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ラスパイレス指数とは地方にお金を分配しないための数字

公務員
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民間企業の方はあまり聞いたことがないと思いますが、
公務員の方には同じみのラスパイレス指数。

このラスパイレス指数を根拠に地方公務員の給与額が
下げられてしまうんですが、実はラスパイレス指数には、
様々な問題点があり、それを根拠に地方公務員の給与額を
下げることが本当に適切なのか?かなり疑問が残ります。

そこで、このページでは、

・ラスパイレス指数とは?
・ラスパイレス指数の問題点
・問題があるのに、なぜラスパイレス指数を使うのか?

について、できるだけ簡単にわかりやすく解説したいと思います。

地方公務員の方、地方公務員になりたい方は必読です。

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ラスパイレス指数とは


このラスパイレス指数と言うのは、
国家公務員の給与を100とした場合の
地方公務員の給料水準を指数で示したものです。

このラスパイレス指数が100を超えるほど、
国家公務員の給料水準より給料水準が高く、
逆に100を下回ると国家公務員の給料水準より給料水準が低い
ということになります。

例えば
A市がラスパイレス指数102
B市がラスパイレス指数97
とすると、国家公務員の給料水準と比べて
A市は2ポイント高く、B市は3ポイント低いということになります。

国家公務員の給与と比較ができない


上記の説明だけを見ると、非常にわかりやすい数字のように
錯覚してしまいそうですが、残念ながら比較に使えません。

国家公務員だけ幹部職員の給与が含まれていない

地方公務員は1年目の平職員から部長級までを含めているのに対し、
国家公務員は1年目の平職員から本省課長級までしか含まれていません。

そうです。

事務次官や局長、審議官などの本省次長以上の幹部職員は
ラスパイレス指数を算出する時に除外されているんです。

その理由としては、本省課長級までは「行政職俸給表(一)」と言う俸給表を使っているのに対し、
本省次長以上の幹部職員は「指定職俸給表」と言うより高い給与水準の俸給表を使っているから
除外されています。

片や全職員が対象なのに対し、片や水準を上げる人を除外して
数字を誤魔化しているのに、それを比較対象とすることが、
果たして正しい比較といえるんでしょうか?

早期勧奨退職して天下りした人が含まれていない

国は、本省課長級の人が多くなると、給与水準が上がってしまうため、
それらの幹部職員を早期勧奨退職させて
各府省のあっせんによる民間企業や特殊法人などへ再就職
(いわゆる天下り)させています。

2010年度から天下り規制が本格化しましたが、
天下りが減った分、現役出向と言う形で民間企業や特殊法人などの
常勤役員になる人が増加したため、結局何も変わっていません。

給与の高くなった人を外部組織に出して
給与水準を下げて比較することが
果たして正しい比較といえるんでしょうか?

各種手当が含まれていない

ラスパイレス指数には各種手当が含まれていません。

扶養手当、住居手当、通勤手当などは
国家公務員にも地方公務員にもあるんですが、
国家公務員には、国家公務員だけの特別な手当があります。

それは地域手当広域異動手当です。

地域手当は都市圏の自治体にもあるんですが、
国家公務員の場合、地域手当が少ない地域や
そもそも地域手当がない地域に異動したとしても、
以前勤務していた職場の高い地域手当が2年間支給されます。

広域異動手当とは60km以上異動した場合に
異動距離に応じて3年間支給される手当です。
地域手当と調整されるとは言え、広域異動手当は
国家公務員にしかない手当です。

ラスパイレス指数に反映されない各種手当を
手厚くして給与が少ないようにして比較することが
果たして正しい比較といえるんでしょうか?

地方公務員同士でも比較ができない


国家公務員と地方公務員が比較ができないとしても、
ラスパイレス指数として出された地方公務員の給与同士は
比較できるのでは?と思うかもしれませんが、残念ながら
地方公務員の給与比較にも使えません。

地域手当が隠されている

地域手当補正後のラスパイレス指数が公表されていますが、
地域手当補正前のラスパイレス指数
✕(1+当該団体の地域手当支給率)
÷(1+国の指定基準に基づく地域手当支給率)

で算出されます。

これが非常に問題です。
何が問題かと言いますと、

例えば国の給与水準が月額20万円の場合
A市:ラスパイレス指数100、地域手当支給率20%
B市:ラスパイレス指数100、地域手当支給率なし

だとすると、実質の給料は

A市:24万円
B市:20万円

と4万円も差があるのにも関わらず、実質の給料は
月額4万円、年間48万円も差があるにも関わらず、
ラスパイレス指数だけを見ると、A市もB市も同じになってしまいます。

ボーナスである期末・勤続手当も含めると、更に差が出ます。

地方公務員のボーナス支給日はいつ?何ヶ月分支給される?
公務員には期末・勤勉手当と言う民間企業におけるボーナス(賞与)が支給されます。 では、ボーナスの支給日はいつか?いくらもらえるのか?減額されることはあるのか?また、そもそもなぜ公務員にボーナスが支給されるのか?等、気になるところだと思います...

そのため、地方公務員同士の給料を比較するときでも
ラスパイレス指数は使えません。

バッシングを地方公務員に向けるための指数

・国家公務員と地方公務員の比較
・地方公務員同士の比較

どちらでも使えないのであれば、
ラスパイレス指数は一体何のための数字なのか?

答えは簡単です。

公務員バッシングの矛先を地方公務員に向けるためです。

世論が地方公務員の給与を下げるように動けば、
国家公務員は自分たちの給料を確保しつつ、
地方公務員の給料を下げることを理由に地方交付税を下げることができます。

地方交付税を減らせれば、国の予算が増え、好きな事業を行うこともできます。

民間企業の方は、
「少なくとも地方公務員の給料が減るから良いのでは?」
と思うかもしれませんが、地方公務員の給料が減るほど、
地方で使われるお金も減るため、結果として、地方の経済が停滞します。

その結果、地方の企業の経営状況も悪くなり、結果、地方の会社員の
給料減にも繋がる可能性もあります。

地方自治体の給与を知りたいなら各自治体のHPをチェック


地方公務員を目指している方は、
これからの生活に関わってくるため、
希望する自治体の実際の給料について知っておくべきです。

同じ地方公務員であっても、年収は約170万円も違います。
生涯年収だと6,700万円も違います。

【公務員志望者必見】同じ地方公務員でも年収が約170万円も違う!
地方公務員を目指している皆さんに質問です。 自分が希望する自治体の平均年収がいくらなのか調べましたか? 実は同じ地方自治体の職員でも、どこの市町村役場に 勤めているかによって年収は全然違います。 同一労働同一賃金と言われて久しいですが、 本...

そのため、総務省の「給与・定員等の調査結果等」もしくは各自治体のHPを見て
給料をいくらもらえそうなのか?
必ず確認をしておきましょう。

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