会計年度任用職員制度は令和2年から導入されました。
それにより、自治体で働く非正規公務員の多くがこの制度に移行し、任用形態や給与、勤務ルールが整理されました。
そんな中で、ネット上で最も質問が多いテーマの一つが、
- 会計年度任用職員は副業できるの？
- そもそも公務員なんだから禁止では？
- どこまでOKで、どこからNGなの？
- バレる理由は？
- 実際に許可されやすい副業は？
という疑問です。
本記事では、会計年度任用職員の副業ルールを法律・自治体規則・実務の３つの観点から徹底解説します。
この記事を読めば、「自分は副業できるのか」「どんな副業なら問題ないのか」が完全に理解できます。
■ 会計年度任用職員は副業できる？結論は「原則できない」
まず最初に、もっとも重要な結論をお伝えします。
会計年度任用職員は、公務員の一種であり原則として副業禁止 です。
根拠は次の２つです。
- 地方公務員法38条（営利企業従事の制限）
- 自治体ごとの服務規程（職務専念義務）
つまり、正規・非正規を問わず、自治体で任用される職員はすべて副業禁止のルールが適用されます。
「一定条件のもとで許可される場合がある」
会計年度任用職員は正規公務員より規制が少し緩い自治体もあり、以下のような場合は、副業が許可されるケースがあります。
- 営利目的でない活動（講演・地域活動）
- 地域貢献的な副業（消防団、PTAなど）
- 自治体が許可した副業（講師・臨時仕事）
- 申請して承認されたアルバイト
- 収入申告を踏まえた上での在宅ワーク
ただし自治体によって大きく違い、許可を出す自治体もあれば、完全に禁止の自治体もあります。
■ 副業が禁止される理由
会計年度任用職員が副業を制限される理由は、主に次の３つです。
①公務員の信用失墜の防止
公務員は「住民の信頼」で成立する職業です。
副業によって利益相反が生じたり、問題が起きると自治体全体の信用に関わります。
②職務専念義務
本業である公務に全力を尽くす必要があるため、副業で過労・欠勤が増えることを防ぐ目的があります。
③情報漏洩のリスク
副業先に住民情報や内部情報が漏れる危険性があります。
とくに自治体は個人情報の集積地であるため、厳しく規制されています。
■ どこまでが禁止で、どこまでがOK？明確な線引きを解説
ここからは、会計年度任用職員の副業の「判断基準」を具体例で説明します。
■【NG】絶対に禁止される副業
● 営利企業に雇われる仕事（無許可）
- 飲食店でのアルバイト
- コンビニ・スーパーの仕事
- 工場の軽作業
- 企業の事務
これらはすべて営利企業従事に当たり、原則禁止です。
許可申請をしても、通らない自治体が多数です。
● 自営業（許可なしの場合）
- 物販ビジネス（メルカリ転売含む）
- 店舗運営
- 個人事業主としての契約
事業性がある副業は「営利企業経営」に該当し、禁止されます。
● 高額収入につながる副業
- YouTube収益
- FX・暗号資産のトレード（事業性があればNG）
少額なら黙認されることもありますが、「事業性あり」と判断されると禁止されます。
■【グレー】自治体によって判断が分かれる副業
● 在宅ワーク（クラウドソーシング）
- ライティング
- データ入力
- 商品レビュー
- Webデザイン
これらの仕事は、最近は許可される自治体が増えています。
ただし「事業性がある」と判断されると禁止されます。
● フリマアプリでの販売
- 家にある不要品の売却は原則OK
- 仕入れて販売すると「事業」扱いでNG
● 収益化されたSNS
- TikTok
- X
- note
広告収入が小額なら黙認される可能性があります。
■【OK】許可されやすい副業
以下はほとんどの自治体で許可されやすい副業です。
● 公益性の高い活動
- ボランティア
- NPO活動
- 地域の講演会への協力
● 住民サービスにつながる活動
- 地域講師
- ワークショップの講師
- PTA関連の謝礼金
● 農業（家業の手伝い）
- 家族の農業を手伝う
- 自家用の野菜を販売する程度
● 著作権収入
- 本の印税
- 写真素材の販売
- 音楽著作権料
これは自動収入であり、勤務時間外の活動とされるため比較的許可されやすいです。
■ 会計年度任用職員の副業が「バレる理由」
副業を隠しても、ほぼ確実にバレます。
その主な理由は次の通り。
● 理由①住民税の通知（これが最も多い）
副業の所得が増えると、翌年度の住民税額が増えます。
住民税は勤務先（自治体）に通知が行くため、
税額が異常に高い＝副業収入がある
ということがすぐに分かります。
これは最も多い発覚パターンです。
● 理由②副業先の従業員・住民の通報
公務員は地域で顔が知られやすいため、
- 「役所にいる人がバイトしていた」
- 「あの人、公務員ですよね？」
という通報で発覚するケースも少なくありません。
● 理由③SNSやネットの痕跡
- YouTube
- TikTok
- X
- メルカリ
- note
これらは意外と見られています。
特に、名前や顔を出して副業をするとリスクが高まります。
■ 副業がバレた場合のペナルティ
◎最悪の場合「懲戒処分」もあり得る
自治体ごとに処分は異なりますが、一般的には以下のようなパターンがあります。
- 文書訓告
- 厳重注意
- 減給
- 停職
- 任用更新なし
- 雇止め（実質クビ）
会計年度任用職員は任期が1年のため、通常の懲戒処分ではなく、「更新しない」という形で実質的にクビにされるケースが多いです。
■ 副業をしたい場合の正しい手順
もし副業を希望するなら、次のステップが安全です。
①勤務先自治体の服務規程を確認
自治体ごとに「副業許可のルール」が載っています。
②副業の内容を明確にする
- 勤務時間
- 収入予定
- 仕事内容
- 目的（営利目的かどうか）
など、人事部から何を聞かれても答えられるように明確にしておきましょう。
③副業申請書を提出する
ほとんどの自治体は、副業に関する許可申請を用意しています。
その書類に必要事項を記入して人事部に提出します。
④許可が出るまでは絶対に始めない
無許可で始めると即アウトです。
必ず許可が出てから始めるようにしましょう。
■ 実際に許可されやすいおすすめ副業５選｜会計年度任用職員向け
副業の中でも、会計年度任用職員が実は許可されやすい副業もあります。
◆１．Webライター（小規模）
- 実務経験が活かせる
- 時間に縛られない
少額なら許可されるケースが増えています。
◆２．イラスト・デザインの販売
- ココナラ
- BOOTH
- ストック素材
著作物収入であるため、比較的許可されやすい。
◆３．ハンドメイド販売（小規模）
事業性の判断が曖昧なため、自治体により許可されやすい。
◆４．講師・セミナー（地域活動とみなされることあり）
自治体が「公益性あり」と判断すると許可が下りる場合があります。
◆５．家庭農業の手伝い
家業手伝いは報酬扱いされないケースが多く、許可が出やすいです。
■ まとめ：会計年度任用職員は副業できるが、必ず「許可制」。無許可は危険。
本記事のポイントを整理します。
- 会計年度任用職員は 原則、副業禁止
- 自治体によっては「許可制」で副業OK
- 事業性のある副業はほぼNG
- バレる理由の90％は「住民税」
- 無許可の副業は「更新されない＝実質クビ」の可能性
- 在宅ワークや著作物収入は許可されやすい
副業をしたい場合は、必ず自治体の規則を確認し、申請したうえで始めることが大切です。
