「地方公務員の扶養手当っていくらもらえるの?」「どんな条件で支給される?」「配偶者の収入が増えたらどうなる?」扶養手当は、地方公務員の給与において重要な要素ですが、制度が複雑で分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
地方公務員の扶養手当は、配偶者や子ども、父母などを扶養している職員に支給される手当です。
標準的には、配偶者で月額6,500円、子ども(1人目)で月額10,000円が支給されます。ただし、扶養親族の収入制限や年齢制限があり、条件を満たさなくなると支給が停止されます。
本記事では、地方公務員の扶養手当について、支給額、支給条件、申請方法、よくあるケースでの計算例まで、すべてを網羅的に解説します。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- 扶養手当の支給額(配偶者・子・父母等)
- 扶養親族の認定条件(収入制限・年齢制限)
- 申請方法と必要書類
- 配偶者の収入が増えた場合の対応
- 扶養手当が変更・停止になるケース
- 地域手当との関係
- 自治体による違い
- よくある質問と回答
扶養手当を正しく理解し、適切に申請・管理しましょう。
扶養手当とは

扶養手当の目的
扶養手当は、扶養親族のいる職員の生活を支援するために支給される手当です。
目的
- 扶養親族を持つ職員の経済的負担を軽減
- 家族構成に応じた適正な給与を実現
- 職員の生活の安定を図る
法的根拠
- 地方自治法
- 各自治体の給与条例
- 人事院規則(国家公務員に準拠)
特徴
- 月額で支給される
- 扶養親族の人数に応じて金額が変わる
- 一定の条件を満たす必要がある
支給対象となる扶養親族
扶養手当の対象となる親族は、以下の通りです。
対象となる親族
- 配偶者
- 22歳未満の子(孫、弟妹を含む)
- 60歳以上の父母・祖父母
- 22歳未満または60歳以上の兄姉
- 重度の心身障害者(年齢制限なし)
条件
- 主として職員の扶養を受けていること
- 職員と生計を同一にしていること
- 年間収入が一定額以下であること
生計を同一にするとは
- 同居している
- または、別居していても仕送りなどで扶養している
支給額の概要
扶養手当の支給額は、扶養親族の区分により異なります。
標準的な支給額(令和5年度)
- 配偶者:月額6,500円
- 子(1人目):月額10,000円
- 子(2人目以降):月額5,000円
- その他の扶養親族:月額6,500円
注意点: 自治体により金額が若干異なる場合があります。
地域手当との関係: 扶養手当にも地域手当が加算される自治体が多いです。
扶養親族の区分別支給額

配偶者
支給額:月額6,500円
対象となる配偶者
- 法律上の配偶者
- 年間収入が130万円未満
- 主として職員の扶養を受けている
年間収入の範囲
- 給与収入
- 事業収入
- 年金収入
- その他の収入(不動産収入等)
計算例: 年間収入129万円の場合
- ○:扶養手当の対象(130万円未満)
- 月額6,500円 × 12ヶ月 = 年間78,000円
注意点: 配偶者の収入が130万円を超えると、扶養手当が支給されなくなります。

子(22歳未満)
支給額
- 1人目:月額10,000円
- 2人目以降:月額5,000円/人
対象となる子
- 22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
- 職員の扶養を受けている
- 年間収入が130万円未満
具体例: 子どもが2人(高校生と中学生)の場合
- 1人目:10,000円
- 2人目:5,000円
- 合計:月額15,000円
- 年間:180,000円
22歳未満の計算
- 例:平成14年4月2日生まれ
- 22歳到達日:令和6年4月2日
- 最初の3月31日:令和7年3月31日
- 令和7年3月31日まで扶養手当の対象
大学生の場合: 22歳未満であれば、大学生でも扶養手当の対象です。
アルバイト収入: 子のアルバイト収入が年間130万円を超えると、扶養手当の対象外となります。
父母・祖父母(60歳以上)
支給額:月額6,500円/人
対象となる父母・祖父母
- 60歳以上
- 職員の扶養を受けている
- 年間収入が130万円未満
年金受給者の場合: 年金収入が年間130万円未満であれば、扶養手当の対象となります。
具体例: 父(65歳、年金収入120万円)を扶養している場合
- 月額6,500円
- 年間:78,000円
両親ともに扶養している場合
- 父:6,500円
- 母:6,500円
- 合計:月額13,000円
- 年間:156,000円
その他の扶養親族
支給額:月額6,500円/人
対象となるその他の親族
- 孫(22歳未満)
- 弟妹(22歳未満または60歳以上)
- 兄姉(60歳以上)
- 重度心身障害者(年齢制限なし)
重度心身障害者
- 年齢制限なし
- 障害者手帳1級または2級
- 収入制限あり
扶養手当の認定条件

収入制限
扶養親族の年間収入が一定額以下である必要があります。
収入制限の基準
- 原則:年間収入130万円未満
- 60歳以上または重度障害者:年間収入180万円未満
年間収入の算定方法
- 給与収入:総支給額(税引き前)
- 事業収入:収入から必要経費を引いた額
- 年金収入:総支給額(税引き前)
具体例: 配偶者の収入が以下の場合
- 給与収入:年間100万円
- 株式配当:年間20万円
- 合計:120万円
- ○:扶養手当の対象(130万円未満)
月額換算: 年間収入130万円 ÷ 12ヶ月 = 約108,333円/月
パートタイム勤務などで月の収入がこれを超えないように調整する家庭も多いです。
生計同一の要件
扶養親族は、職員と「生計を同一にしている」必要があります。
生計同一の判断基準
同居の場合
- 原則として生計同一と認められる
- 証明書類は不要
別居の場合
- 定期的に仕送りをしている
- 証明:送金記録、通帳の写し等
仕送り額の目安: 明確な基準はありませんが、扶養親族の生活費の一部を負担していることが必要です。
具体例: 大学生の子が一人暮らし(別居)している場合
- 毎月10万円を仕送り
- 通帳の写しで送金記録を証明
- ○:扶養手当の対象
実家の両親の場合: 別居している両親を扶養する場合も、定期的な仕送りがあれば認められます。
主として職員の扶養を受けている
扶養親族は、「主として」職員の扶養を受けている必要があります。
判断基準: 複数の人が扶養できる場合、最も生計を支えている人の扶養親族となります。
具体例: 夫婦共働きで、子どもを扶養する場合
- 夫の収入:年間500万円
- 妻の収入:年間300万円
- 原則:収入の多い夫の扶養親族となる
ただし、夫婦で話し合い、妻の扶養親族とすることも可能(税制上の扶養控除とは別)。
二重扶養の禁止: 同じ扶養親族について、夫婦双方が扶養手当を受給することはできません。
扶養手当の具体的な計算例

ケース1:配偶者 + 子2人
家族構成
- 配偶者(専業主婦、収入0円)
- 長男(高校生、16歳)
- 長女(中学生、13歳)
扶養手当
- 配偶者:6,500円
- 長男(1人目の子):10,000円
- 長女(2人目の子):5,000円
- 合計:月額21,500円
- 年間:258,000円
地域手当(東京都特別区20%の場合)
- 扶養手当にも地域手当が加算される自治体が多い
- 21,500円 × 20% = 4,300円
- 実際の支給額:月額25,800円
- 年間:309,600円

ケース2:配偶者(パート)+ 子1人
家族構成
- 配偶者(パート勤務、年収120万円)
- 長女(大学生、20歳、一人暮らし)
扶養手当
- 配偶者:年収120万円 < 130万円 → ○対象
- 配偶者:6,500円
- 長女:22歳未満 → ○対象
- 長女(1人目の子):10,000円
- 合計:月額16,500円
- 年間:198,000円
注意点: 配偶者の年収が130万円を超えると、配偶者分の扶養手当(月額6,500円)が支給されなくなります。
ケース3:単身赴任で別居中
家族構成
- 配偶者(専業主婦、別居)
- 子2人(別居)
扶養手当
- 配偶者:6,500円(別居でも扶養していれば○)
- 子1人目:10,000円
- 子2人目:5,000円
- 合計:月額21,500円
条件: 別居していても、生活費を送金していれば扶養手当の対象となります。
ケース4:子3人
家族構成
- 長男(大学生、21歳)
- 次男(高校生、17歳)
- 長女(中学生、14歳)
扶養手当
- 長男(1人目の子):10,000円
- 次男(2人目の子):5,000円
- 長女(3人目の子):5,000円
- 合計:月額20,000円
- 年間:240,000円
注意: 配偶者がいない場合は、配偶者分の手当(6,500円)は支給されません。
ケース5:両親を扶養
家族構成
- 父(65歳、年金収入100万円)
- 母(62歳、年金収入80万円)
扶養手当
- 父:60歳以上、年収100万円 < 180万円 → ○対象
- 父:6,500円
- 母:60歳以上、年収80万円 < 180万円 → ○対象
- 母:6,500円
- 合計:月額13,000円
- 年間:156,000円
条件: 定期的に仕送りをしていることを証明する必要があります(別居の場合)。
扶養手当の申請方法

新規申請の手続き
扶養親族が新たに発生した場合、速やかに申請が必要です。
申請のタイミング
- 結婚した場合
- 子どもが生まれた場合
- 親を扶養し始めた場合
- その他、扶養親族が増えた場合
申請期限
- 事実発生から15日以内が一般的
- 遅れると、遅れた分の扶養手当が支給されない場合がある
必要書類
配偶者の場合
- 扶養親族届(所定の様式)
- 戸籍謄本(結婚を証明)
- 配偶者の収入証明書(源泉徴収票、確定申告書の写し等)
子どもの場合
- 扶養親族届
- 戸籍謄本(続柄を証明)
- 22歳未満であることの証明(年齢が分かれば不要)
父母の場合
- 扶養親族届
- 戸籍謄本(続柄を証明)
- 収入証明書(年金の源泉徴収票等)
- 送金記録(別居の場合)
提出先
- 所属部署の人事担当者
- 人事課(または総務課)
変更の届出
扶養親族に変更があった場合も、速やかに届出が必要です。
変更が必要なケース
- 扶養親族の収入が増えた
- 扶養親族が22歳に達した(子の場合)
- 扶養親族が就職した
- 離婚した
- 扶養親族が死亡した
- 別居または同居に変わった
届出期限
- 変更事実発生から15日以内
必要書類
- 扶養親族変更届(所定の様式)
- 変更内容を証明する書類(源泉徴収票、離職票等)
注意点: 変更の届出を怠ると、過払いとなった扶養手当を返還する必要があります。
定期確認
多くの自治体では、年1回の定期確認が行われます。
確認時期
- 毎年6月〜7月頃が多い
提出書類
- 扶養親族状況確認書
- 扶養親族の収入証明書(源泉徴収票、確定申告書の写し等)
目的
- 扶養手当の支給が適正か確認
- 収入超過や年齢超過がないか確認
提出を怠ると
- 扶養手当が停止される場合がある
- 必ず期限内に提出すること
よくあるケースと対応

配偶者の収入が130万円を超えそう
状況: 配偶者がパート勤務で、年収が130万円を超えそう。
対応
選択肢1:収入を130万円未満に抑える
- 扶養手当:月額6,500円、年間78,000円を維持
- 社会保険の扶養も継続(保険料負担なし)
選択肢2:130万円を超えて働く
- 扶養手当:なし
- 社会保険:自分で加入(保険料負担あり)
- 収入増が手当・保険料の減少を上回るか計算が必要
損益分岐点の計算: 扶養手当と社会保険料を考慮すると、年収150万円程度までは「働き損」になる可能性があります。年収150万円以上稼ぐのであれば、メリットがあります。
子どもが22歳になる
状況: 子どもが22歳に達し、扶養手当の対象外になる。
タイミング
- 22歳到達日の翌日以降の最初の3月31日
- 例:平成14年4月2日生まれ → 令和7年3月31日まで対象
届出
- 22歳に達する年の4月以降、扶養手当が停止
- 事前に変更届を提出
影響
- 1人目の子:月額10,000円の減額
- 2人目の子が繰り上がる場合:2人目が月額5,000円 → 10,000円に増額
子どもがアルバイトを始める
状況: 大学生の子どもがアルバイトを始め、年収が130万円を超えそう。
対応
アルバイト収入が年間130万円未満
- 扶養手当の対象を継続
- そのまま申請不要
アルバイト収入が年間130万円以上
- 扶養手当の対象外
- 速やかに変更届を提出
- 月額10,000円(または5,000円)の減額
注意点
- 子ども本人が確定申告をする場合、その控えを確認
- 扶養から外れることを忘れると、後で返還請求される
両親を扶養に入れたい
状況: 定年退職した両親(60歳以上)を扶養に入れたい。
条件確認
- 60歳以上:○
- 年金収入が180万円未満:要確認
- 仕送りをしている(別居の場合):可能
手続き
- 扶養親族届を提出
- 年金の源泉徴収票を添付
- 送金記録を添付(別居の場合)
支給額
- 父:月額6,500円
- 母:月額6,500円
- 合計:月額13,000円、年間156,000円
注意点: 兄弟がいる場合、誰の扶養に入れるかを相談する必要があります。
離婚した場合
状況: 離婚し、配偶者と子どもの扶養手当を受給していた。
対応
配偶者
- 離婚により扶養親族ではなくなる
- 速やかに変更届を提出
- 月額6,500円の減額
子ども(親権を取った場合)
- 引き続き扶養手当の対象
- 変更不要
子ども(親権を失った場合)
- 扶養手当の対象外
- 変更届を提出
- 月額10,000円または5,000円の減額
注意点: 離婚の事実を隠して扶養手当を受給し続けると、不正受給となります。
自治体による違い

支給額の違い
扶養手当の支給額は、自治体により若干異なります。
標準的な支給額(再掲)
- 配偶者:月額6,500円
- 子(1人目):月額10,000円
- 子(2人目以降):月額5,000円
- その他:月額6,500円
自治体による違い: ほとんどの自治体が上記の金額ですが、一部の自治体では独自の金額設定をしている場合があります。
確認方法: 所属自治体の給与条例を確認してください。
地域手当の加算
扶養手当に地域手当を加算する自治体と、加算しない自治体があります。
地域手当を加算する自治体
- 扶養手当 × 地域手当率 = 加算額
- 例:扶養手当21,500円 × 20% = 4,300円加算
地域手当を加算しない自治体
- 扶養手当のみ支給
どちらが多いか: 地域手当を加算する自治体が多数派です。
まとめ:扶養手当を正しく理解し活用する

地方公務員の扶養手当について、支給額から申請方法まで解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
扶養手当を理解する7つのポイント
- 支給額は扶養親族の区分により異なる
- 配偶者:月額6,500円
- 子(1人目):月額10,000円
- 子(2人目以降):月額5,000円
- その他:月額6,500円
- 収入制限がある
- 原則:年間収入130万円未満
- 60歳以上・重度障害者:年間収入180万円未満
- 超えると扶養手当の対象外
- 22歳未満の子が対象
- 22歳到達日の翌日以降の最初の3月31日まで
- 大学生でも対象
- アルバイト収入に注意
- 速やかな申請・変更届が必要
- 事実発生から15日以内
- 遅れると不利益を受ける可能性
- 定期確認も必ず提出
- 配偶者の収入調整が重要
- 年収130万円が分岐点
- 扶養手当と社会保険料を考慮
- 損益分岐点は年収150万円程度
- 地域手当が加算される場合も
- 自治体により異なる
- 実質的な支給額が増える
- 不正受給は厳禁
- 虚偽申請は懲戒処分の対象
- 過払い分は返還請求される
- 変更があれば必ず届出
扶養手当の年間価値
標準的な家庭(配偶者 + 子2人)の場合
- 扶養手当:月額21,500円
- 年間:258,000円
- 地域手当加算(20%):年間51,600円
- 合計:約31万円/年
この金額は、基本給とは別に支給されるため、家計にとって大きな支援となります。
最後に
扶養手当は、正しく申請し、変更があれば速やかに届け出ることが重要です。
- 配偶者の収入は毎年確認
- 子どもの22歳到達時期を把握
- 定期確認は必ず提出
- 疑問があれば人事担当者に相談
扶養手当を適切に受給することで、安定した家計運営が可能になります。この記事が、扶養手当の正しい理解と活用の一助となれば幸いです。
