注意点: 同じ級でも、号給により給料月額は異なります。

管理職手当
課長以上の管理職には、残業代の代わりに管理職手当が支給されます。
管理職手当の額
- 課長:月額4〜8万円
- 部長:月額8〜12万円
- 局長:月額10〜15万円
自治体による違い: 大規模自治体ほど、管理職手当は高めです。

残業代との比較: 管理職は残業代が出ないため、残業が多い部署では、実質的な時給が下がる場合があります。
具体例
- 課長の給料月額:40万円
- 管理職手当:6万円
- 残業:月80時間
- 実質時給:約2,875円
係長時代に残業代を含めて月45万円もらっていた人が、課長昇進で月46万円になっても、残業時間を考えると実質的には減収になる場合もあります。
役職別の年収
年収の目安(東京都特別区の例)
| 役職 | 給料月額 | 諸手当 | 月収計 | ボーナス | 年収 |
|---|---|---|---|---|---|
| 主事 | 25万円 | 10万円 | 35万円 | 160万円 | 580万円 |
| 主任 | 30万円 | 12万円 | 42万円 | 190万円 | 694万円 |
| 係長 | 35万円 | 14万円 | 49万円 | 220万円 | 808万円 |
| 課長補佐 | 38万円 | 15万円 | 53万円 | 240万円 | 876万円 |
| 課長 | 42万円 | 20万円 | 62万円 | 280万円 | 1,024万円 |
| 部長 | 48万円 | 22万円 | 70万円 | 315万円 | 1,155万円 |
注意点
- 諸手当は、地域手当、扶養手当、住居手当等の合計
- 自治体により金額は異なる
- 地域手当の有無で大きく変わる

昇進試験の有無と内容

昇進試験を実施する自治体
多くの自治体では、係長昇任時に昇進試験を実施しています。
試験を実施する自治体
- 都道府県:ほぼすべて
- 政令市:ほぼすべて
- 一般市:約7割
- 町村:約3割
試験の対象
- 係長昇任時:最も多い
- 課長補佐昇任時:一部の自治体
- 課長昇任時:一部の自治体
昇進試験の内容
典型的な試験内容
1. 筆記試験
- 択一式試験(法律、行政、政策等)
- 論文試験(政策論文、課題論文)
2. 面接試験
- 個別面接
- グループディスカッション
3. 人事評価
- 過去数年の人事評価
- 上司の推薦
配点例
- 筆記試験:40点
- 面接試験:30点
- 人事評価:30点
- 合計:100点
合格率
- 自治体により異なる
- 概ね50〜70%程度
- 近年は合格率が高まる傾向
試験勉強の実態
勉強期間
- 3〜6ヶ月程度
- 業務の合間に勉強
勉強内容
- 地方自治法、地方公務員法
- 行政法、憲法
- 政策課題(少子高齢化、地方創生等)
- 論文の書き方
予備校: 公務員試験予備校が、昇進試験対策講座を開講している場合もあります。
実例: ある職員は、昇進試験の3ヶ月前から、毎日2時間勉強し、無事合格しました。
昇進のメリット・デメリット

昇進のメリット
1. 給与が上がる
- 俸給表の級が上がる
- 管理職手当が支給される(課長以上)
2. 裁量が増える
- 意思決定権を持つ
- 自分のアイデアを実現できる
3. やりがいが増える
- 責任ある仕事ができる
- 組織への影響力が増す
4. 社会的地位が上がる
- 「課長」「部長」という肩書き
- 対外的な信用
5. 部下を育成できる
- 後輩を指導する喜び
- 組織の発展に貢献
昇進のデメリット
1. 責任が重くなる
- プレッシャーが増す
- ミスが許されない
2. 残業が増える可能性
- 管理職は残業代が出ない
- 深夜・休日も対応が必要な場合も
3. 板挟みになる
- 上司と部下の間
- 住民と組織の間
4. 人間関係のストレス
- 部下の評価・指導
- 他部署との調整
5. プライベートの時間が減る
- 飲み会・会議が増える
- 持ち帰り仕事
昇進を望まない人もいる
近年、管理職への昇進を望まない職員も増えています。
理由
- ワークライフバランスを重視
- 残業代がなくなる
- 責任の重さに不安
- 専門職として働きたい
対応: 一部の自治体では、専門職コースを設け、管理職にならなくても高い給与を得られる制度を導入しています。
キャリアパスの具体例

標準的なキャリアパス(大卒・順調に昇進)
22歳:主事(福祉課)
- 生活保護の窓口業務
- 上司の指示のもと業務
25歳:主事(税務課)
- 課税業務を担当
- 基礎的な知識を習得
30歳:主任(都市計画課)
- 道路整備の担当
- 後輩を指導
35歳:係長(企画課)
- 総合計画策定の係長
- 5名の部下を指導
40歳:課長補佐(総務課)
- 課長の補佐役
- 予算・人事の実務
48歳:課長(福祉課)
- 福祉課長として課を統括
- 50名の職員を管理
55歳:部長(健康福祉部)
- 複数課を統括
- 市政の重要事項に関与
60歳:定年退職
- 再任用で数年働く選択肢も

専門職のキャリアパス(土木技師)
22歳:土木技師(道路課)
- 道路設計の補助
28歳:土木技師(主任級)
- 道路設計を担当
- 専門知識を深める
35歳:係長(河川課)
- 河川整備の係長
- 技術者として指導
45歳:課長補佐(都市計画課)
- 技術的な判断を担当
52歳:課長(道路課)
- 技術系の課長
- 専門性を活かす
58歳:部長(建設部)
- 技術系トップ
まとめ:地方公務員の役職を理解する

地方公務員の役職について、種類から昇進の仕組みまで解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
役職の序列
- 主事補・主事
- 主任
- 係長
- 課長補佐
- 課長(管理職)
- 部長
- 局長
- 副市長・副知事
昇進の年齢目安(大卒)
- 30歳:主任
- 35歳:係長
- 40歳:課長補佐
- 48歳:課長
- 55歳:部長
給与の目安
- 主任(30歳):年収約600〜700万円
- 係長(35歳):年収約700〜800万円
- 課長(48歳):年収約900〜1,100万円
昇進の仕組み
- 年功序列的な要素が強い
- 人事評価も影響
- 昇進試験がある自治体も多い
- 同期入庁者はほぼ同じペースで昇進
管理職手当
- 課長:月4〜8万円
- 残業代が出ない
- 残業が多いと実質減収も
昇進のメリット
- 給与が上がる
- 裁量が増える
- やりがいが増す
- 社会的地位が上がる
昇進のデメリット
- 責任が重くなる
- 残業が増える可能性
- 板挟みになる
- ストレスが増す
キャリアプランの立て方
- 標準的な昇進年数を把握する
- 自分の希望(管理職になるか、専門職として働くか)を明確にする
- 昇進試験がある場合は、計画的に準備する
- ワークライフバランスも考慮する
昇進を目指す人へ
- 人事評価を意識する
- 幅広い経験を積む
- 専門知識を身につける
- コミュニケーション能力を磨く
- 昇進試験の準備を早めに始める
最後に
近年は、ワークライフバランスを重視し、管理職への昇進を望まない人も増えています。専門職として働き続ける選択肢もあります。
役職だけが価値ではありません。自分の価値観に合ったキャリアを選択することが大切です。
この記事が、地方公務員の役職の理解と、キャリアプランの参考となれば幸いです。
