なりたい職業ランキングにおいて、最近はユーチューバーやサッカー選手などが台頭してきましたが、いまだに市役所職員も根強い人気があります。
その理由は何と言っても安定性が抜群でクビになる心配がなく、また休日が多く、福利厚生も充実しているからだと思います。
しかし、いくら安定していて、休みが多くても、年収が少なければ意味がありません。
やはり年収も就職先を選ぶ際の重要なポイントです。
市役所職員は給料をもらいすぎと批判されることもありますが、逆に市役所職員の給料は安すぎると言われることもあるため、「実際のところ年収いくらなの?」と気になるところだと思います。
そこで、このページでは、実際に市役所職員はいくらもらえるのか?給料はどう増えていくのか?等、市役所職員の年収について、詳しくご説明したいと思います。
若い市役所職員の年収は低い
自治体によって初任給の金額は異なりますが、目安として、大学を卒業して市役所職員になった場合の初任給は約19万円、高校を卒業して市役所職員になった場合の初任給は約15万円もらえます。
これに加えて6月と12月にボーナスが支給されるため、年収的には大卒だと約300万円、高卒だと約240万円くらいになるため、そこそこもらえてそうです。
しかし、市役所職員に夜間手当や残業代はなく、また副業をすることもできないことから、民間企業に就職した同級生と比べると収入は少ない場合が多いです。
特に高卒の場合、税金や社会保険料等、諸々引かれたら月々の手取り金額は10万円未満です。
額面金額だけを見たら市役所職員の方が稼いでいますが、大学や専門学校に進学してアルバイトをした方が引かれものがない分、自由に使えるお金は多いです。
そのため、高卒で市役所職員になった場合、フルタイムで働いても全然お金がないため、かなり生活が苦しいです。
毎年4月に昇給する
市役所職員は毎年4月になると昇給します。
昇給金額は月額約7,000円増額します。
昇給するとボーナスの支給金額も増えるため、年収で換算すると11万円昇給します。
年齢が上がるにつれて、昇給金額も少しずつ減少していきますが、若いうちは毎年7,000円ずつ昇給するため、最初のうちは苦しいですが、次第に生活は改善されていきます。
ただし、病気休暇を取得した場合は、病気休暇期間によっては昇給金額が減少しますし、病気休暇が4月をまたぐ場合は昇給が翌年に見送られてしまいます。
そのため、病気休暇を取得する場合は気をつけましょう。
昇格すると年収が大幅に増える
昇格すると、毎年の昇給に加えて、昇格分の昇給もあるため、基本給の支給金額が大幅に増えます。
金額で言うと、月額3万円くらい増えます。
昇格と言うと、係長・課長・部長等の役職に付くことをイメージすると思いますが、市役所の場合、必ずしも役職に付かなくても昇格します。
市役所職員の給料は条例で「○号○級の給料はいくら」と定められています。
そして、毎年○級の方が上がるため、昇給していきます。
例えば2号12級の人は4月に2号16級になるため、約7,000円昇給します。
昇格の場合は、○号の方が上がります。
例えば2号12級の人が3号16級になることを昇格と言います。
係長・課長・部長等の役職に付いた場合も、もちろん昇格しますが、役職に付かなくても、勤続年数がある程度経過すると市役所職員は昇格します。
民間企業では役職に付かない限り、昇給が止まってしまいますが、市役所職員の場合、退職まで平職員でも昇給・昇格があります。
そのため、平職員の方が新人係長・新人課長よりも給料が多いことは市役所職員ではザラにあります。
なお、市役所職員の場合、役職が付かなくても昇格しますが、当然、役職が付いた方が早く昇格できますし、別途、管理職手当も支給されるようになるため、昇進をして、役職に付いた方が生涯賃金は上です。
また、退職金についても役職が付いた方が、多く支給されることから、お金が欲しいのであれば役職に付いた方が良いです。
扶養家族が増えると年収が増える
市役所職員に扶養家族が増えると、扶養家族に応じて毎月の給料が増えます。
金額については、各自治体が条例で定めるため、自治体によって異なりますが、大体の目安としては配偶者は5,000円、子供は1人につき10,000円となっています。
ちなみに以前は扶養手当の金額は逆で配偶者10,000円、子供1人につき5,000円でしたが、女性の社会進出と子育て支援を図るために、支給金額が逆転しています。
なお、この扶養手当はボーナスにも反映されるため、年収で換算すると、配偶者がいれば約8万円、子供が1人増えるごとに約16万円年収が増えます。
10年間で年収が100万円ずつ増える
市役所職員の年収は上記のように増加していき、目安としては、10年で年収が100万円ずつ増えていきます。
そのため公務員の年収の目安は20代では400万円、30代では500万円、40代では600万円、50代では700万円もらえます。
この金額の目安は、あくまで平職員のもののため、もちろん係長・課長・部長等の役職に付けば、もっと早い段階で年収が増えますし、最終的な年収も、さらにたくさんもらえるようになります。
とは言え、地方の公務員は、たとえ部長級になったとしても、年収1,000万円には届きません。
地方の市役所職員の年収は最大でも800万円~900万円くらいが相場となります。
都会の市役所職員の方が年収が高い
上記で世代別の年収の目安と、部長級でも年収が最大800万円~900万円程度と書きましたが、それはあくまでも田舎の地方公務員に限定した話です。
国・県の職員はもちろん、政令指定都市や県庁所在地の市役所職員の給料は、もっと年収が多いですし、部長級にでもなれば年収1,000万円を超えます。
なぜ都市部と地方で年収が違うのか?と言うと、その最大の原因は地域手当と言う制度があるからです。
地域手当は基本給に対して最大20%付き、毎月の給料だけでなく、ボーナスにも関係してきます。
例えば基本給20万円として地域手当が20%付く自治体と地域手当が0%の自治体を比べると下記のような支給額になります。
<給料月額>
○都会の場合
地域手当20% 基本給20万円×20%=4万円(地域手当)
基本給20万円+地域手当4万円=24万円(月額)
○田舎の場合
地域手当0% 基本給20万円×0%=0円(地域手当)
基本給20万円+地域手当0円=20万円(月額)
<ボーナス支給額>
○都会の場合
地域手当20% 給料月額24万円×2.225月=53.4万円
○田舎の場合
地域手当0% 給料月額20万円×2.225月=44.5万円
同じ基本給でも、都会と田舎でボーナス支給額は約10万円、年収だと約70万円も差が出ます。
勤続年数が増えるほど、基本給も上がり、それに比例して地域手当も増額されることから、業務は全く一緒でも田舎と都会で年収に大きな差が生じてきます。
ちなみに、自治体によって給料表が違うと言うのも一つの理由では?と思う方もいると思いますが、基本給についてはラスパイレス指数と言うのがあり、国と比べて多い場合は、指摘を受けるため実はそこまで差が出ません。
そして、地域手当はラスパイレス指数の対象とならないため、よくラスパイレス指数が少し高いと言うだけで地方の市役所職員の方が「給料をもらいすぎだ!」と叩かれますが、実際の給料は都会の市役所職員の方がはるかにもらっています。
50代になると昇給は止まる
昔は市役所職員は退職まで毎年昇給があったそうですが、最近では50代くらいになると、昇給が止まります。
また、人事院勧告によっては、ボーナスについても減額されることがありますが、減額されるのは給料の多い40代と50代が対象となります。
つまり、市役所職員は50代を迎えると昇進しない限りは給料が増えることは、ほとんどなく、むしろ減額される可能性の方が高いです。
年々市役所職員の年収は下がり続けている
市役所職員は優遇されていると言われて久しいですが、実は年々市役所職員の年収は下がり続けています。
昔は年に2回昇給があることも多々あったそうですが、最近では、少なくとも私が市役所職員になってからの10年間は、そういうことはありません。
昔は地方の市役所職員でも部長級になれば年収1,000万円を超えていたそうですが、上述のとおり、最近では800万円~900万円まで減額されています。
これからの日本の景気が良くなれば市役所職員の年収も増えるでしょうが、今後は景気が悪くなると予想されるため、さらに市役所職員の年収は減らされることになると思います。
また、退職金についても年々減少傾向にあり、私の勤めている自治体でも、たった数年で退職金が1,000万円も減額されています。
私が退職する30年後には退職金が0円になっている可能性は十二分にあります。
まとめ
市役所職員の年収から昇給の仕組み等について、ご説明させていただきました。
毎年昇給があるため、民間企業の平社員と比べると市役所の平職員の方が給料も待遇も良いですが、昇進する場合は、やはり民間企業の方が年収は、はるかに多くなるため、出世を選ぶか、仕事以外を選ぶかによって、どちらに勤めるべきかは変わってくると思います。
また、今後の傾向として、間違いなく市役所職員の年収は下げられると思うので、転職や副業等を検討しなければいけませんが、市役所職員でのキャリアは他業種で活かすことができませんし、副業は地方公務員法で禁止されていることから、なかなか難しい状況にあります。
そのため、若い人が市役所職員になる場合は、30代・40代で給料が下がった時にどう対処するのか?をよくよく考えて公務員を選ぶことをおすすめします。