百条委員会とは?設置方法から権限までわかりやすく解説します

公務員

ニュース等でごくたまに
「○○議会で百条委員会が設置されました!」
と報道されることがあります。

一般の方はもちろん、議員や議会局・議会事務局に
配属されている職員であっても、
そうそう百条委員会が設置されることはないため、
どういうものなのか?よくわからないと思います。

そこで、このページでは、百条委員会の設置方法から
権限までわかりやすく解説します。

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百条委員会とは


百条委員会は、地方自治法第100条調査権にもとづき地方議会が設置できる、
通常の委員会よりも強い権限がある委員会です。

地方自治法 第100条
普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行うことができる。この場合において、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。

大抵の事件の調査は、常任委員会の権限である所管事務調査で事足ります。

しかし、その事件が所管事務調査では調査しきれない場合や
2つ以上の常任委員会にまたがるような場合、
地方自治法第98条検査権に基づいた特別委員会を設置します。

そして、所管事務調査でも98条にもとづく検査権でも
調査しきれない場合に初めて百条委員会が設置されます。

このように、ある程度段階を踏んだうえで、
それでも、調査しきれない場合に発動するのが
本来の百条委員会です。

内容的にも、手順的にも、かなり重たい、
重大な決断のうえに設置される委員会です。

とは言っても、設置方法については、後述しますが、
過半数で設置できるため、議会によっては、百条委員会の内容もよくわからない
議員が威厳を保つためだけに軽々しく設置することが多々あります。

百条調査権には強制力がある


百条委員会には強制力、つまり罰則規定があります。

地方自治法 第100条
③ 第一項後段の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
⑦ 第二項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは、これを三箇月以上五年以下の禁錮に処する。

上記は要約すると
・証言拒否、不出頭、記録の不提出に対しては6カ月以下の禁固又は10万円以下の罰金
・虚偽の陳述をしたときは、これを3ヶ月以上5年以下の禁錮

と言うことになります。

ただ、この百条の罰則規定の中にも穴があります。

それは、宣誓拒否については、罰則規定がないことです。
宣誓をしなければ、虚偽の陳述をしたとしても、罰則の対象にはなりません。

証言拒否の罰則規定を準用して宣誓拒否を告発する方法もあるようですが、
明文化されていない以上、本人が
「証言はするけど宣誓はしたくない。」
と言われると、証言拒否とは言えないため、告発できるかどうかの
判断は難しくなります。

なお、このように証言はするけど宣誓しない場合は、
証人喚問から参考人招致に切り替えて
運用しているところもあるようです。

百条委員会の設置方法


百条委員会の設置方法は、
・議長発議
・議員提案
・委員会提案

の3通りです。

大抵は議員提案で議会に議案が上程されます。

議員提案するためには、
・委員会名
・定数
・調査期限
・調査事項
・調査にかかる経費(必要であれば)

上記5つの事項を具備する必要があります。

ちなみに特別委員会として設置するパターンが多いですが、
常任委員会に100条調査権を付与する形で百条委員会を設置することも可能です。

そして、本会議において採決され、過半数の賛成があれば
百条委員会が設置されます。

もちろん、提案した議員は賛成者を募ったり、
根回しなども必要だと思いますが、形式的な手続きは、
98条検査権に基づく特別委員会とほぼ同じ手続き、条件で
比較的簡単に百条委員会を設置することができます。

注意点としては、百条委員会にかかる経費は全て
設置の段階で予算の上限を決めておかなければいけない点です。

次の定例会で補正予算を組んで予算化しますが、
この予算は、他の予算と違って使用用途が非常にわかりやすいことから、
委員会終了後に住民監査請求の標的にされやすいため、取り扱いに注意が必要です。

もちろん、監査請求の相手方は市長・財政当局・議会局になりますが、
監査請求を通して、百条委員会のあり方について攻撃することも可能のため、
設置から運営に関しては、かなり細心の注意が必要です。

大きな力には大きな責任が伴います。

調査対象は当該地方公共団体の事務に関係するもの


100条調査権で調査できる内容は、

・現に議題となっている事項若しくは将来議題に上るべき基礎事項に関すること(議案調査)
・世論の焦点となっている政治疑惑や汚職事件等に関すること(政治調査)
・その他一般的に地方公共団体の重要な事務の執行状況を審査すること(事務調査)

上記3種のいずれかになります。

そして、調査対象は当該地方公共団体の事務に関連のあるものであれば、
関連する部分に関しては他団体も調査することができます。

所管事務調査や98条検査権では、当該地方公共団体の事務のみですが、
100条調査権であれば他団体にも調査権が及ぶ点が大きな違いです。

例えば、法人に対して補助金を出している場合、その補助金の用途が
補助金の目的に合致した使われ方をしているのかどうかについては、
調査することができます。

100条調査権でもできないこと


百条委員会を設置すれば、何でも調査できると勘違いしている議員が多いですが、
当然、そんなことはありません。

100条調査権にも調査権の限界があります。

調査範囲を超えること


百条委員会を設置する時に、調査対象を特定するため、
その範囲を超えて調査することはできません。

ん?そんなの当たり前では?

と思うかもしれませんが、議員にとっては、
これは当たり前ではありません。

常任委員会の審査においても、審査に関係のない
質疑をしますし、権限のない資料請求だってします。

これらは、そこまで厳格ではないため、
結果的に上手くいくのであれば、
そういうのもありだと思います。

しかし、より厳格な百条委員会では、
そうはいきません。

調査をするうえで、新事実が判明しても、
勝手に追加調査をすることはできず、
追加調査するためには再度議決をとる必要があります。

それほど、百条委員会と言うのは、強制力があるため、
厳格に審査・調査を行う必要があります。

執行機関に専属すること


執行機関の執行権の範囲に属する事項を調査することはできません。

例えば
・特別昇給した職員の氏名や、その理由
・契約の入札の具体的内容
・職員の採用方法

などについては、調査対象外となります。

個人情報に関すること

個人の秘密を害することとなる事項に関する事務等については、
検査・調査をすることができません。

例えば
・個人の政治信条、思想、信仰、通信の秘密等
・個人の私的な言動

などは基本的人権として保障されていたり、当該団体の事務と直接関係ないので、
調査することができません。

しかし、何でも個人情報を理由に情報を取得できなければ、
事件を調査することができないため、公益と比べて、
必要であれば必要最低限の個人情報なら取得することができます。

国や他自治体の事務に関すること


当該地方公共団体の区域内で問題となっている事柄であっても、
当該地方公共団体の事務に属さない国や県等の事務に関する事項は、
調査権の対象とはなりません。

証人喚問で、国・県の役職に就いている人を呼ぶことは可能です。

しかし、事件の経緯等については尋問することはできますが、
その後の措置等については調査できません。

国や県の措置等に関して要望があるのであれば、
地方議会には地方自治法第99条により国会又は関係行政庁に意見書の提出権があるので、
意見書を提出するしかありません。

実地検査・実地調査


100条調査権には、監査委員の行うような検査事務は含まれていないため、
実地検査をすることはできません。

もしも、実地検査が必要な場合は地方自治法第98条の検査権に基づき
監査委員に監査請求をする必要があります。

どちらにせよ、委員会の委員が直接実地検査をする
権限はありません。

また、実地調査については、認められていますが、
先に関係者から要望等を聴くことにより、
予断と偏見を持ち込むことになりかねないので、
資料収集や現地確認程度にとどめるべきと言われています。

百条委員会の最後

百条委員会の最後は、

・調査の結果、明らかとなった事実を述べ、その問題点を挙げて、
その解決策としては、○○すべきである、とする判定意見を付ける方法
・執行部に対する事務処理の改善、是正措置を求める要請、勧告等の決議を議会に提言する方法
・単なる事実の収集、資料のまとめを報告する方法
・委員会報告書については採決せず、調査終了だけを議決する方法

の上記4通りのいずれかになります。

要するに、百条委員会がどれだけ強制力を持った委員会でも最後は、
「執行部の○○が悪いから直してね。」
としか言えないわけです。

このように、調査の範囲は他団体にも及びますし、
国・県等の他自治体の役職に就いている人も証人喚問することもできますが、
最終的には、当該自治体の執行部に対してしか、提言することができません。

ただし、百条委員会の調査の結果、意見書を提出すると言う形であれば、
国会又は関係行政庁に対して、議会の意思を伝えることはできます。

まあ、意見書を提出したからと言って、
それを国会又は関係行政庁がどう受けとり、どう対応するかは、
また別の話ですが…。

調査結果に法的拘束力はない

調査の結果がどのように決まっても、それは、議会としての機関意思の決定でしかありません。
つまり、執行部に対する法的拘束力は一切ありません。

ただし、執行機関は、是正又は今後の改善を要請するような内容のものであれば、
政治的・道義的には、これを尊重して真剣に対処する責任があります。

つまり、執行部は是正に向けて取り組む必要はありますが、
その結果までは、責任を追う必要はないわけです。

まとめ

百条委員会について、ご理解いただけたでしょうか?

政治的に言えば、設置することが最大の目的とも言える
委員会のため、その運営方法や結末まで深く考えられずに
設置されがちです。

しかし、強制力が強い分、逆に
人権侵害、職権濫用、名誉毀損等で訴えられたりする可能性もあるため、
百条委員会を設置する場合は、設置する議員もそれ相応の
覚悟が必要です。

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