令和2年4月1日から全国の市町村で会計年度任用職員制度が始まりました。
会計年度任用職員制度により、市役所で働く非正規職員(パート・アルバイト)の給料や休暇等の各種制度がガラリと変わりました。
また、改正に伴い、市役所で働く非正規職員(パート・アルバイト)は・嘱託職員・臨時職員・パート職員の3種類から
・フルタイム会計年度任用職員
・パートタイム会計年度任用職員
の2種類に分類されるようになりました。
これらの違いは、名称のとおり、勤務時間が違うだけではなく、給料等の待遇も全く違います。
そこで、このページでは、
・フルタイム会計年度任用職員
・パートタイム会計年度任用職員
のそれぞれの違いについて詳しくご紹介します。
勤務日数・勤務時間が違う
はじめにフルタイム会計年度任用職員とパートタイム会計年度任用職員はその名の通り、勤務日数・勤務時間が異なります。
フルタイム会計年度任用職員の1日の勤務時間は、正職員と同じで8時30分から17時15分までの7時間45分で週38時間45分です。
それに対してパートタイム会計年度任用職員の1日の勤務時間は、週38時間45分未満で調整されます。
大抵のパートタイム会計年度任用職員は1日の勤務時間がフルタイム会計年度任用職員と比べて1時間短い6時間45分で1時間遅くに出勤したり、1時間早く退勤したりしています。
週の勤務時間を調整すれば良いため、1日の勤務時間をフルタイム会計年度任用職員と同様に7時間45分にする代わりに休日を増やしたりする場合もあります。
このように、パートタイム会計年度任用職員の勤務日数・勤務時間は一括で決まっているわけではなく、同じ市役所でも部署によって勤務日数・勤務時間を変えて調整しています。
給料等の用語が違う
給料が違う
フルタイム会計年度任用職員 | パートタイム会計年度任用職員 |
給料 | 報酬 |
時間外勤務手当・夜間勤務手当等 | 報酬 |
通勤手当 | 費用弁償 |
上図のように、フルタイム会計年度任用職員では給料ですが、パートタイム会計年度任用職員では報酬と言ったように、使われる用語が違います。
用語は違いますが、退職手当等の一部を除き、フルタイム会計年度任用職員でもパートタイム会計年度任用職員でも同様に支給されます。
ボーナス(期末手当)の支給割合が違う
ボーナス(期末手当)の算出方法は
基準額✕支給割合=ボーナス(期末手当)
で算出されます。
フルタイム会計年度任用職員の方が勤務日数・勤務時間も長いため、当然基準額は多いんですが、実は支給割合も高いです。
支給割合は自治体によって異なりますが、年間1ヶ月分ほど期末手当に差が出ます。
都会の法の進んでいる市町村、例えば目黒区の場合はフルタイム会計年度任用職員でもパートタイム会計年度任用職員でも期末手当の基礎額にかける支給割合が
6月分は100分の112.5、12月分は100分の117.5なので、同じ支給割合でボーナス(期末手当)をもらうことができます。
将来的にはフルタイム会計年度任用職員の支給割合にパートタイム会計年度任用職員も引き上げようとどこの市町村も目標を立てているため、いずれは、目黒区のようになるのでしょうが、田舎の市町村では、目標達成まで、もうしばらく時間が掛かりそうです。
フルタイム会計年度任用職員には昇給がある
フルタイム会計年度任用職員の場合、勤務成績が良好だと評価されると、年に1度昇給することがあります。
正職員と比べると、毎年必ず昇給するわけでもなく、また昇給する額も、上限も高くはありませんが、頑張れば頑張るほど、給料がアップします。
パートタイム会計年度任用職員の場合は、残念ながら昇給制度はないため、どれだけ頑張っても給料は変わりません。
フルタイム会計年度任用職員には退職手当が出る
会計年度任用職員になって新たに導入された制度ですが、フルタイム会計年度任用職員の場合、辞めるときに退職手当が出ます。
退職手当の計算方法は
退職日給料月額✕退職事由別・勤続年数別支給率=退職手当額
で算出できます。
退職事由別・勤続年数別支給率は、それぞれの自治体によって異なるため、一概には言えませんが、
例えば東村山市では
(1)3年以上4年以下の期間については、1年につき100分の41
(2)5年以上6年以下の期間については、1年につき100分の50
(3)7年以上9年以下の期間については、1年につき100分の63
(4)10年以上12年以下の期間については、1年につき100分の81
(5)13年以上15年以下の期間については、1年につき100分の99
(6)16年以上19年以下の期間については、1年につき100分の104
(7)20年以上の期間については、1年につき100分の108
となっているように、勤続年数が増えるごとに、退職事由別・勤続年数別支給率は増えるため、退職手当も増えます。
残念ながらパートタイム会計年度任用職員の場合は、退職手当がないため、長年勤めても、辞める時に退職手当等の一時金の支給はありません。
フルタイム会計年度任用職員になるには資格等専門的な知識が必要
上記を見ていると、フルタイム会計年度任用職員の方が給料が多く、ボーナスも多く、加えて辞める時には退職手当も支給されるなど、パートタイム会計年度任用職員と比べてかなり優遇されています。
そのため、フルタイム会計年度任用職員とパートタイム会計年度任用職員どちらになりたいか?と言えば、当然フルタイム会計年度任用職員になりたい方が圧倒的に多いです。
しかし、フルタイム会計年度任用職員になるには、資格を持っていたり、専門的な知識を持っていないとなることはできません。
具体的には、看護師、保健師、保育士、理学療法士、言語聴覚士などの資格が必要です。
また、ただ資格を持っていれば誰でもフルタイム会計年度任用職員になれるわけではなく、その資格がないとできない業務に携わらなければフルタイム会計年度任用職員にはなりません。
例えば理学療法士の資格を持っていたとしても、福祉部門ではなく、税部門で働くのであれば、税部門の業務に理学療法士の資格は必要ないため、パートタイム会計年度任用職員としての採用となります。
このように、フルタイム会計年度任用職員の方が各種優遇されていますが、かなり狭き門となっており、大半の人、ほぼ9割近くの人はパートタイム会計年度任用職員として働いています。
パートタイム会計年度任用職員の場合は副業ができる
パートタイム会計年度任用職員にも特権はあります。
それは副業が認められているところです。
フルタイム会計年度任用職員の人は正職員と同じため、副業は認められていませんが、パートタイム会計年度任用職員は副業可能です。
そのため、例えば午前中は市役所で働き、午後からはコンビニで働くといったダブルワークをすることも可能です。
もちろん、不動産・株などの資産運用の他、ブロガーとしてアフィリエイトで稼いだり、You Tubeで稼いだりすることも可能です。
注意点としては、労働基準法の関係です。
労働基準法第38条1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、
労働時間に関する規定の適用については通算する。」と定められています。
そのため、本業と副業の合計労働時間が1日8時間・週40時間の法定労働時間を超過する場合は、原則として割増賃金を支払わなければいけません。
割増賃金の支払いですが、原則としては後から労働契約をしたところが支払義務を負うため、パートタイム会計年度任用職員としてキッチリ働きながら別の仕事に就くのはかなり難しいです。
まとめ
フルタイム会計年度任用職員の方が勤務日数・勤務時間が長く、資格等の専門的な知識が必要な分、給料やボーナスも多く、退職時には退職手当も支給されます。
しかし、フルタイム会計年度任用職員になるには資格等が必要であり、そのような資格を持っている人は通常、看護師であれば看護師として働いた方が給料等も良いため、フルタイム会計年度任用職員として採用されることは、ほとんどありません。
大半の人はパートタイム会計年度任用職員として市役所で働いています。
そのため、市役所でアルバイトとして働きたい!と思っている方は、基本的にはパートタイム会計年度任用職員として採用されるので、フルタイム会計年度任用職員とパートタイム会計年度任用職員の違いについて気にする必要はありません。
その他、会計年度任用職員のメリット・デメリットについては、下記のページを御覧ください。