公務員には期末・勤勉手当と言う民間企業におけるボーナス(賞与)が支給されます。
では、ボーナスの支給日はいつか?いくらもらえるのか?減額されることはあるのか?また、そもそもなぜ公務員にボーナスが支給されるのか?等、気になるところだと思います。
そこで、このページでは、これら地方公務員のボーナスにまつわるあらゆる疑問に詳しくご説明していきます。
公務員のボーナス支給日は6月と12月
公務員のボーナスは年2回、6月と12月に支給されます。
私が公務員になる前には6月と12月に加えて3月にもボーナスに似た何らかの手当が支給されていたようですが、現在は廃止され、年2回の支給となっています。
ボーナスの支給日については、国や県、政令指定都市では10日、それ以外の市町村では15日にボーナスが支給されています。
よくニュースでも公務員のボーナスについて放送されていますが、ニュースで取り上げられているのは国や県、政令指定都市のボーナスのため、ニュースがあってるときには、まだ市町村に勤務している市町村にはボーナスが支給されていないため注意が必要です。
なお、ボーナス支給日である10日、もしくは15日が土日祝日の場合は、前日または前々日の直近の平日が支給日になります。
例えば10日が土曜日の場合は前日の9日金曜日にボーナスが支給され、10日が日曜日の場合は前々日の8日金曜日にボーナスが支給されます。
地方公務員のボーナスは何ヶ月分支給される?
地方公務員のボーナスは夏・冬合わせて年間4.45月分となっており、夏・冬それぞれでは、半分の2.225月分が支給されます。
以前は夏よりも冬のボーナスの方が支給月数が多く、上記の例であれば夏は2.2月分、冬は2.25月分、計年間4.45月分と言う支給方法でしたが、現在は夏・冬半分ずつの支給月数に調整されています。
ボーナスの支給月数は自治体によって異なる
地方公務員のボーナスの支給月数をいくらにするのか?については人事院勧告が出されるため、国によって定められている印象ですが、最終決定権は実は各自治体にあります。
なぜなら、地方公務員のボーナスについては、各自治体の条例で定められているからです。
地方公務員のボーナスを増額するにしても減額するにしても条例改正には議会の議決が必要になります。
そのため、議会がノーと言えば、人事院勧告で減額するようお達しが来ていても突っぱねることは可能です。
また、中には人事院勧告の下げ幅以上にボーナス支給月数を下げる自治体もあります。
とは言え、人事院勧告に従わない場合は、地方交付税の支給金額を減額される可能性があるため、大抵は人事院勧告通りのボーナス支給月となります。
ちなみに、私の知る限りでは、1度だけ人事院勧告を無視したケースがあります。
それは、令和3年12月のボーナスの取り扱いについてです。
ボーナスの支給月を減らす人事院勧告が遅かったため、12月定例会で議案を上程・議決できた自治体とできなかった自治体に分かれました。
つまり、12月支給分のボーナスが減額された自治体と12月支給分は間に合わず、減額されずに支給された自治体に分かれました。
全ての自治体が翌年の令和4年6月支給分から人事院勧告どおり減額されたボーナス支給になりましたが、12月支給分のボーナスまで遡及して減額するかどうかについては意見が分かれ、一部自治体は人事院勧告を無視して、12月分については遡及しないと決定した自治体もあります。
なお、12月分を遡及しなかった自治体に対して何らかのペナルティがあったかどうかですが、今のところ、地方交付税を減額したりと言った具体的な罰則はないようです。
地方公務員のボーナスはいくら支給される?
地方公務員の支給月数は上記のとおり、どこの自治体も大差はなく、大抵一緒ですが、実際に支給される金額は自治体によってバラバラです。
ニュース等では、田舎の方でもボーナスの平均支給額が80万円前後と放送されることが多いですが、それは県や政令指定都市のボーナス支給額です。
県や政令指定都市以外の市町村のボーナス平均支給額は65万円前後となることから周辺自治体の市町村職員は、ニュースで報道されるよりもだいぶ少ない金額が支給されています。
地域手当がある分、都会の方が支給金額が多い
同じボーナス支給月数なら、どこの自治体に勤めても一緒だな、と思ったら大きな間違いです。
国は同一労働同一賃金を推し進めていますが、実際は同じボーナス支給月数でも田舎と都会では支給金額に大きな差が出てきます。
例えば令和4年12月における横浜市の冬のボーナス平均支給額は93万円と報道されていましたが、この金額は田舎の自治体であれば事務方トップの部長級にならないと、もらえない金額です。
では、なぜ田舎と都会でボーナスの支給金額にこれだけの差がでるのか?
それは、都会の公務員には地域手当が付くからです。
地域手当は基本給に対して最大20%付き、毎月の給料だけでなく、ボーナスにも関係してきます。
例えば基本給20万円として地域手当が20%付く自治体と地域手当が0%の自治体を比べると下記のような支給額になります。
<給料月額>
○都会の場合
地域手当20% 基本給20万円×20%=4万円(地域手当)
基本給20万円+地域手当4万円=24万円(月額)
○田舎の場合
地域手当0% 基本給20万円×0%=0円(地域手当)
基本給20万円+地域手当0円=20万円(月額)
<ボーナス支給額>
○都会の場合
地域手当20% 給料月額24万円×2.225月=53.4万円
○田舎の場合
地域手当0% 給料月額20万円×2.225月=44.5万円
同じ基本給でも、都会と田舎でボーナス支給額は約10万円、年収だと約70万円も差が出ます。
勤続年数が増えるほど、基本給も上がり、それに比例して地域手当も増額されることから、業務は全く一緒でも田舎と都会で年収に大きな差が生じてきます。
公務員になろうとする方で、どこの自治体に就職するか迷っている方は、とにもかくにも都会の自治体に就職することをオススメします。
また、給料面だけでなく、都会の方がコネやしがらみが少なく優秀な人材も多いので、働きやすさのうえでも都会の方がオススメです。
病休や欠勤、遅刻した場合はボーナスが減額される
地方公務員だからと言って、どんな場合でもボーナスが満額支給されるわけではありません。
休もうが遅刻しようが関係なく給料・ボーナスが満額支給されるのは議員だけです。
病気休暇を取得した場合、病気休暇期間については、ボーナスが支給されません。
例えば12月ボーナスの算定期間(6月から11月までの6ヶ月間)に3ヵ月間、病気休暇した場合、通常どおり勤務していれば2.225月分ボーナスが支給されますが、そのうちの半分を休んでいるため、半分の1.1125月分のボーナス支給になります。
同様に欠勤・遅刻した場合もボーナスの算定から減額されますが、大抵は年次有給休暇が余っており、その年次有給休暇を充てて、欠勤・遅刻していなかったことにして対応するため、実際にボーナスが減額されることは、まずありません。
公務員にボーナスが支給されるのはおかしい?
公務員は民間企業と異なり、業績を上げているわけではないため、公務員にボーナス支給をするのはおかしいのではないか?と言う意見をよく耳にします。
確かに民間企業で言うところのボーナス(賞与)と全く同じ意味合いで支給されているのであれば、公務員に売上や業績はないため、ボーナス(賞与)はおかしいと思います。
しかし、実際はボーナス(賞与)としてではなく、出費が増える時期に対応するための生活給として支給されるため、だいぶ意味合いは異なっています。
また、行政は生活に必要だけど、売上や利益が見込めないものを取り扱うのが仕事です。
例えば道路整備や上下水道の整備等は売上や利益が見込めず、すればするほど赤字になる事業ですが、整備しなければ、民間のサービスにも悪影響を及ぼします。
売上や利益が出るのであれば民間企業にお任せしたら良いですが、民間企業にできない仕事を行政は行っており、行政の仕事を民間企業の尺度で測ることは性質上、不可能なので、業績が上がらないことを根拠に公務員のボーナスはおかしいと言うのは、ちょっと難しいのかなと思います。
もしも税金の無駄遣いをなくそうと言う話であれば、税金を食い物にしている民間企業の方をどうにかする必要があるなと自治体の内側から見ていると強く感じます
将来的に公務員のボーナスは引き下げられる?
将来的に公務員のボーナスはどうなるのか?日本の経済状況が現状でも既に悪く、今後、さらに悪くなることが見込まれることから、恐らく引き下げられることになるだろうと私は見ています。
なぜなら、既に定期昇給も、ある一定の年齢に達するとストップするようになっており、私の自治体でも10年くらい前までは部長級になれば年収1千万円超えていましたが、今では部長級になっても年収800万円くらいにしかないからです。
ボーナスの支給月数自体は対して変わらなくても、年収は減少傾向にあることから、どのような形になるかはわかりませんが、間違いなく公務員のボーナスは引き下げられることになるため、これから公務員を目指そうと思う方は気をつけましょう。
まとめ
ボーナスの支給日はいつか?いくらもらえるのか?減額されることはあるのか?また、そもそもなぜ公務員にボーナスが支給されるのか?等について、ご説明させていただきました。
今のところ、公務員は安定していて、ボーナスもしっかり出ていることから、今でも人気の職業だと思いますが、これからは確実にボーナスの支給金額は下がります。
と言うよりも、すでに年収もボーナスも退職金も確実に下がって来ています。
若手の公務員の方、これから公務員になろうと考えている方は、公務員=将来安泰ではないため、それを踏まえて、転職することも視野に入れて日々の業務や公務員試験に取り組みましょう。