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会計年度任用職員の雇止めの現状と対策|令和6年の制度改正・対処法・相談先まで徹底解説

会計年度任用職員
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「3年目で雇止めになるって本当?」「更新上限が撤廃されたと聞いたけど実際は?」会計年度任用職員として働く多くの方が、雇用の不安を抱えています。

本記事では、令和6年の制度改正から雇止めの実態、対処法、相談先まで、最新情報を交えて詳しく解説します。

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会計年度任用職員の雇止めとは

雇止めの基本

雇止めとは、有期雇用契約が期間満了により更新されず、雇用関係が終了することです。

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会計年度任用職員は原則1年ごとの任用のため、毎年3月末に雇止めのリスクがあります。

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会計年度任用職員の雇用の特徴

  • 任期は原則4月1日〜翌年3月31日の最長1年間
  • 翌年度も働くには「再度の任用」が必要
  • 法律上は「新たな職への任用」とみなされる
  • 民間の労働契約とは異なる公法上の任用関係

従来の更新上限ルール

令和2年の制度開始時から令和6年6月までは、多くの自治体で更新上限が設定されていました。

従来のルール

  • 公募によらない再度任用:原則2回まで(合計3年間)
  • 3年目以降は公募選考を受け直す必要
  • 自治体によっては3年、4年、5年の上限

任用を開始した年度を含む連続した3か年度が任用期間の上限となるケースが多く、3年間働くと雇止めに遭うことになっていました。

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令和6年6月の制度改正:更新上限の撤廃

人事院通知と総務省の対応

令和6年6月28日、人事院は国の非正規公務員(期間業務職員)について、公募試験をせずに再度の採用ができる回数を原則2回までとする「3年目公募」の制限を撤廃すると各省庁に通知しました。

これを受けて、総務省も同日、会計年度任用職員制度の事務処理マニュアルから国の取り扱いの例示を削除しました。

総務省の見解 「具体の取扱いについては、各地方公共団体において、平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ適切に対処されたい」

改正の背景

人事院が各省庁へのヒアリングの中で、再採用者の3年目に公募することで、能力や経験のある職員が公務職場から流出しているとの指摘を受けたため、見直すことにしました。

優秀な人材の確保と雇用の安定化が改正の目的です。

自治体の対応状況

自治労連の調査(2024年12月)によると、更新上限を「撤廃済み・撤廃予定」と回答した自治体は41.7%、「検討中・今後検討予定」が28.4%、「見直す予定なし」が22.5%でした。

撤廃した主な自治体

  • 東京都:練馬区、文京区、世田谷区、板橋区、八王子市、狛江市、調布市
  • その他:習志野市など

検討中の自治体の理由

  • 近隣自治体が廃止(45.6%)
  • 国が廃止方向(36.8%)

雇止めが起きる理由

1. 予算削減・定数の見直し

「2年前に予算減のため雇い止めになり、別部署を公募で受け直した」という職員の事例があります。

年度途中の6月に「来年度はあなたのポジションから減らすという方針が労働局から出ている」と実質、リストラを言い渡されるケースもあります。

自治体の財政状況により、ポストそのものがなくなる場合があります。

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2. 公募制度の継続

更新上限が撤廃されても、多くの自治体では公募制度自体は継続しています。

人事院の担当者は「公募を行うことが原則であることは変わらない。再採用は例外です」と回答しています。

公募により、現職員よりも高い評価を受けた応募者がいれば、雇止めとなる可能性があります。

3. 人事評価による選別

会計年度任用職員には人事評価制度が導入されており、評価が低いと更新されないリスクがあります。

評価の問題点

  • 評価基準が不透明
  • 雇止めの理由が明示されない
  • 正規職員が恣意的に評価する可能性

4. ハラスメント・人間関係

非正規公務員の当事者団体「非正規公務員voices」のアンケート結果では、非正規公務員として働く中で差別やハラスメントを経験した人は68.9%にのぼり、雇用の継続をちらつかせてハラスメントを行う「クビハラ」と呼ばれる行為も報告されています。

立場が弱いため、ハラスメントの標的になりやすく、それが雇止めにつながるケースもあります。

5. 労働組合活動や意見表明

「正職員に何か意見をしたことが、雇い止めの理由になる可能性もありえます」という当事者の声があります。

声を上げることで雇止めされるのではないかという恐怖が、多くの職員を沈黙させています。

雇止めされやすい職種

専門職でも雇止めの対象

継続性と専門性が求められる職種でも、雇止めが起きています。

雇止めが問題となっている主な職種

  • スクールカウンセラー
  • 保育士
  • 図書館司書・学校司書
  • 女性相談員・DV相談員
  • ハローワーク相談員
  • 保健師・看護師
  • 消費生活相談員

東京都では令和6年3月にスクールカウンセラーの大量雇い止めが大問題になりました。

「スクールカウンセラーやDV被害の相談に応じる女性相談員など、命を守る職に就いている方もいます。そういう大切な職種に就いている人、誰かの支援をしている人たちが、いつクビにされるか分からない環境で責任の重い仕事をこなしている。これは住民にとっても大きな不利益になると思います」という当事者の訴えがあります。

民間との違い:5年ルールが適用されない

無期転換ルールとは

民間企業では、労働契約法に基づき、有期雇用労働者が5年以上働けば、労働者からの申し出により無期労働契約に切り替えられる「無期転換ルール」があります。

会計年度任用職員には適用されない

会計年度任用職員は地方公務員であるため、労働契約法が適用されず、無期転換ルールも適用されません。このため、雇用が5年以上になっても正規職員に転換されることはありません。

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民間との比較

項目 民間企業 会計年度任用職員
適用法律 労働契約法 地方公務員法
5年ルール 適用あり 適用なし
無期転換 可能 不可能
雇止め規制 労働契約法19条 規制なし

雇止めの予兆と通告

雇止めの予兆

以下のような状況は、雇止めの予兆である可能性があります。

注意すべきサイン

  • 人事評価が急に厳しくなる
  • 業務から外される・仕事を減らされる
  • 上司からの風当たりが強くなる
  • 年度途中で「来年度は厳しい」と言われる
  • 定数削減の話が出る

通告のタイミング

多くの自治体では、以下のスケジュールで雇止めが決定されます。

一般的なスケジュール

  • 12月頃:翌年度予算と定数が決定
  • 1〜2月:翌年度の募集要項が公開
  • 2〜3月:再任用の可否が通知される
  • 3月31日:任期満了

自治体によっては、3月に入ってから突然通告されるケースもあります。

雇止めを回避するために

人事評価で高評価を得る

人事評価は再度任用の重要な判断材料です。

評価を上げるポイント

  • 与えられた業務を確実にこなす
  • 期限を守る
  • 報告・連絡・相談を密に行う
  • 協調性を示す
  • スキルアップの努力を見せる

ただし、当事者団体による調査では「人事評価の上でも問題はなかった(どころか高い評価が得られていた)」にもかかわらず雇い止めにあったという声もあります。

労働組合に加入する

労働組合は雇止めを防ぐ強力な味方になります。

労働組合のメリット

  • 団体交渉で雇用継続を求められる
  • 不当な雇止めに対して抗議できる
  • 法的サポートを受けられる
  • 同じ立場の仲間と情報共有できる

正規職員への転換を目指す

会計年度任用職員から正規職員になるには、競争試験を受験し合格する必要があります。

正規職員試験

  • 学卒者向けの採用試験
  • 民間経験者向けの採用試験
  • 社会人枠の採用試験

年齢制限や受験要件があるため、早めの挑戦が推奨されます。

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雇止めされた場合の対処法

1. 理由を確認する

雇止めの通知を受けたら、まず理由を明確に確認しましょう。

確認すべき事項

  • 具体的な雇止めの理由
  • 人事評価の内容
  • 改善の余地はあるか
  • 他の部署での再任用の可能性

書面での回答を求めることも重要です。

2. 不当性を検討する

以下のケースは不当な雇止めの可能性があります。

不当な雇止めの例

  • 理由が不明確・説明がない
  • 人事評価が適切でない
  • 懲戒処分などの正当な理由がない
  • ハラスメントが原因
  • 労働組合活動が理由

3. 労働組合・弁護士に相談する

不当な雇止めだと判断した場合は、専門家に相談しましょう。

相談先

  • 自治労連(全日本自治団体労働組合)
  • 各都道府県の労働組合
  • 日本労働弁護団
  • 法テラス
  • 非正規公務員voices

千葉県柏市では、労働組合の働きかけにより「全員解雇・一斉公募は見送る」という大きな前進がありました。

4. 失業保険の手続き

雇止めにより失業した場合、雇用保険の失業給付を受けられます。

手続きの流れ

  1. 離職票を受け取る
  2. ハローワークで求職申込
  3. 雇用保険受給資格決定
  4. 失業認定を受ける
  5. 失業給付を受給

会計年度任用職員は6ヶ月未満は雇用保険加入、6ヶ月以上は退職手当制度の対象です。

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相談先一覧

労働組合

全日本自治団体労働組合(自治労連)

  • 公務員・会計年度任用職員の労働条件改善に取り組む
  • 各都道府県に支部あり
  • 無料相談対応

非正規公務員voices

  • 非正規公務員の当事者団体
  • オンライン相談・情報交換
  • 署名活動や政策提言

法律相談

日本労働弁護団

  • 労働問題専門の弁護士団体
  • 無料相談会を定期開催
  • ホットライン実施

法テラス

  • 国が設立した法律相談窓口
  • 経済的に余裕がない方向け
  • 無料法律相談

行政機関

労働局・労働基準監督署

  • 労働条件に関する相談
  • ただし、公務員は労働基準法の一部適用除外

総務省

  • 会計年度任用職員制度の所管
  • 制度に関する問い合わせ

その他

ハローワーク

  • 失業保険の手続き
  • 再就職支援

社会保険労務士

  • 雇用保険・年金の相談
  • 給与計算の確認

今後の制度改善に向けて

当事者の声を上げる

一人ひとりの声が、制度改善につながります。

声を上げる方法

  • 議員への陳情・請願
  • パブリックコメントへの意見提出
  • 署名活動への参加
  • SNSでの発信
  • メディアへの情報提供

求められる制度改善

多くの当事者や研究者が以下の改善を求めています。

改善が必要な点

  1. 雇用の安定化
    • 更新上限の完全撤廃
    • 恣意的な雇止めの防止
    • 民間並みの雇止め規制
  2. 待遇の改善
    • 経験年数に応じた昇給
    • 常勤職員との格差解消
    • 扶養手当・住居手当の支給
  3. 正規化の推進
    • 常時必要な業務は正規職員化
    • 無期転換制度の導入
    • 正規職員への転換試験
  4. 透明性の確保
    • 人事評価基準の明確化
    • 雇止め理由の説明義務
    • 公募選考の客観性

よくある質問

Q1. 更新上限が撤廃されたのに、まだ3年で雇止めと言われました。

A1. 自治体の対応はまちまちで、22.5%の自治体は「見直す予定なし」と回答しています。自治体に制度改正の趣旨を説明し、労働組合や議員に相談することをおすすめします。

Q2. 雇止めの理由を教えてもらえません。

A2. 雇い止めにあったものの、なぜ雇い止めにあったのか分からない、理由が示されないという声が多く寄せられています。書面での理由開示を求め、納得できない場合は労働組合や弁護士に相談しましょう。

Q3. 人事評価が低いと雇止めされますか?

A3. 人事評価は再度任用の判断材料の一つですが、評価が低いだけで自動的に雇止めとなるわけではありません。評価基準や理由の説明を求める権利があります。

Q4. 公募で落ちたら雇止めですか?

A4. 公募制度が継続している自治体では、公募選考で不合格となれば雇止めとなります。ただし、選考の透明性や客観性を求める声が上がっており、「公募で落とされた理由が他の人から見ても妥当なものか、誰から見てもわかるようにしていただきたい」という要望が出されています。

Q5. 雇止めされたら失業保険はもらえますか?

A5. はい、雇用保険に加入していた場合(任用期間6ヶ月未満)は失業給付を受けられます。6ヶ月以上の場合は退職手当が支給されます。

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Q6. 正規職員になる方法はありますか?

A6. 正規職員になるには、一般の採用試験を受験し合格する必要があります。会計年度任用職員としての経験が考慮される社会人枠や民間経験者枠を活用するのも一つの方法です。

Q7. 妊娠・出産を理由に雇止めされることはありますか?

A7. 「非正規雇用のため女性が安心して妊娠・出産・子育てを選べない事例も発生し、相談が寄せられています」という報告があります。妊娠・出産を理由とする不利益取り扱いは法律で禁止されており、明らかな違法行為です。すぐに労働組合や弁護士に相談してください。

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まとめ:雇止めの不安と向き合う

制度改正は一歩前進だが課題は残る

令和6年6月の更新上限撤廃は、雇用安定化への重要な一歩です。

しかし、公募制度の継続、評価基準の不透明性、5年ルールの不適用など、根本的な課題は残っています。

現状の整理

  1. 更新上限は撤廃の方向
    • 国が方針転換
    • 自治体の4割以上が撤廃済み・予定
    • ただし約2割は見直す予定なし
  2. 雇止めのリスクは依然として存在
    • 公募制度は継続
    • 予算削減による雇止め
    • 恣意的な評価による雇止め
    • ハラスメントとの関連
  3. 民間との格差
    • 5年ルールが適用されない
    • 労働三権が制限されている
    • 雇止め規制がない

一人で抱え込まない

「非正規は声を上げられない状況にあります。雇い止めの不安や、さまざまな思いを抱えながら正職員の中で仕事をしています」という当事者の声があります。

大切なこと

  • 不安を一人で抱え込まない
  • 労働組合や専門家に相談する
  • 同じ立場の仲間とつながる
  • 声を上げることを恐れない

制度改善は続く

制度はまだ改善の途上です。当事者の声が、さらなる改善につながります。

もし雇止めの不安を感じたら、一人で悩まず、まずは労働組合や専門家に相談してください。あなたの権利を守るための支援者は必ずいます。

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