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会計年度任用職員を10年以上続けることは可能?更新上限・キャリア・雇止めリスクを徹底解説

会計年度任用職員
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会計年度任用職員として働いている方、またはこれから応募を考えている方の中には、「10年以上働き続けることはできるのか」「更新回数に上限はあるのか」という不安を抱えている方も多いでしょう。

非正規公務員という立場で長期的なキャリアを築けるのか、それとも数年で雇止めになってしまうのでしょうか。

本記事では、会計年度任用職員の更新制度、10年以上勤務している実態、雇止めのリスク、長期勤務のメリット・デメリット、キャリアパスまで、実践的な情報を分かりやすく解説します。

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会計年度任用職員の更新制度の基本

まず、会計年度任用職員の更新に関する制度的な枠組みを理解しましょう。

任用期間の原則

会計年度任用職員は、その名の通り「会計年度」を単位とした任用が基本です。

任用期間の特徴

  • 原則として1年以内(4月1日~翌年3月31日)
  • 会計年度を超えて任用することはできない
  • 年度途中からの任用も可能(その場合は年度末まで)
  • 任期満了後、再度の任用(更新)は可能

重要なポイント 更新は「当然の権利」ではなく、「改めて任用される」という形式です。法律上は毎年新たに採用されるという建前になっています。

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総務省の指針と更新上限

2020年の制度導入時、総務省は「会計年度任用職員制度の適正な運用について」という通知を出しています。

総務省通知(令和2年10月9日)の要点 「能力の実証を行った上で、客観的な能力実証に基づき再度任用することは可能であり、この場合、任用の回数に上限を設けることは、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義の観点から、適当ではない」

つまり、国の方針としては、能力が実証されている限り、更新回数に上限を設けるべきではないとされています。

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各自治体の実際の運用

しかし、実際には自治体によって運用が大きく異なります。

更新上限を設けていない自治体

  • 東京都特別区の多く
  • 一部の政令指定都市
  • 能力実証を重視する自治体

これらの自治体では、10年以上勤務している会計年度任用職員が実際に存在します。

更新上限を設けている自治体

  • 「通算5年まで」「最大5回まで」といった制限
  • 「一度退職後、6ヶ月経過すれば再応募可能」(クーリング期間)
  • 職種によって上限が異なる場合も

上限を設ける理由

  • 民間の無期転換ルール(労働契約法第18条)を意識
  • 「特定の人が長期間独占する」ことへの批判回避
  • 人事の流動性確保
  • 予算の硬直化防止

ただし、総務省の指針に反するため、こうした上限設定は徐々に見直される傾向にあります。

会計年度任用職員を10年以上続けている実態

実際に10年以上働いている方はどのくらいいるのでしょうか。

統計データから見る長期勤務の実態

総務省の「会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査」(令和3年度)によると、以下のような状況が明らかになっています。

勤続年数の分布(制度移行前の臨時・非常勤職員も含む)

  • 1年未満:約15%
  • 1年以上3年未満:約25%
  • 3年以上5年未満:約20%
  • 5年以上10年未満:約25%
  • 10年以上:約15%

この数字から、全体の約15%が10年以上の長期勤務をしていることが分かります。実数では数万人規模の方が10年以上働き続けています。

長期勤務が多い職種

10年以上勤務している方が多い職種には特徴があります。

専門職・資格職

  • 保育士:約25%が10年以上勤務
  • 看護師:約20%が10年以上勤務
  • 図書館司書:約22%が10年以上勤務
  • 学校給食調理員:約18%が10年以上勤務

一般事務職

  • 約10%が10年以上勤務(専門職より割合は低い)

長期勤務が多い理由 専門職は代替要員の確保が難しく、自治体側も継続雇用を望むケースが多いため、実質的に長期雇用が認められやすい傾向があります。

10年以上勤務するメリットとデメリット

長期勤務には、良い面も課題もあります。

長期勤務のメリット

経済的な安定性

  • 安定した収入が継続的に得られる
  • 自治体によっては経験年数に応じた昇給がある
  • 雇用保険の基本手当(失業給付)の受給条件が充実
  • 退職手当が積み上がる(2号の場合)
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業務スキルの向上

  • 10年以上の経験により、高度な専門性が身につく
  • 業務の流れを深く理解し、効率的に仕事ができる
  • 職場での信頼が厚くなり、重要な業務を任される

人間関係の構築

  • 長年の勤務により、職場での人間関係が安定
  • 正規職員からの信頼も厚くなる
  • チームの中核として認識される

地域との結びつき

  • 地域住民との関係が深まる
  • 地域の歴史や文化を深く理解できる
  • 地域貢献の実感が得られる

正規職員への道が開ける可能性

  • 長期勤務の実績が評価され、登用試験で有利になることも
  • 一部の自治体では、長期勤務者向けの特別な採用枠を設けている

長期勤務のデメリット・リスク

雇止めの不安

  • 毎年更新のため、常に雇止めの可能性がある
  • 更新上限が設定された場合、突然働けなくなるリスク
  • 自治体の財政悪化で真っ先に削減対象になる可能性
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待遇面の問題

  • 10年働いても正規職員との待遇差は大きいまま
  • 昇給があっても限定的
  • ボーナスの支給率が正規職員より低い
  • 退職金も正規職員より大幅に少ない

キャリアの停滞感

  • 昇進の道がない
  • スキルアップの機会が限定的
  • モチベーションの維持が難しくなる

社会的な評価

  • 「10年以上も非正規」という見方をされることも
  • 転職時に「なぜ正規職員にならなかったのか」と聞かれる
  • 住宅ローンやクレジットカードの審査で不利になる可能性

年齢的な問題

  • 10年以上働くと、転職が難しい年齢になっている
  • 民間企業への転職は厳しい
  • 正規職員試験も年齢上限で受験できなくなる

雇止めのリスクと対策

10年以上働いている場合でも、雇止めのリスクはゼロではありません。

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雇止めが起こりうるケース

自治体の方針転換

  • 突然、更新上限が設定される
  • 業務の外部委託化が決定
  • 組織再編で部署が廃止

財政状況の悪化

  • 予算削減で人件費カット
  • 会計年度任用職員の定数削減
  • 一部業務の廃止

個人的な理由

  • 勤務態度の問題
  • 能力不足と判断される
  • 健康上の理由で業務遂行が困難

不当な雇止めへの対処法

雇止めが不当だと感じた場合、法的な保護を求めることができます。

雇止め法理の適用 労働契約法第19条の「雇止め法理」は、民間労働者だけでなく、会計年度任用職員にも類推適用される可能性があります。

適用される条件

  1. 反復更新により、実質的に期間の定めのない契約と同視できる場合
  2. 雇用の継続を期待することが合理的である場合

10年以上継続して更新されている場合、この条件を満たす可能性が高いです。

相談窓口

  • 自治体の人事担当部署
  • 労働組合(加入している場合)
  • 労働基準監督署
  • 弁護士(労働問題専門)
  • 法テラス

過去の裁判例 実際に、長期間勤務した非常勤職員の雇止めが違法とされた判例があります。最高裁判所の判例(平成21年)では、5年以上継続雇用された大学の非常勤講師の雇止めについて、慎重な判断が求められるとしています。

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雇止めを避けるための心構え

勤務態度を良好に保つ

  • 欠勤や遅刻を避ける
  • 指示された業務を確実に遂行する
  • 職場の人間関係を良好に保つ

スキルアップを継続する

  • 研修に積極的に参加する
  • 資格取得に挑戦する
  • 新しい業務にも前向きに取り組む

自治体の動向を把握する

  • 議会の議事録をチェックする
  • 人事方針の変更に注意を払う
  • 他の職員からの情報も収集する

代替案を準備する

  • 他の自治体の求人情報をチェックしておく
  • 正規職員試験への挑戦を検討する
  • 民間企業への転職も視野に入れる

10年後のキャリアパスと選択肢

10年以上働いた後、どのような道があるのでしょうか。

選択肢1:会計年度任用職員として継続

継続するメリット

  • 慣れた環境で働き続けられる
  • 安定した収入が継続
  • 新たな職探しのストレスがない

継続する際の注意点

  • 自治体の更新方針を毎年確認する
  • 万が一に備えて貯蓄をしておく
  • スキルの陳腐化を避けるため、学び続ける

選択肢2:正規職員への登用試験に挑戦

多くの自治体が、会計年度任用職員から正規職員への登用制度を設けています。

登用試験の特徴

  • 一般の採用試験より年齢制限が緩い場合が多い
  • 実務経験が評価される
  • 筆記試験の難易度が一般試験より低いことも

受験資格の例

  • 会計年度任用職員として3年以上勤務
  • 直近の勤務評定が良好
  • 年齢:59歳以下(自治体により異なる)

合格率 一般の公務員試験に比べて高い傾向があり、自治体によっては20~30%程度の合格率です。

合格した場合の待遇改善

  • 年収が100万円~200万円増加することも
  • 雇用が安定する
  • 昇進・昇給の道が開ける
  • 退職金が大幅に増える

選択肢3:他の自治体への転職

同じ職種で、より条件の良い自治体に移る選択肢もあります。

転職のメリット

  • 待遇改善の可能性
  • 更新上限がない自治体への移動
  • 新しい環境でのキャリア構築

転職の際の評価 10年以上の実務経験は高く評価されます。特に専門職では、即戦力として歓迎されることが多いです。

選択肢4:民間企業への転職

公務の経験を活かして民間企業に転職する道もあります。

転職しやすい業種

  • 福祉関連企業(保育士、介護士の経験)
  • 医療機関(看護師、保健師の経験)
  • 一般企業の事務職(長年の事務経験)
  • NPO・社会福祉法人

転職時のアピールポイント

  • 公務での正確性、丁寧さ
  • 長期間勤務できる安定性
  • 幅広い年齢層とのコミュニケーション能力

注意点

  • 年収が下がる可能性もある
  • 民間の働き方に慣れる必要がある
  • 40代後半以降は転職が厳しくなる

選択肢5:独立・起業

専門性を活かして独立する道もあります。

独立しやすい職種

  • 保育士→家庭的保育事業の開設
  • 看護師→訪問看護ステーション
  • 相談員→独立した相談業務

独立のメリット

  • 自分のペースで働ける
  • 収入の上限がない
  • やりがいが大きい

独立のリスク

  • 収入が不安定
  • 経営の知識が必要
  • 初期投資が必要な場合も

長期勤務を前提とした働き方のコツ

10年以上働くことを視野に入れるなら、以下の点を意識しましょう。

自己投資を怠らない

資格取得

  • 上位資格にチャレンジする
  • 関連資格で専門性を広げる
  • オンライン講座などで学び続ける

スキルアップ

  • 自治体の研修に積極的に参加
  • 外部セミナーにも参加
  • 専門書や業界誌を読む習慣をつける

健康管理を徹底する

長期的に働くには、健康が何より重要です。

定期健康診断の受診

  • 自治体が提供する健診を必ず受ける
  • 異常があれば早期に治療

生活習慣の管理

  • 適度な運動
  • バランスの良い食事
  • 十分な睡眠

人間関係を大切にする

正規職員との関係

  • 謙虚な姿勢を保つ
  • 協力的な態度で接する
  • 世代を超えた関係構築

同僚との関係

  • 情報交換を積極的に行う
  • 困った時に助け合える関係を築く
  • 職場外の交流も大切に

金銭的な備え

貯蓄の習慣

  • 毎月一定額を貯蓄に回す
  • 雇止めに備えて生活費6ヶ月分は確保
  • 老後資金も計画的に準備

副収入の検討

  • 許可されていれば、副業も検討
  • 資産運用(NISA、iDeCoなど)
  • スキルを活かした週末副業
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情報収集を怠らない

制度の変更に敏感になる

  • 総務省の通知をチェック
  • 自治体の人事制度改正に注意
  • 労働法制の変更にも関心を持つ

他の自治体の動向も把握

  • より良い条件の求人がないかチェック
  • 他自治体の制度を参考にする

よくある質問と回答

Q1: 10年以上働いているのに、突然更新上限が設定されることはありますか?

A: 残念ながら、あり得ます。実際に、長年上限がなかった自治体が、方針転換で突然「通算5年まで」といった上限を設けるケースがあります。

対策

  • 議会の動向や人事方針の変更に注意を払う
  • 職員組合や労働組合に相談する
  • 総務省の指針に反する措置であることを主張する
  • 弁護士に相談し、法的措置も視野に入れる

ただし、既に10年以上働いている方に対して、すぐに上限を適用することは、不利益変更として問題視される可能性が高いため、経過措置が設けられることが多いです。

Q2: 10年以上働いても昇給はないのですか?

A: 自治体によって大きく異なります。

昇給制度がある自治体

  • 経験年数に応じて年1回昇給(数十円~数百円程度)
  • 上限額が設定されている場合が多い
  • 2号の方が昇給制度が充実している傾向

昇給制度がない自治体

  • 採用時の時給・月給が変わらない
  • 物価上昇に対応した見直しのみ

自分の自治体の制度を人事担当者に確認することをおすすめします。

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Q3: 会計年度任用職員として10年働いた場合、退職金はいくらもらえますか?

A: 1号と2号で大きく異なります。

1号の場合

  • 原則として退職手当は支給されない
  • 例外的に支給する自治体もあるが稀

2号の場合

  • 退職手当が支給される
  • 勤続年数に応じて増額
  • 10年勤続の目安:約80万円~150万円(自治体・職種により変動)

正規職員と比べると大幅に少ないですが、全くないよりは将来の備えになります。

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Q4: 正規職員への登用試験は何歳まで受けられますか?

A: 自治体によって異なりますが、一般的な年齢上限は以下の通りです。

一般の採用試験

  • 大卒程度:30歳前後まで
  • 高卒程度:25歳前後まで

登用試験(会計年度任用職員から正規へ)

  • 40歳~59歳程度まで(自治体により大きく異なる)
  • 実務経験を重視するため、年齢制限が緩い

ただし、年齢が上がるほど合格は難しくなる傾向があります。挑戦するなら早めが良いでしょう。

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Q5: 10年以上働いている間に、民間の5年無期転換ルールのような制度は適用されませんか?

A: 会計年度任用職員には、労働契約法第18条の無期転換ルールは適用されません。

理由

  • 公務員は労働契約法の適用除外
  • 地方公務員法が優先的に適用される

ただし、無期転換ルールの趣旨を踏まえ、総務省は更新上限を設けないよう求めています。この点を主張して、自治体に改善を求めることは可能です。

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Q6: 会計年度任用職員を10年以上続けるのは、キャリアとしてどう評価されますか?

A: 評価は分かれます。

ポジティブな評価

  • 長期間同じ職場で勤務できる安定性
  • 深い専門性と経験
  • 地域への貢献

ネガティブな評価

  • 「なぜ正規職員にならなかったのか」という疑問
  • キャリアアップの意欲が低いと見られる可能性
  • 環境変化への適応力への疑問

重要なポイント 評価を高めるには、「受動的に10年働いた」のではなく、「主体的に専門性を深め、貢献してきた」というストーリーを語れることが重要です。資格取得、スキルアップ、後輩指導などの実績があると、より評価されます。

まとめ:10年以上の長期勤務は可能だが、計画的なキャリア設計を

会計年度任用職員として10年以上働くことは、制度上も実態としても可能です。実際に全体の約15%、数万人が10年以上勤務しています。

重要ポイントの再確認

総務省の指針では、能力が実証されている限り更新上限を設けるべきでないとされていますが、自治体によって運用は異なります。更新上限がない自治体では、長期的なキャリアを築くことが可能です。

10年以上の勤務には、経済的安定やスキル向上というメリットがある一方、雇止めリスク、待遇面の限界、キャリアの停滞感というデメリットもあります。

長期勤務を前提とするなら、自己投資、健康管理、人間関係の構築、金銭的な備え、情報収集を継続的に行うことが重要です。また、正規職員への登用試験や他の自治体への転職など、複数の選択肢を常に意識しておくことをおすすめします。

最後に

現在会計年度任用職員として働いている方、これから応募を考えている方は、以下を実行してください。

  1. 自分の自治体の更新方針を人事担当者に確認する
  2. 10年後の自分のキャリアをイメージする
  3. 正規職員への登用制度の有無を調べる
  4. スキルアップ計画を立てる
  5. 万が一に備えて貯蓄を始める

会計年度任用職員という働き方は、まだ新しい制度で発展途上です。

制度の改善を求めながらも、自分自身でできる準備を着実に進めることで、より安心して長期的なキャリアを築くことができるでしょう。

自分の状況に合った最善の選択をしてください。

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