「銀行のローン審査で納税証明書を出してほしいと言われた」「建設業許可の申請に必要と聞いたが、どこで取れる?」「国税の納税証明書と市税の納税証明書って何が違う?」「コンビニでも取れると聞いたけど、どうやるの?」
納税証明書は、住宅ローン・自動車ローン・建設業許可・事業者登録など、様々な行政手続きや金融機関の審査で求められる重要な証明書です。しかし「どこで取ればいいか」「どの種類を取ればいいか」が分かりにくく、窓口で「それは税務署です」と言われてしまう失敗談も多くあります。
本記事では、市役所で発行される納税証明書の種類・取り方・費用・代替手段まで、必要な情報をすべて網羅して解説します。
この記事でわかること
- 納税証明書の種類(市税・国税)と用途の違い
- 市役所窓口での取り方・必要書類・手数料
- コンビニ交付・郵便申請での取得方法
- 「納税証明書」「完納証明書」「課税証明書」の違いと使い分け
- 代理人が取得できるケースと必要なもの
- 取得できない・発行されないケースの原因と対処法
「市役所の納税証明書」と「税務署の納税証明書」の根本的な違い

結論:納税証明書には「市税版」と「国税版」の2種類がある
「納税証明書を取ってきてください」と言われたとき、最初に確認すべきは「どちらの納税証明書か」です。
| 区分 | 発行機関 | 証明する税金 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 市税の納税証明書 | 市区町村役所(市役所) | 住民税・固定資産税・軽自動車税等(地方税) | 市の入札参加・各種許認可・一部の融資審査 |
| 国税の納税証明書 | 税務署(国税庁) | 所得税・法人税・消費税等(国税) | 国・都道府県の入札参加・建設業許可・融資・各種許可申請 |
本記事では市役所(市区町村)が発行する市税の納税証明書を中心に解説します。国税の納税証明書が必要な場合は、管轄の税務署(またはe-Tax)に申請する必要があります。
「提出先が何を求めているか」を事前に確認する
提出先から「納税証明書を出してください」と言われたとき、以下を確認しましょう。
- 「市税の納税証明書」か「国税の納税証明書」か
- 何税(住民税・固定資産税・所得税 等)の証明が必要か
- 何年度分が必要か
- 何通必要か
確認せずに市役所に行って「それは税務署です」と言われ、税務署に行き直すという二度手間を避けるために、事前確認が不可欠です。
市役所が発行する納税証明書の種類
市役所(市区町村)が発行する納税関係の証明書には、以下の種類があります。
① 市税の納税証明書(滞納なし証明・完納証明)
市区町村が賦課する税金(住民税・固定資産税・都市計画税・軽自動車税など)について、「滞納がない(完納している)」ことを証明する書類です。
主な記載内容:
- 対象税目(住民税・固定資産税・軽自動車税等)
- 納税義務者の氏名・住所
- 証明の対象年度
- 滞納の有無・未納額(ある場合)
主な用途:
- 市区町村の入札参加資格の申請・更新
- 各種許認可・指定申請(介護・保育所指定等)
- 競売・公売への入札参加
- 一部の民間融資・リース審査
② 住民税の課税証明書・非課税証明書
住民税の課税額・所得額・各種控除の内容を証明する書類です。厳密には「課税証明書」ですが、納税証明書と混同されることがあります。
③ 固定資産の評価証明書・公課証明書
不動産(土地・建物)の評価額・課税額を証明する書類です。不動産を所有している場合の融資審査・相続手続きなどで必要になります。
納税証明書・完納証明書・課税証明書の違いと使い分け

3つの証明書の関係を整理する
| 証明書名 | 主に証明するもの | 主な用途 |
|---|---|---|
| 納税証明書(完納証明書) | 「税金を滞納していない」という事実 | 入札・許認可・一部の融資 |
| 課税証明書(所得証明書) | 「前年の所得・課税額」という数字 | 賃貸審査・保育所申込・奨学金 |
| 非課税証明書 | 「住民税が非課税である」という事実 | 給付金申請・国保軽減・介護 |
「納税証明書」は「税金を払っている(滞納していない)」という信用証明、「課税証明書」は「いくら稼いでいて、いくら税金を払っているか」という所得証明と覚えると区別しやすいです。

提出先別の必要書類の目安
| 提出先・用途 | 必要な証明書の種類 | 注意点 |
|---|---|---|
| 銀行・信用金庫の融資審査 | 市税の納税証明書または課税証明書 | 提出先に「市税か国税か」を確認 |
| 市区町村の入札参加申請 | 市税の納税証明書(全税目・滞納なし) | 全税目が対象であることを確認 |
| 建設業許可申請(都道府県) | 国税の納税証明書(税務署発行)+市税の納税証明書 | 両方必要な場合が多い |
| 自動車ローン審査 | 課税証明書(所得証明)または源泉徴収票 | 「納税証明書」より「所得証明書」が主流 |
| 賃貸借契約 | 課税証明書(所得証明書) | 「納税証明書」ではなく所得の証明 |
市役所窓口での取り方【手順・必要書類・手数料】

窓口での手続きの流れ
- 市役所の「税務課・市民税課・収税課」などの窓口へ向かう
- 「納税証明書交付申請書」に必要事項を記入する(窓口に備え付け)
- 本人確認書類を提示する
- 手数料を支払う
- 証明書を受け取る(即日発行)
申請書に記入する主な内容
| 記入項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名・住所・生年月日 | 申請者本人の情報 |
| 必要な証明の種類 | 住民税・固定資産税・全税目など |
| 証明の対象年度 | 何年度分が必要か |
| 必要枚数 | 何通必要か |
| 使用目的 | 入札参加・融資・許認可申請など |
「全税目の滞納なし証明」が必要な場合は、申請書の「税目」欄に「全税目」または個別の税目(住民税・固定資産税・軽自動車税等)を明記します。
必要な本人確認書類
| 本人確認書類 | 備考 |
|---|---|
| 運転免許証 | 最も一般的 |
| マイナンバーカード | 顔写真付き・有効なもの |
| パスポート | 有効なもの |
| 健康保険証 + 補助書類 | 顔写真なし証明書の場合は補助書類も必要な場合あり |
手数料(費用)
| 証明書の種類 | 1通あたりの手数料(目安) |
|---|---|
| 市税の納税証明書 | 200〜400円程度 |
| 課税証明書・非課税証明書 | 200〜300円程度 |
| 固定資産評価証明書 | 200〜400円程度 |
手数料は自治体によって異なります。コンビニ交付は窓口より安く設定されている自治体が多いです。
所要時間の目安
書類に問題がなければ、申請から受け取りまで通常10〜20分程度で完了します。ただし年度切り替え時期(3〜5月)や、滞納がある場合の確認作業が必要な場合は時間がかかる場合があります。
郵便(郵送)で納税証明書を申請する方法

窓口に行けない場合の有効な選択肢
仕事や遠方などの理由で窓口に行けない場合、郵便(郵送)による申請で納税証明書を取得できます。
郵便申請に必要なもの
| 準備するもの | 詳細 |
|---|---|
| 納税証明書交付申請書 | 各市区町村のウェブサイトからダウンロード・記入 |
| 本人確認書類のコピー | 運転免許証・マイナンバーカード等(表裏両面) |
| 手数料分の定額小為替 | 郵便局で購入。1通あたりの手数料分(200〜400円) |
| 返信用封筒 | 自分の住所・宛名を記入し切手を貼ったもの |
郵便申請の手順
- 各市区町村のウェブサイトで申請書をダウンロードし、必要事項を正確に記入
- 本人確認書類のコピーを用意
- 郵便局で手数料分の「定額小為替(ていがくこがわせ)」を購入
- 申請書・本人確認コピー・定額小為替・返信用封筒をまとめて担当課宛てに郵送
- 数日〜1週間程度で証明書が届く
郵便申請の注意点
- 余裕を持って早めに申請する:提出期限が迫っている場合は速達を活用
- 税目・年度の記載を正確に:記入ミスで返送されると手続きが遅延する
- 定額小為替の有効期限は6ヶ月:早めに使用する
- 入札参加申請など提出期限が決まっている場合は特に注意:逆算してスケジュールを組む
コンビニで納税証明書を取る方法

マイナンバーカードがあれば土日・夜間も取得可能
マイナンバーカードを持っており、かつ居住する市区町村がコンビニ交付に対応している場合、コンビニのマルチコピー機から納税証明書(住民税の課税証明書等)を取得できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用時間 | 毎日6:30〜23:00(メンテナンス時間除く) |
| 利用可能日 | 土日・祝日・お盆・年末年始も利用可能 |
| 必要なもの | マイナンバーカード(有効期限内)+暗証番号(4桁) |
| 対応コンビニ | セブン-イレブン・ファミリーマート・ローソン等 |
| 手数料 | 窓口より安い自治体が多い(100〜200円程度) |
コンビニで取得できる納税関係の証明書
| 証明書の種類 | コンビニ取得可否 |
|---|---|
| 住民税の課税証明書(所得・課税証明) | ✅ 取得可能(対応自治体) |
| 住民税の非課税証明書 | ✅ 取得可能(対応自治体) |
| 市税の納税証明書(完納証明) | △ 対応していない自治体が多い |
| 固定資産評価証明書 | △ 一部自治体のみ対応 |
重要な注意点:市税の「滞納なし・完納証明」の性格を持つ納税証明書は、コンビニ交付に対応していない自治体が多いです。入札参加・建設業許可などで必要な「納税証明書(完納証明)」は、窓口または郵送での申請が基本となります。
コンビニ取得の手順
- コンビニのマルチコピー機の「行政サービス」を選択
- 「課税証明書」または「税証明書」を選択
- マイナンバーカードを機器にかざす
- 暗証番号(4桁)を入力
- 必要な年度・枚数を選択して手数料を投入
- 証明書が発行される
代理人が納税証明書を取得するケース

同一世帯の家族による代理取得
同一世帯の家族(配偶者等)が代理で申請する場合、委任状なしで対応できる自治体が多いですが、税務に関わる証明書であることから、より厳密に本人確認を求める自治体もあります。事前に確認することを推奨します。
委任状による代理取得
同一世帯以外の方が代理で取得する場合は、委任状が必要です。
委任状の主な記載事項:
- 委任事項:「◯◯市役所において令和◯年度の市税(全税目)納税証明書◯通の交付申請・受領に関する権限」と具体的に
- 代理人の氏名・住所
- 委任者(本人)の氏名・住所・自筆署名・押印
- 作成日付

法人(会社)の納税証明書取得
法人の市税納税証明書を取得する場合は、個人の場合と手続きが異なります。
法人が納税証明書を取得する場合の必要書類:
- 交付申請書(法人用)
- 法人代表者からの委任状または在職証明書(担当者が取得する場合)
- 担当者の本人確認書類
- 法人印(または担当者の印鑑)
法人の納税証明書は入札参加資格の申請・更新・建設業許可の取得・更新などで頻繁に必要になります。担当者(経理・総務)が代理で取得するケースが一般的です。
発行できない・証明書に記載がない場合の原因と対処

「発行できません」「滞納あり」と言われた場合
納税証明書の交付を申請したとき、以下の理由で「発行できない」または「滞納があるため完納証明は発行できません」と言われる場合があります。
| 原因 | 対処法 |
|---|---|
| 住民税・固定資産税等の未納・滞納がある | 滞納分を納付してから再申請。分割払いの相談は収税課へ |
| 申請した年度の証明がまだ発行できない時期(4〜5月) | 6月以降に再来庁するか、前年度で対応できるか提出先に確認 |
| 転入直後で前年の課税情報が未反映 | 前住所の市区町村で証明書を取得、または確認を依頼 |
| 確定申告・住民税申告が未申告 | 申告手続きを行い、情報が反映されてから再申請 |
| 法人の場合:届出情報の不一致 | 法人の登記住所・担当者権限等を確認 |
滞納があって納税証明書が取れない場合の対処
入札参加や許認可申請の期限が迫っているのに滞納があって納税証明書が取れない、という状況は非常に切迫した問題です。
対処の手順:
- すぐに市役所の収税課・納税課に相談する
- 滞納税額・分納の可能性について確認する
- 一括払いが可能であれば早急に納付し、証明書の発行を求める
- 分割払い(分納誓約)で対応できるか相談する(場合によっては分納中でも一定条件で証明書が発行される場合がある)
建設業許可・融資審査など用途別の注意点

建設業許可申請での納税証明書
建設業許可(都道府県知事許可・国土交通大臣許可)の申請・更新では、以下の両方の納税証明書が必要になるケースがほとんどです。
| 必要書類 | 発行機関 | 証明する税目 |
|---|---|---|
| 国税の納税証明書「その3の3」 | 税務署 | 法人税・消費税・地方消費税に未納がないこと |
| 市税の納税証明書 | 市役所(市区町村) | 住民税(法人市民税等)に未納がないこと |
建設業許可の申請では、国税・市税の両方が求められるため、税務署と市役所の両方に行く必要があります。申請の期限から逆算して、余裕を持って両方の書類を取得しましょう。
銀行・金融機関の融資審査での取り扱い
銀行・信用金庫・信用組合などの融資審査で求められる「納税証明書」は、機関によって以下のいずれかを指している場合があります。
- 市税の納税証明書(滞納なし証明)
- 国税の納税証明書(所得税・法人税等)
- 所得証明書・課税証明書(所得額の証明)
融資担当者に「市税の納税証明書ですか、国税の納税証明書ですか、それとも所得証明書ですか」と具体的に確認したうえで取得しましょう。
入札参加資格申請での取り扱い
国・都道府県・市区町村への入札参加資格の申請・更新では、求められる証明書が異なります。
| 入札参加の申請先 | 主に求められる納税証明書 |
|---|---|
| 国(国土交通省・防衛省等) | 国税の納税証明書(税務署発行) |
| 都道府県 | 国税・都道府県税の納税証明書 |
| 市区町村 | 市区町村税(住民税・固定資産税等)の納税証明書 |
市区町村の入札参加資格申請では、その市区町村に納税義務のある税目(住民税・固定資産税・軽自動車税等)の「全税目完納証明書」を求められることが多いです。
よくある質問(FAQ)

Q. 市税の納税証明書と国税の納税証明書はどちらが必要?
A. 提出先によって異なります。「市区町村の入札参加」であれば市税の納税証明書、「建設業許可」「都道府県の許認可」の多くは国税の納税証明書(税務署発行)が必要です。必ず提出先に確認してください。
Q. 固定資産税や軽自動車税も「市税の納税証明書」の対象?
A. はい。市区町村が賦課する固定資産税・都市計画税・軽自動車税なども「市税」に含まれます。「全税目の納税証明書」を申請すれば、これらすべての税目について滞納なし証明が発行されます。
Q. 過去の年度の納税証明書は取れる?
A. 取れます。市区町村によって保管期間が異なりますが、一般的に過去3〜5年分程度は発行可能です。何年度のものが必要かを事前に提出先に確認してから申請しましょう。
Q. 法人と個人事業主では手続きが違う?
A. 法人の場合は「法人市民税」「固定資産税(事業用)」等が対象になります。申請書の「法人名・法人代表者名」欄への記入が必要で、代理人が取得する場合は委任状または在職証明書等が必要です。
Q. 滞納があっても入札に参加できる?
A. 納税証明書(完納証明)が取得できない場合、一般的に入札参加資格を得ることができません。滞納がある場合は早急に収税課に相談し、解消に向けた対応を取ることが先決です。
Q. 納税証明書の有効期限はどのくらい?
A. 法律上の有効期限はありませんが、提出先が独自の有効期限を設けていることが多いです。一般的に「発行後3ヶ月以内」を求めるケースが多く、入札参加申請では「発行後○日以内」と明記されていることがあります。提出先に確認したうえで、使用する直前に取得するのが確実です。
Q. e-Taxで国税の納税証明書も取れると聞いたが?
A. 国税の納税証明書(税務署発行)は、e-Taxを使ってオンラインで申請できます(マイナンバーカードが必要)。一方、市税の納税証明書は市区町村が発行するもので、e-Taxではなく各自治体のコンビニ交付や郵送申請が代替手段です。
まとめ

市役所での納税証明書について、重要なポイントを整理します。
- 「市税の納税証明書」は市役所(市区町村)が発行、「国税の納税証明書」は税務署が発行。提出先に事前確認が必須
- 「納税証明書(完納証明)」は税金の滞納がないことの証明、「課税証明書」は所得・課税額の証明と役割が異なる
- 窓口取得には本人確認書類と申請書が必要。手数料は1通200〜400円程度で即日発行される
- 窓口に行けない場合は郵便申請(申請書・本人確認コピー・定額小為替・返信用封筒を郵送)
- マイナンバーカードがあればコンビニ交付で課税証明書等を土日・夜間に取得できるが、「完納証明」はコンビニ対応していない自治体が多い
- 滞納がある場合は納税証明書が発行されない。入札・許認可の期限前に早急に収税課へ相談する
- 建設業許可申請では市税と国税の両方の納税証明書が必要なケースが多い
「何の税の・どの年度の・何通の証明書が必要か」を提出先に具体的に確認したうえで取得することが、無駄な二度手間を防ぐ最大のポイントです。
