令和2年4月1日から全国の市町村で会計年度任用職員制度が始まりました。
会計年度任用職員制度により、市役所で働く非正規職員(パート・アルバイト)の給料や休暇等の各種制度がガラリと変わりました。
そして、その改正により、会計年度任用職員が退職する場合にも、条件を満たせば退職手当が支給されるようになりました。
そこで、このページでは、
・退職手当の計算方法
・退職手当を増額されるケース
・退職手当が減額されるケース
などについて、詳しくご説明します。
パートタイム会計年度任用職員には退職手当はない
会計年度任用職員は勤務時間が週38時間45分以上か未満かで
・フルタイム会計年度任用職員
・パートタイム会計年度任用職員
の2種類に分類されます。
そして、残念ながらパートタイム会計年度任用職員として採用されている場合は、何年勤務したとしても、退職手当は出ません。
つまり、ほとんどの会計年度任用職員はパートタイム会計年度任用職員として雇用されているため、大半の方は退職手当が出ないと言うことです。
退職手当が出るのはフルタイム会計年度任用職員だけ
フルタイム会計年度任用職員として採用されている場合は退職手当が支給されます。
そのため、どうせ働くなら、退職手当の出る、より待遇の良いフルタイム会計年度任用職員として働きたい!と思う方が多いのではないでしょうか?
しかし、残念ながらフルタイム会計年度任用職員になるには、保健師等の専門的な資格が必要であり、募集する担当課も予算の確保が難しいことから、かなりハードルが高いです。
また、それらの専門的な資格を持っているのであれば、普通にどこかの正社員として働いた方が給料が良いため、フルタイム会計年度任用職員として働いている人は、ほとんどおらず、かなり稀です。
退職手当の計算方法
退職手当の計算方法は
退職日給料月額✕退職事由別・勤続年数別支給率=退職手当額
で算出できます。
自治体によって退職手当の金額が変わる
退職手当の計算方法は全国どこの自治体も一緒ですが、数字が自治体によって異なります。
まず、退職日給料月額についてですが、田舎の自治体よりも都会の自治体の方が時給が高い分、基本給が高いですし、地域手当もつくことから、都会の自治体であればあるほど退職日給料月額が多い傾向にあります。
退職事由別・勤続年数別支給率については、各自治体が、それぞれ条例で定めているため、自治体によってバラバラです。
ただし、退職事由別・勤続年数別支給率がいくらになるか?は不明ですが、増えるケースと減るケースは共通のため、それぞれのケースについてご説明します。
退職手当は勤続年数に応じて増える
退職手当は勤続年数に応じて退職事由別・勤続年数別支給率が増えていきます。
例えば東村山市では
(1)3年以上4年以下の期間については、1年につき100分の41
(2)5年以上6年以下の期間については、1年につき100分の50
(3)7年以上9年以下の期間については、1年につき100分の63
(4)10年以上12年以下の期間については、1年につき100分の81
(5)13年以上15年以下の期間については、1年につき100分の99
(6)16年以上19年以下の期間については、1年につき100分の104
(7)20年以上の期間については、1年につき100分の108
となっているように、勤続年数が増えるごとに、退職事由別・勤続年数別支給率は増えるため、退職手当も増えます。
自己都合による退職の場合退職手当が減る
会計年度任用職員は基本的に4月1日~3月31日までが任用期間のため、任期満了となる3月31日で辞めれば退職手当を満額もらえますが、任期の途中で自己都合により退職した場合は退職手当が減額されます。
例えば相楽東部広域連合では
(1)勤続期間1年以上10年以下の者100分の60
(2)勤続期間11年以上15年以下の者100分の80
(3)勤続期間16年以上19年以下の者100分の90
となっているように、例えば任期途中の8月31日なんかに勝手に辞めると退職手当が減額されます。
なお、今回任期満了したら任期更新しないで辞めます!と退職の意思を早めに上司に伝えることは退職手当の減額には該当しません。
仮に自己都合であろうと、任期満了まで勤め上げれば問題ありませんし、むしろ次の採用準備が必要なため、退職の意思を早めに上司に伝えることは非常に良いことです。
公務上の傷病若しくは死亡による退職の場合は退職手当が増える
任期の途中での退職であっても、通勤中もしくは公務中の傷病若しくは死亡による退職の場合は退職手当が増額されます。
例えば相楽東部広域連合では
・通勤中の傷病若しくは死亡による退職の場合は
(1)1年以上10年以下の期間については、1年につき100分の125
(2)11年以上15年以下の期間については、1年につき100分の137.5
(3)16年以上24年以下の期間については、1年につき100分の200
・公務中の傷病若しくは死亡による退職の場合は
(1)1年以上10年以下の期間については、1年につき100分の150
(2)11年以上25年以下の期間については、1年につき100分の165
(3)26年以上34年以下の期間については、1年につき100分の180
(4)35年以上の期間については、1年につき100分の105
となっているように、通勤中もしくは公務中の傷病若しくは死亡による退職の場合は退職手当が増額されます。
まとめ
会計年度任用職員の退職手当についてご説明させていただきました。
最初に説明したとおり、ほとんどの会計年度任用職員はパートタイム会計年度任用職員として採用されているため、退職手当は支給されません。
そのため、あまり気にする必要はありません。
また、フルタイム会計年度任用職員が将来の退職手当の金額について調べたい場合は、自治体によって算定根拠となる支給率が異なるため、お勤め先の市役所の条例を確認しましょう。
傾向としては、より長く勤めた方が退職手当は増える傾向にあるので、そのまま勤めていて大丈夫ですが、辞めるときには、きちんと任期満了まで働かないと、退職手当が削られる場合もあるため、辞めるタイミングには気をつけましょう。
その他、会計年度任用職員のメリット・デメリットについては、下記のページを御覧ください。