令和2年から全国の自治体に導入された会計年度任用職員制度。
これにより、従来の「臨時職員」「嘱託職員」などは廃止され、新しい給与体系が整備されました。
しかし、実際に働いている人・これから応募を考えている人の多くが口にするのが、
- 会計年度任用職員の給料表ってどうなっているの?
- 自治体によってどれぐらい差があるの?
- 昇給があるのか知りたい
- 正規職員と比べるとどれくらい違うの?
といった疑問です。
そこで本記事では、会計年度任用職員の給料表の仕組み、給与決定の流れ、昇給やボーナスの扱いなどを専門的かつ分かりやすく解説します。
この記事を読めば、自分が働く自治体の給料表の見方が完全に理解できるようになります。
■ 会計年度任用職員の給料表は自治体ごとに異なる

まず大前提として、会計年度任用職員に全国共通の「給料表」は存在しません。
正規職員には国家公務員給与を基準にした統一的な給料表がありますが、会計年度任用職員は自治体が独自に定めています。
その理由は、
- 民間並みの給与に合わせる自治体
- 正規職員の給与表を簡略化して流用する自治体
- 業務内容ごとに細かく時給を設定する自治体
など、自治体の財政や考え方によって事情が大きく異なるためです。
とはいえ「共通の構造」は存在します。
給与表には多くのパターンがありますが、ほぼ共通して以下の3タイプです。
■ 1.時給制(パートタイム)

会計年度任用職員の大多数を占めるのが「パートタイム会計年度任用職員」。

この場合は時給で給料が決定します。
◆時給の相場
- 地方都市:950円〜1,200円前後
- 中規模自治体:1,050円〜1,300円
- 政令市・東京周辺:1,150円〜1,600円
◆時給が決まる仕組み
自治体は職務内容ごとに「級」を設定しており、
- 一般事務
- 福祉事務
- 相談員
- 技術補助
- 保育士
- 支援員
など、難易度が高い職務ほど時給が高くなります。
例:パートタイム会計年度任用職員の給料表(例)
| 職務の区分 | 時給 |
|---|---|
| 一般事務(初級) | 1,060円 |
| 一般事務(中級) | 1,120円 |
| 福祉事務 | 1,180円 |
| 保育士 | 1,230円 |
◆パートは原則として昇給なし
制度上は自治体が昇給を設けることもできますが、
- 実際に昇給している自治体は少ない
- 昇給しても「1号給だけ」「年間20〜30円だけ」のケースが多い
そのため、パートは基本的に 入職から退職まで給与がほぼ一定 という自治体が多数です。
■ 2.月給制(フルタイム)

一部の会計年度任用職員は「フルタイム」任用になり、月給制で給料が支払われます。

◆月給制の給料表の例
| 号給 | 月額 |
|---|---|
| 1号給 | 145,000円 |
| 2号給 | 150,000円 |
| 3号給 | 155,000円 |
| 4号給 | 160,000円 |
このように、正規職員の給料表を簡略化した「号給制」を使用する自治体が多いです。
◆フルタイムには昇給制度がある
法律上、フルタイム会計年度任用職員には昇給制度が設けられています。
- 毎年1号給ずつ上がる
- 人事評価により昇給する
- 上限号給が決まっている
など自治体ごとに違いはありますが、基本的に毎年わずかに昇給する仕組みです。
◆ただし、昇給幅は非常に小さい
多くの自治体では、
- 年に1号給のみ(2,000円〜4,000円程度)
- 上限3〜5号給で打ち止め
という小規模の昇給に留まります。
■ 3.専門職の特別給料表(保育士・看護師など)
保育士・保健師・相談支援員などの場合、自治体によっては、
- 専用の給料表
- 資格手当
- 職務手当
- 役割給
を追加した特別な給与体系を採用しています。
◆保育士会計年度任用職員の給料例
時給:1,200円〜1,500円
資格手当:月8,000円
処遇改善手当:月5,000〜20,000円
特に保育士は国の処遇改善制度が反映されるため、一般事務職より高く設定される傾向があります。
■ 会計年度任用職員の給料表と「年収」の関係

会計年度任用職員の年収は、以下の3要素で決まります。
① 基本給(時給または月給)
② ボーナス(期末手当)
③ 各種手当(通勤手当・地域手当・期末勤勉手当)
順に解説します。
■ ボーナス(期末手当)が支給されるのが最大の特徴

制度導入前の臨時職員・嘱託職員にはボーナスがありませんでしたが、現在の会計年度任用職員には、年間2回の期末手当(いわゆるボーナス)が支給されるという大きな特徴があります。

◆ボーナスの支給額の例
ボーナスの支給額の例として
- 6月:給与の1.25ヶ月分
- 12月:給与の1.25ヶ月分
支給されます。
ただし自治体ごとに、
- 6月0.8ヶ月+12月0.8ヶ月
- 年間1.7ヶ月
- 年間2.0ヶ月
など支給月数には大きな差があります。
◆パートタイムでもボーナスは支給される
ただし支給月数はさらに低く、
- 年間0.5ヶ月〜1.0ヶ月
- 極端に少ない自治体では0.2ヶ月程度
というケースもあります。
■ 手当の有無で給料が大きく変わる

自治体によっては、以下の手当が支給されます。
| 手当の種類 | 内容 |
|---|---|
| 通勤手当 | 実費または上限あり |
| 地域手当 | 都市部は給料の3〜15%加算 |
| 時間外手当 | 正規職員と同率、ただし残業は少なめ |
| 保育士手当 | 月数千円〜1万円 |
| 処遇改善手当 | 国の加算制度に準じて支給 |
特に地域手当は大きく、東京23区では給料に最大20%の上乗せがあるため、同じ号給でも地方と都心では大きな差が生まれます。
■ 会計年度任用職員の給料は正規職員よりどれくらい低い?

読者が最も気になる部分かもしれません。
多くの自治体で、同じ仕事でも正規職員の給与の半分以下という現実があります。
▼例:福祉事務(生活保護ケースワーカー)
- 正規職員:月22〜26万円+手当
- 会計年度任用職員(フルタイム):月14〜17万円
- 会計年度任用職員(パート):時給1,150〜1,300円
責任はほぼ同じでも、給与は圧倒的に低いのが現状です。
■ 給料表は改善されるのか?今後の見通し

現状、多くの自治体では、
- 会計年度任用職員の処遇を改善する方針
- 同一労働同一賃金の考え方を取り入れ始めている
- 期末手当の増額を検討している自治体もある
など、少しずつ改善が進んでいます。
ただし、
- 財政が厳しい自治体では改善が進まない
- 昇給の上限が低く、長く働いても給料が増えない
- 正規職員との格差は依然として大きい
という課題が残っており、「待遇が低い」という声は根強いままです。

■ まとめ:会計年度任用職員の給料表は複雑だが、仕組みを理解すれば働き方の判断ができる

この記事で紹介したように、会計年度任用職員の給料は自治体ごとに大きく異なり、「給料表をどう読むか」で年収や働き方の見通しが大きく変わります。
本記事の要点まとめ
- 給料表は自治体ごとに完全に異なる
- パートは時給制、フルタイムは月給制(号給制)
- フルタイムのみ昇給が制度化
- パートの昇給は自治体によってはゼロ
- ボーナスは全任用形態で支給(自治体差あり)
- 正規職員との給与格差は大きい
- 手当(地域手当・資格手当)が収入を大きく左右する
会計年度任用職員は働き方によっては魅力的な制度である一方、
「給料が想像より低かった」
「昇給がないとは知らなかった」
と後悔する人も少なくありません。
応募する前に、必ず勤務先自治体の給料表を確認し、自分の生活に合った働き方かどうかを見極めることが非常に重要です。

