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会計年度任用職員の人事評価完全ガイド|制度・基準・更新への影響を徹底解説

会計年度任用職員
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「人事評価が低いと更新されない?」「評価基準が不透明で不安」「どうすれば高評価を得られる?」会計年度任用職員として働く多くの方が、人事評価に対して不安を抱いています。

本記事では、人事評価制度の仕組みから評価基準、更新への影響、不当評価への対処法まで詳しく解説します。

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会計年度任用職員の人事評価とは

制度導入の背景

会計年度任用職員には、常勤職員と同様に人事評価制度が適用されます。

これは地方公務員法に基づくものです。

制度導入の理由

  • 地方公務員法に基づく義務
  • 客観的な能力実証の必要性
  • 勤勉手当への反映(令和6年度から)
  • 再度任用の判断材料

令和6年度からこれまで期末手当を支給していた会計年度任用職員について、併せて勤勉手当を支給することとなったため、常勤の職員と同様に勤勉手当に直近の人事評価結果を反映させるために人事評価を実施する必要が出てきました。

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人事評価の目的

人事評価には、以下の目的があります。

主な目的

  1. 能力・実績に基づく人事管理
  2. 人材育成とスキル向上の促進
  3. 再度任用の客観的判断
  4. 勤勉手当の成績率への反映
  5. 職員の適正配置

ただし、実際には再度任用(更新)の可否を決める重要な判断材料として使われていることも多々あります。

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人事評価の構成

2つの評価方法

人事評価は、「能力評価」「業績評価」の2つで構成されます。

能力評価
評価項目ごとに定める着眼点に基づき、職務遂行の過程において発揮された会計年度任用職員の能力を客観的に評価することをいう。

業績評価
会計年度任用職員があらかじめ設定した業務目標の達成度により、その業務上の業績を客観的に評価することをいう。

能力評価の評価項目

多くの自治体では、以下のような評価項目が設定されています。

一般的な能力評価項目

  1. 責任感
    • 与えられた業務を責任を持って遂行する
    • 期限を守る
    • 正確性を保つ
  2. 協調性
    • チームワークを大切にする
    • 周囲と良好な関係を築く
    • 積極的に協力する
  3. 業務知識・技能
    • 業務に必要な知識を習得する
    • 技術を適切に活用する
    • 情報を適切に収集・分析する
  4. 規律性
    • 服務規律を遵守する
    • 法令を守る
    • 時間を厳守する
  5. コスト意識
    • 計画的・効率的に業務を遂行する
    • 市民の視点に立つ
    • 無駄を省く

自治体によって項目名や内容は異なりますが、概ねこのような観点で評価されます。

業績評価の仕組み

業績評価は、年度初めに設定した目標の達成度を評価します。

業績評価のプロセス

  1. 目標設定(4月)
    • 被評価者が業務目標を設定
    • 評価者と面談で確認
  2. 中間面談(10月頃)
    • 進捗状況の確認
    • 必要に応じて目標修正
  3. 最終評価(翌年3月)
    • 目標達成度を評価
    • 自己評価と評価者評価

評価基準例

  • S(期待を大きく上回る):目標を大幅に達成
  • A(期待を上回る):目標を上回って達成
  • B(期待どおり):目標を達成
  • C(やや期待を下回る):目標を概ね達成
  • D(期待を下回る):目標達成が不十分

評価の実施時期と頻度

年1回または年2回

自治体によって評価の頻度は異なります。

年1回の場合

  • 評価期間:4月1日〜翌年3月31日
  • 最終評価:3月
  • 勤勉手当への反映:年1回分まとめて

年2回の場合

  • 第1期:4月1日〜9月30日(10月評価)
  • 第2期:10月1日〜翌年3月31日(3月評価)
  • 勤勉手当への反映:各期の評価を各回に反映

総務省のQ&Aでは、会計年度任用職員の人事評価については、正職員と同様、業績評価を2回に設定し、その結果を年2回の勤勉手当の成績率に反映することが示唆されています。

条件付採用期間の評価

会計年度任用職員は、任用されてから最初の1ヶ月間は条件付採用期間(試用期間)となります。

この期間にも能力評価が行われ、正式任用の可否が判断されます。

再度任用の場合でも、毎年度条件付採用期間が設けられるため、「能力や成績で一定の評価を受けているはずですが、毎年度試用期間が設けられることで、会計年度任用職員は不安を抱えながら働かなければなりません」という指摘があります。

評価者と評価の流れ

誰が評価するのか

一般的な評価者の構成

  • 1次評価者:係長または課長補佐
  • 2次評価者:所属長(課長)
  • 調整者:部長(自治体による)

出先機関など被評価者の勤務状況が把握しづらい場合は、所属長が指定した者(係長級以上の職員に限る)が1次評価者となることもできます。

評価のプロセス

ステップ1:目標設定と自己申告

  • 年度初めに業務目標を設定
  • 自己申告書を作成
  • 評価者と面談(自治体により実施しない場合も)

ステップ2:中間面談(実施する場合)

  • 進捗状況の確認
  • 課題の共有
  • 目標の修正

ステップ3:自己評価

  • 目標達成度を自己評価
  • 能力発揮状況を自己評価
  • 自己評価表を提出

ステップ4:評価者評価

  • 1次評価者が評価
  • 2次評価者が評価
  • 調整者が最終調整(自治体による)

ステップ5:結果開示

  • 評価結果を被評価者に開示
  • 必要に応じてフィードバック面談

人事評価と再度任用(更新)の関係

客観的な能力実証

会計年度任用職員制度導入時、総務省は「公募によらない再度の任用は、客観的な能力の実証(人事評価制度等)に基づき、2回を限度に任期の更新(再度の任用)を行うことが可能」としていました。

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つまり、人事評価は再度任用を行う際の「客観的な能力実証」と位置づけられています。

人事評価と更新の関係

  • 人事評価は更新の重要な判断材料
  • 評価が低いと更新されないリスクがある
  • ただし、評価だけで機械的に決まるわけではない
  • 予算や定数の問題でも雇止めは起こる

更新上限撤廃後の影響

令和6年6月に更新上限が撤廃されましたが、公募制度は継続している自治体が多く、人事評価の重要性は変わっていません。

人事院の担当者は「公募を行うことが原則であることは変わらない。再採用は例外です」と回答しており、公募選考の合否判断に人事評価が活用される可能性があります。

人事評価制度の問題点

評価基準の不透明性

多くの当事者から、評価基準が不透明で納得できないという声が上がっています。

具体的な問題点

  • 評価基準が明確でない
  • 評価の理由が説明されない
  • 評価者による主観的な評価
  • 正規職員との関係性が影響する可能性

ハラスメントの温床

立場が弱い会計年度任用職員は、人事評価を盾にしたハラスメント「クビハラ」の被害に遭いやすいという指摘があります。

クビハラの例

  • 雇用の継続をちらつかせて無理な要求をする
  • 些細なミスを理由に低評価をつける
  • 同僚間で告げ口をさせて雇止めに追い込む
  • 「正職員に何か意見をしたこと」が雇止めの理由になる
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勤務実績が考慮されないケース

「人事評価の上でも問題はなかった(どころか高い評価が得られていた)」にもかかわらず雇止めにあったという声もあります。

埼玉県狭山市では、2022年末に図書館司書の会計年度任用職員32名中11人が一次の書類選考で落とされましたが、当事者には納得のいく説明はされていません。しかも一次選考業務は、外部の民間企業に委託されていたことが、当事者を支援する労働組合と市との団体交渉で明らかになっています。

高評価を得るためのポイント

基本的な心構え

人事評価で高評価を得るための基本は、以下の通りです。

重要なポイント

  1. 与えられた業務を確実にこなす
    • 期限を守る
    • 正確性を保つ
    • 報告・連絡・相談を密に
  2. 協調性を示す
    • チームワークを大切にする
    • 周囲と良好な関係を築く
    • 積極的に協力する
  3. 規律を守る
    • 時間厳守
    • 服務規律の遵守
    • 法令・マニュアルに従う
  4. スキルアップの姿勢
    • 業務に必要な知識を積極的に学ぶ
    • 資格取得に挑戦する
    • 研修に参加する
  5. 市民への丁寧な対応
    • 窓口対応は特に重視される
    • 丁寧な言葉遣い
    • 親身な対応

目標設定のコツ

業績評価で高評価を得るには、適切な目標設定が重要です。

目標設定のポイント

  • 具体的に:「○○を改善する」ではなく「○○を10%削減する」
  • 測定可能に:達成したかどうかが明確に分かる
  • 達成可能に:頑張れば達成できるレベル
  • 関連性を持たせる:部署の目標と連動させる
  • 期限を設定:「○月までに」と明確に

チャレンジ目標の設定 一部の自治体では、難易度Ⅲ以上の「チャレンジ目標」を少なくとも1つは設定するようになっています。積極的な姿勢を示すことができます。

自己評価のコツ

自己評価では、実績を具体的にアピールすることが大切です。

効果的な自己評価

  • 数字で示す(処理件数、削減率など)
  • 具体的なエピソードを書く
  • 工夫した点を強調する
  • チームへの貢献を記載する
  • 課題と改善策も述べる

避けるべき自己評価

  • 抽象的な表現のみ
  • 謙遜しすぎる
  • 他者の成果を自分の成果のように書く
  • ネガティブな表現が多い

不当な評価への対処法

評価結果の開示を求める

人事評価の結果は、被評価者に開示されます。

ただし、開示の方法や詳細度は自治体によって異なります。

開示を求めるべき内容

  • 能力評価の評語と評価理由
  • 業績評価の評語と評価理由
  • 総合評価
  • 改善すべき点

評価後は被評価者の元に人事評価シートを返すなど、評価の透明性を確保するための代替措置を取っている自治体もあります。

苦情処理制度の活用

人事評価に関する苦情への対応については、「苦情相談」と「苦情処理」の2つの仕組みがあります。

苦情相談

  • 会計年度任用職員の申出に基づく
  • 確認者が対応
  • 口頭でも可能

苦情処理

  • 書面による申告に基づく
  • 確認者が行う
  • 評価期間につき1回限り
  • 再評価の可能性あり

開示された評価結果に関する苦情処理は、当該評価の評価期間につき、1回に限り受け付けるものとします。

また、苦情処理の結果として再評価された評価結果について、再度、苦情処理の申出を行うことはできません。

重要な保護規定 任命権者は、会計年度任用職員が苦情の申出をしたことを理由に、当該会計年度任用職員に対して不利益な取扱いをしてはなりません。

労働組合に相談する

不当な評価や雇止めに対しては、労働組合が強力な味方になります。

労働組合ができること

  • 評価基準の透明化を求める団体交渉
  • 不当な雇止めへの抗議
  • 苦情処理のサポート
  • 制度改善の要求
  • 法的対応の支援

千葉県柏市では、労働組合の働きかけにより「全員解雇・一斉公募は見送る」という大きな前進がありました。

記録を残す

不当な評価やハラスメントに備えて、記録を残すことが重要です。

記録すべき内容

  • 業務実績(日報、メール、成果物)
  • 評価面談の内容
  • 上司からの指示内容
  • ハラスメントの内容(日時、場所、発言内容)
  • 同僚の証言

記録は、後で問題があった場合の重要な証拠になります。

制度改善に向けた動き

透明性の確保

当事者や労働組合は、人事評価制度の透明性確保を求めています。

求められる改善点

  • 評価基準の明確化
  • 評価理由の説明義務化
  • 公募選考基準の客観化
  • 外部委託の禁止
  • 苦情処理制度の充実

定数の透明化

「毎年1〜3月に一度決めた定員数が何度も変更される。本当に本省が求めた定員なのかも不透明」「なくなると言われた席が復活したりする」などの現状が報告され、「透明性、客観性を求める」との要望が上がっています。

ハラスメント対策の強化

東京都議会では、「会計年度任用職員は勤務評価が雇用の継続に直結することなどから、職場での立場が弱く、ハラスメントにあいやすい、ハラスメントや理不尽な扱いがあっても相談しにくいと指摘されています。実態調査と対策強化が必要です」という申し入れがされています。

自分を守るために

記録と証拠の保存

日常的に以下を記録・保存しましょう。

保存すべきもの

  • 業務日報
  • 成果物のコピー
  • 上司からのメール
  • 業務指示書
  • 評価面談メモ
  • 人事評価シートのコピー

相談先を確保する

一人で抱え込まず、相談できる先を確保しておきましょう。

主な相談先

  • 労働組合(自治労連など)
  • 非正規公務員voices
  • 日本労働弁護団
  • 法テラス
  • 信頼できる同僚

自己研鑽を続ける

雇止めに備えて、スキルアップを続けることも重要です。

おすすめの取り組み

  • 業務に関連する資格取得
  • 研修への積極的な参加
  • 専門書の読書
  • 他自治体の求人情報の収集
  • 正規職員試験の受験準備

よくある質問

Q1. 評価が低いと必ず雇止めされますか?

A1. 評価が低いと雇止めのリスクは高まりますが、自動的に雇止めとなるわけではありません。予算や定数の問題など、評価以外の要因でも雇止めは起こります。逆に、高評価でも雇止めされた事例もあります。

Q2. 評価基準は教えてもらえますか?

A2. 自治体によって異なりますが、評価項目や着眼点は事前に示されるのが一般的です。ただし、具体的な評価基準や判断方法については明確でないケースも多くあります。

Q3. 自己評価と評価者評価が大きく異なる場合は?

A3. 自己評価と評価者評価に大きな乖離がある場合は、フィードバック面談で理由を確認しましょう。納得できない場合は、苦情処理制度を利用できます。

Q4. 面談がない場合、評価は不利になりますか?

A4. 面談を行わない自治体もあります。会計年度任用職員の勤務先で多いのは、保育園・幼稚園・児童館の現場、市役所の窓口といった市民に直接対峙する部署が多いことから、被評価者に自己申告・面談を求めないという運用をしている自治体もあります。面談がないことで直接不利になるわけではありません。

Q5. 正規職員と評価基準は同じですか?

A5. 基本的な評価の枠組みは同じですが、評価項目や着眼点は会計年度任用職員用に調整されている自治体が多いです。正規職員に求められる管理職的な能力は評価対象外となる場合があります。

Q6. 評価に不満がある場合、次年度の更新に影響しますか?

A6. 苦情申出をしたことを理由に不利益な取扱いをすることは禁止されています。ただし、実際には声を上げることへの不安から、「非正規は声を上げられない状況にあります」という現実があります。

Q7. 勤勉手当にどう反映されますか?

A7. 令和6年度から、会計年度任用職員にも勤勉手当が支給されるようになり、人事評価の結果が成績率に反映されます。評価が高いほど支給額が増えます。

まとめ:人事評価との向き合い方

重要ポイントの再確認

  1. 人事評価は更新の重要な判断材料
    • 再度任用の「客観的な能力実証」
    • 勤勉手当にも反映
    • ただし評価だけで決まるわけではない
  2. 評価制度には課題が多い
    • 評価基準の不透明性
    • ハラスメントの温床
    • 高評価でも雇止めの事例
  3. 自分を守る手段がある
    • 評価結果の開示請求
    • 苦情処理制度の活用
    • 労働組合への相談
    • 記録の保存
  4. 制度改善が進んでいる
    • 透明性確保の要求
    • ハラスメント対策の強化
    • 労働組合による改善事例

最後に

人事評価制度は、本来は人材育成と適正な処遇のためのツールです。

しかし、現状では雇用継続の生殺与奪権のように機能し、会計年度任用職員を不安に陥れている面があります。

心に留めておくべきこと

  • 真面目に仕事をすることは大切
  • しかし評価が全てではない
  • 不当な評価には声を上げる権利がある
  • 一人で抱え込まず相談する
  • 記録を残して自分を守る

当事者の声が制度改善につながります。もし不当な評価や扱いを受けたら、一人で悩まず、労働組合や支援団体に相談してください。

あなたの権利を守るための支援者は必ずいます。

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